★都市農業ビジネスモデル③「体験農園型」#ビジネスモデルと経営戦略
畑会の山田です!お久しぶりの連載投稿です^^;
今回は都市農業ビジネスモデルの3つ目「体験農園型」について話をします。
場所によっては、最も再現可能性があるビジネスモデルです。
まず体験農園制度について簡単に説明いたします。
正式には「農業体験農園制度」といい、市民農園と同じように小さな区画の農地を一般市民が利用できる制度のことです。市民農園は、栽培する自由度が高いと同時に農業資材を自前で用意をして栽培する必要がありますが、体験農園は農家の指導サポートのもと、指定された品目を作り農業資材や種や苗なども開設側で用意されています。
そのため、市民農園に比べ、使用料も高くなっています。
※写真はシェア畑さんのサイトから「シェア畑三鷹台」
それでは、この「体験農園型」ビジネスモデルについての可能性を探ってみたいと思います。
体験農園型の成功例として、よく挙げられるのは練馬の白石農園さんです。
※写真は、tamalogさんのブログから 「大泉 風の学校」
(以下の数字は3年前に調べた数字ですので、現状違いがあるかもしれません)
白石農園さんの農地面積が全部で140a(内、ハウス10a)。全て生産緑地。
体験農園として使っているのは55aのみで、それ以外は野菜生産販売(販路も給食や直売所、委託販売などで安定的)、観光農園などを行っている複合型の農業経営です。
今回は体験農園のみの数字を見てみます。
白石農園さんでは、一区画30㎡で134組の利用者を受け入れています。
金額としては年間5万円(練馬区民は助成金があるため、38,000円)。
すべて入会すると年間670万円の安定した売り上げが見込めるようになります。
次に経費についてですが、細かな情報がないため明確なことは言えませんが、一般的な生産販売の事業に比べ、コストは大幅に下がることは明らかです。
理由としては体験農園では、利用者が基本的に管理や栽培、消費を行うため、農家は指導するだけになり、生産や販売に関わる人件費のコストなどを大幅に減らすことができます。
指導に関しても、土日にまとめて講習会として行うことが多く、平日に関しては体験農園の整備程度で収まり、かなりの人件費が削減できます。
ただ、体験農園の初期投資として、農園の整備、倉庫の設置、農業資材などのコストがかかり、場合によってはトイレ設置する場合もあります。ただ、最初の初期投資が終われば、それ以降のコストに関しては、一般的な生産販売コストよりも低く、会員さえ増えれば財務的には安定し、初期投資の費用も初年度で回収できることが多いです。
白石農園さんの事例を挙げましたが、最近ではさらに土地あたりの収益性が高い体験農園が増えています。手前味噌で恐縮ですが、畑会でも体験農園を行っており、畑会の場合は農家さんに委託されています。
その場合の事例としては、磯沼ミルクファームさんの畑があります。
こちらでは、6㎡年間5万円で利用ができます(14㎡は年間8万円)。今年3月から初めてすでに20区画ちょっとはいっているため、100万円の売上が確定。また、こちらの畑ではまだ十分の面積があり、100区画以上の設置が可能で、600万円以上の売上の可能性があります。
また、極端な事例になりますが、マイファームさんの体験農園で、目黒にある「八雲のはたけ」は、なんと5㎡で年間15万円を超えます(満員)。これは、もちろん場所が都内23区内ということもありますが、ピザ窯やBBQなどを行うなどの付加価値をつけてやっていることも理由にあります。
※マイファームさんのサイトより抜粋
やりようによっては体験農園のモデルの収益性はまだ可能性を秘めています。
ただ注意点としては、畑会やマイファームなどの業者とともに運営していく場合は、利益を折半するなどの契約が多いため、専業で農業体験をしたい場合は、オススメしていません。さきほど例に挙げた磯沼ミルクファームさんは、本業の酪農があり畑が活かせていなかったために畑会に依頼を頂きました。
専業の場合は、大変ですがマイファームなどの業者と一緒に運営はせずに独自で開設することをオススメします。畑会では、体験農園の開設のサポートサービスもっていますので、必要がありましたらお声かけていただければと思います(宣伝失礼しました)。
以上がおおまかですが、体験農園型のビジネスモデルとなります。
土地あたりの収益で見ると、かなり高いものですし、農作業に追われることなく収益をあげていけるのは、大きな魅力かと思います。
人との交流が苦手ではなければ検討してよいビジネスモデルかと思います。
そして、やはりメリットや可能性だけではなく、このビジネスモデルの課題も提示しておきます。
課題としては
・公共交通機関に近い場所や駐車場の有無によって、集客の反応がかなり違う
・今後さらに増えていくので、差別化や付加価値化が必要
・辞めさせないために、継続するための仕組みが必要
・会員数が一定の割合で増えるまでは、かえって収益性が下がる
という点があります。各それぞれの課題の詳細は、また改めてどこかでお話をできればと思いますが、コロナの影響で最近ブームだからとか、なんとなく稼げそうだからと思って軽い気持ちで手を出すと、かえって負担になることもありますので、事前の情報収集や戦略を練ることをオススメします。もちろん、畑会に相談していただいても大丈夫です!
ということで以上です!
次回は4番目のビジネスモデル「観光農園型」をお話しします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?