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働き方改革|やるべきことと、やらなくてもいいこと

教員は働きすぎだと言われます。
OECDの調査(2018)によれば、1週間当たりの勤務時間は小学校で54.4時間、中学校で56.0時間と参加国内最長で、参加国平均の38.3時間(中学校)の約1.5倍。
一日平均10.88時間働いていることになるわけですが、勤務校の実態を見ると、それ以上に働いている先生の割合が多いと感じています。

私自身、毎日7時15分ごろ出勤し、18時45分に退勤していますから、11.5時間学校にいます(休憩時間45分をさっぴくと、平均ぐらいになる)が、退勤の時にもまだ残っている先生も少なくない。

教員の働き方改革が叫ばれる昨今。
管理職となった今では、働き方改革を職場で押し進めるよう、お上から言われて、その分仕事が増えるという矛盾はおいておいたとしても、ただでさえ、情報教育、環境教育、多文化共生教育、◯◯教育・・・etcといったものが上から落ちてくる現場において、何をやるか、何をやらないかという基準をしっかりもって仕事をしていかないと、どんどん苦しくなってしまいます。

『数値化の鬼_「仕事ができる人」に共通する、たった一つの思考法』(安藤広大著 ダイヤモンド社)という本を読みました。

参考になることがたくさん書かれていたのですが、一番なるほどと思った第3章『やるべきこと、やらなくてもいいことー「変数」の話』を読んで、本当に力を入れてやるべきことについて考え、自分の働き方改革に繋げていければと思います。

そして、私と同じように「何を基準に、その仕事をやるのか?やらないのか?」ということに、迷っているあなたの参考にもなればと思います。

それでは、順番に見ていきましょう。

1.それは変えられる?|「変数」の話

ビジネスにおいて、すべての物事はいったん数字に置き換えられます。
ただし、そのすべてを考えるべきかというとそうではありません。
考えるべきこと」と「考えてもムダなこと」に分かれます。
それを見分けるために必要な概念が、本章のキーワードである「変数」なのです。
〜中略〜
「変えられること」を変えようと努力し、「変えられないこと」は早々に見切りをつけることが大事です。

第3章 P164,165

教員の仕事は多岐にわたり、「子どものためになること」と善良な教員ほど信じ、その仕事に時間をかけています。

たとえば、授業のためのプリント作成に1時間をかけたとしましょう。
そのプリントを使った授業と、たまたま時間がとれなくてプリントなしで行った授業とを比べた時、テストの結果や子どもたちの学びがあまり変わっていなかったとしたらどうでしょう?

プリント作成にかける時間を2時間に増やすでしょうか?
もしそうするとすれば、それは間違った努力の仕方です。
プリント作成は、「変数」ではないということです。

一方、説明や発問の仕方を今までとは変えてみたら、子どもたちの学びが変わり、テストの平均点が上がったとします。

こうして、授業では、「説明や発問の仕方」が「変数」だったということに気が付きます。

2.「なぜ?」と問う|変数を明らかにする

プレーヤーの人が「変数」を見つけ出すためには、プロセスを試行錯誤する必要があります。上司が思いつくままに、口出しされながら教えられるより、一度自分でやってみたほうが学べることが多いはずです。〜中略〜
自分自身で気づくためには、シンプルな方法ですが、「なぜ?」を繰り返すことが大事です。

第3章P169,174

授業のための準備や授業行為、仕事の何が「変数」であるかを知るには、まずは、試してみることで気がつくことができます。

「なぜ、何度も練習したのにテストの点があがらないのか?」
「なぜ、昨日と同じことをしたのに、今日は子どもたちはお互いの声に耳を傾け始めたのか?」
「なぜ、金曜日にはいつも仕事がたまるのか?」
「なぜ、先週は残業が多かったのに、今日はいつもより早く帰れたのか?」

とうように、授業行為、仕事の工程を細かくして「なぜ?」を繰り返し、突き詰めていって、その行為が本当に「変数」であったかを考えていきます。

3.「変数じゃないもの」にこだわらない

人間には、「やったことに意味を後付けする」という性質があります。
〜中略〜
せっかくやったのだから、そのことに「意味がなかった」ということをなかなか認められないのです。
〜中略〜
やったことに勝手に意味づけをするのではなく、明らかに結果や成果につながったことを見つけ出す

第3章P184,187

「なぜ?」を繰り返した結果、それまで自分が信じて取り組んできたことが、実は「変数」ではなかった、ということに気がつくことがあります。
その現実をつきつけられた時、きっと、「それをやっていなかったら、もっとひどくなっていたはず・・・」と思い込みたくもなってしまいます。

そこを自分の心を鬼にして、現実を受け入れる。そして「変数」ではなかったことへのこだわりは捨ててしまわなければなりません。

そして、それが「変数」だと気がついたことには、時間、量、回数など数値化して、徹底的にこだわることが大切です。

最後に|他人の成功論は「仮説」に過ぎない

今回の記事は、「何を基準に、その仕事をやるのか?やらないのか?」について、『数値化の鬼_「仕事ができる人」に共通する、たった一つの思考法』(安藤広大著 ダイヤモンド社)という本をもとにして、考えてみました。

その基準を考える時、

・その仕事は、目標とすることに影響を及ぼしているのか?つまり、その仕事は変数(変えられること)であるか?に向き合う。
・それを見極めるために、「なぜ?」を問い続け、自分の仕事をふりかえる。
・「変数ではない」ことからこだわりを捨て、「変数である」ことを数値化して徹底してこだわる。

ということが大切であることがわかりました。

最後に、

世の中には、「これが大事なノウハウだ」と語っている本がたくさんあります。ネット上にもSNSにも、ノウハウが溢れかえっています。
たしかに、それらのノウハウは、あなたにとってヒントになる可能性があります。あっくまで可能性であって、絶対に正しい答えではありません。なぜなら、「まだ『変数』ではなく、『仮説』だから」です。

第3章P191

うまく行かない時だからこそ、ノウハウに頼りたくなってしまう時が正直あります。
だけど、それが本当に自分にとっての「変数」かどうかは、やはり、試して、「なぜ?」を繰り返して、突き詰めていくしかないようです。

そうやって、多岐にわたる膨大な仕事を精査していくことが、本当の意味での働き方改革につながりそうです。



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