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人間関係の構築| 重要感を感じさせる秘訣

先日、ある方から相談されました。
その方は、とある公立中学校の管理職の方で、職場の教員Aさんの扱い方について悩んでおられました。

概要を簡単に書くと、
・Aさんは期限付きの教員で、半年の雇用契約の更新時期にある
・Aさんはやめたがっていて、更新しないかもしれない
・やめられると、代替教員が見つかる当てもなく、とっても困る
・Aさんは、学年団や部活内で同僚とのコミュニケーションがうまくいっていない
・Aさんは、自己中心的な言動が多いように感じられる

詳しく聞いていくと、Aさんは、職場内で重要感を得られずに、孤立しかけているのだと思いました。

そこで、今回の記事では、この事例をもとに、相手に重要感を持たせるためにはどうすればいいのか、ということについて書いておきます。

参考文献はこちら。
レス・ギブリンの歴史的名著「人の人望が集まる人の考え方」
1956年にアメリカで出版されて以来、「人間関係のバイブル」として、カーネギー『人を動かす』と並ぶ世界的名著となっています。

世界中の人々が最も飢えているもののひとつは、自分の重要感である。つまり、すべての人は自分の価値を他人に認めてほしい、自分をほめてほしい、自分に気づいてほしいと強く思っているのだ。

今回の事例では、このAさんは、いろいろな学校種、地域で広く経験のある方で、教員としては力がある方だということがわかりました。

相談者のいる学校に赴任され、これまでの学校のやり方、考え方の違いに戸惑っておられる様子だったということです。
これまで教員として経験し、大切にしてきた価値観がこの勤務校では馴染まずに苦しんでいたのかもしれません。

つまり、自分の価値がこの学校では認められない、自分の重要感を感じることができなかったのでしょう。
だから、職場内のいろいろなところで衝突が起こったそうです。
そうするとますます、自分の存在を発揮することが難しくなっていったのでしょう。そして、とうとう今回、「やめる」という考えに及んだのだと思われます。

相談者の上司にあたる学校長が、幾度にもわたって、Aさんと面談を続けました。
そして、Aさんの不満の原因を一つ一つ明らかにし、雇用条件について譲歩・変更を提案してみたのです。

学校長は、Aさんのやりたい仕事を十分に発揮できるように、校務分掌の再配置を約束しました。

この約束によって、次のような効果が期待できました。

1つ目は、Aさんのやりたいことに敬意を払ったことにより、Aさんを重要な存在として認めることとなりました。

2つ目は、Aさんのやりたいことにスポットライトが当たった形になり、全職員からの注目の的となりました。

3つ目は、校長として決めたことを途中にくつがえすことにはなりましたが、決して権威をふりかざすようなことを突き通しませんでした。

これら3つのことは、レス・ギブリンの提案する相手に重要感をもたせるための3つのルールと合致します。

相手に重要感をもたせるための3つのルール
1.相手を重要な存在とみなす
2.相手に注目する
3.相手に対して威張らない

こうして、Aさんは自分の重要感を感じることができるようになり、無事更新手続きをするにいたったそうです。
相談者もほっと胸をなでおろすことができました。

今回の記事では、相手に重要感をもたせるために大切な3つのことについて、レス・ギブリンの著書「人の人望が集まる人の考え方」から学び、それを実際に応用した事例について書いてみました。

校務分掌の再配置により、Aさんの重要感は取り戻されました。
しかし、大切なのはこれからです。再配置により、今後Aさんの力が良い形で発揮され、重要感を感じることが継続できるかどうかにかかっています。

相談者さんの健闘を祈っています。

今日も、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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