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学校探訪記①|まおい子どものさと小学校:自由とは楽しいだけではない

訪れてみたかった学校
4月にできたばかりの学校
北海道長沼町にある「まおい学びのさと小学校

3月にこの学校で開かれた映画の上映会に参加して、今回は2回目の訪問となりました。

4月に学校法人として正式に開校されたばかりの生まれたての学校。

この学校は、和歌山県にある「きのくに子供の村学園」をモデルとしていて、映画「夢みる小学校」の中でも紹介されているような、自由でたくましい子どもたちの学びの創造を目指しているとのこと。

これは、ぜひ、一度訪れたい。そこで学ぶ子どもたちの生の声を聞きにいきたい。そこで働く先生たちの息遣いを感じたいと、学校見学の申し込みをしました。

三角帽子がシンボルの校舎。校長先生作成の看板。

訪問当日。受付時間になったので、玄関に入ると、ニコニコした女の子と出会いました。2年生ぐらいかなぁ。「おはようございます!」と元気に挨拶してくれて、「見学?」とやはりニコニコとした顔で聞いてくれました。
「お客さんだよー。見学だってー。」と嬉しそうに事務長さんに伝えにいってくれました。

最初に、事務長さんから学校の説明を受けました。
私たち以外は、入学希望の保護者と子どもさんが3組。
中には、来年のためにもうすぐ長沼町に引っ越して来られる予定の、茨城から来られた親子もいらっしゃいました。

設立までのあゆみや、教育内容などについて詳しく説明してくれました。
学校見学する際の注意事項は、ただ一つ。
それは、

子どもたちに指導的な声かけはしないこと。

たとえば、階段のてすりにまたがってずり落ちてくる遊びをしている子どもを見かけました。
むか〜し、そんなことをしていたら叱られたのを覚えていますし、教師になってからもよく見かけました。「危ないからダメだよ〜」と声をかけちゃいそうだけど、それは我慢。

たとえば、学校の玄関でクツを脱ぎ捨てて行ってしまう子どもたち。「靴箱に入れないの〜?」な〜んて声かけもNGというわけです。

学びのさと小学校の先生たちもそういう場面では、クッと我慢しているそうです。

他にも、廊下を走る子ども、学習に参加しない子ども、図書室でサボっている子ども…。とにかく、気になる子どもをまぁまぁたくさん見かけました…

何が気になるのか?それは、私が、おとなが、これまでの価値観で気になるというだけの話かもしれません。
当の子どもにとっては、別になんてことのない、大した問題ではないのかもしれません。

「でも、将来、困るんじゃない?」「我慢だって必要だよ」
そう思っちゃうことが、大人の正義をふりかざしていることになるのではないでしょうか。

大人の正義ではなく、子どもたちの実感に落とし込むための仕組みの一つが全校ミーティング。
全校ミーティングでは、全校児童55人と先生たちスタッフさん全員が一堂に介して、出された議題について徹底的に話し合う場なんだとか。

例えば、児童用玄関に子どもたちの靴が乱雑に脱ぎ捨てられていることが続いた時、このことが誰かの発議によって、全校ミーティングの議題になったそうです。詳しくは、下のリンクから学校のHPをご覧ください。

熊本大学教育学部准教授で哲学者の苫野 一徳さんは、学校教育の本質とは、自由の相互承認だと話されています。

「自由の相互承認」という考え方自体はジャン=ジャック・ルソーや G.W.F.ヘーゲルといった哲学者たちが約250年前に見つけ出した近代社会の根本原理ですが、自分が自由に生きるためには、他者の自由も認めなければならないという考え方です。

このまおい学びのさと小学校は、今まさに、この自由の相互承認を生み出そうと奮闘されているように感じました。

この学校で集う子どもたちは、自分のやりたいことを自分のペースで学ぼうとしています。この自由さをお互いに認めつつ、その中で協働していくための仕組みを全校ミーティングで作っていこうとしている。

言うのは簡単だけど、その場を作ろうとする先生たちには、たくさんの迷いや苦しさを感じている。たった数時間の見学でしたが、そんなことも感じとれたとっても有意義な時間を過ごさせていただきました。

でも、子どもたちはみんな、かわいかった。人懐っこくて、素直で、優しかった。
「朝、とったんだよ」とちょっと葉っぱがシナっとなっていたラディッシュを一粒、お土産にくれました(^^)

ちょうど、来年度に向けて、職員の募集をしているとのことでした。
興味はあったのですが、年齢制限があり、私は対象外でした。
でも、この学校のこれからがとっても気になります。あの子どもたちがどんなふうに成長していくのか、時々会いに行きたくなりました。

まだまだ、アウトプットしたいことはあるのですが、またの機会に。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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