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統計資料からみる日本の農業①「農地面積と農業所得の関係」#環境分析


畑会の山田です。今回も環境分析のお話です。統計から東京以外の農業、いわば日本全体の農業について触れてみたいと思います。
私は、東京の農業とそれ以外の農業を明確する必要があると思っています。
以下、そのお話です。

※この記事は、2020年時点での記事ですので、統計などの資料は閲覧時点でトレンドが大きく変わっている場合があります。あらかじめご承知ください。

知ることのメリット(目的)

・日本の農業の主な形態を知り、都市農業と違いを明確にしていく。
・農業といってもいろんな形があるため、定義を明確にして農業ビジネスの曖昧さや混乱を避ける。例えば、これからの農業で稼ぐためには、スマート農業だ、海外に輸出だ、6次産業化だ、と話題にあがっても、どの農業を前提にして話すかで、有効性や戦略が全く違ってきます。

パターンごとの農家の年収や販売額の相場

まず日本の農家を大きく4つに分けてみます。
まずは専業農家なのか、兼業農家なのか。そして若手農家なのか、非若手農家なのかです。これで4つのパターンになります。

図1

それぞれのパターンによって平均の年収や売上が大きく変わっていきます。
まずは専業農家か兼業農家で大きく年収が違います。
日本全国の専業農家の平均年収は600万円程度で、兼業農家は400万円以下です(中央値はもっと低い)。
次に若手か非若手かの分け方で見ます。農林水産省の農業白書のグラフからです。

図2

このグラフでは、若手は49歳以下の扱いになります。
今度は、販売金額ですが、非若手農家(高齢の方)の場合、80%が300万円以下なのに、若手農家の場合は約50%が1000万円以上の販売額、500万円以上になると70%になり、大幅に違っているのが分かります。

農地面積と農業所得には相関関係がある

では、なぜ若手の専業農家は、販売額や年収が高いのでしょうか。
その理由の一つに農地面積があります。

図3

この表を見ると、若手農家は1ha以上の農地を持っている人は80%、5ha以上は30%もいます。また面積のシェアをみると若手に比べ、非若手は10倍近い数がいるのにも関わらず、農地面積だと2倍弱までなっています。

図4

そしてこの表を見ると、水田が20ha以上、施設野菜は2ha以上、果樹は3ha以上の場合、平均所得よりはるかに増えている事が分かります(ここでの野菜栽培は、施設のみの話で露地栽培の場合5ha以上は必要と言われています)。
つまり日本の主な農業の構造としては、規模が大きいほど、所得が上がる傾向にあるといえます。その為、日本で最も所得の高い農家は北海道の農家で、農業所得が1,000万円以上の農家が多く存在します。
「農業ビジネスの特徴」でも話しましたが、農作物は単価が低くなりがちです。そのため、生産量をあげて効率化して収益をあげる方法が一般的になります。
これを「規模の経済」「スケールメリット」という言い方をします。
都市農業では、農地が狭いためうまく活かせませんので、(※面積あたりの生産量、反収を増やさなくていいというわけではありません)別の戦略を考える必要があります。

今回は以上です!
結論だけを見ると、農地面積の少ない都市農業の方にとっては、あまりよい情報ではありません。ですが、その情報を受け止めて、全国の専業農家とは別の在り方を探る必要があります。少なくとも、一般的な農業のやり方では、都市農業では限界があります。
引き続き、日本の農業について話してみたいと思います。

【自己紹介】
非農家でありながら、東京の八王子で農業系サービス事業を展開。
専門分野は都市農業の経営、都市部での小さな農、コミュニティ農業、農のある生活、キャリア視点から見る農などで幅広く農業を語っています。

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ZOOMによる講座を中心として
東京八王子を中心に現場での農業体験も行っています。

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