見出し画像

三人

「三人」
その三人との関係はとても素敵なものだった。
ある意味、その時だけ成り立っていた。
僕と合わせると正確には四人。
女の子二人はどちらも「文」という漢字を名前に含んでいた。言葉どおり文才に恵まれ、
言動はユニークだった。僕は二人の言葉が大好きだった。
男の子一人は背が高く、現実性ももちあわせて、しっかりものだった。
僕のアイデアを具現化してくれる相棒のような存在。
彼とは漫画雑誌やプログラミングしてゲーム作りを企画した。
どうしてその三人と波長があったのだろう?この三人を超える関係を僕は今まで感じたことがない気がする。

この三人とはいろんなことを企画した。
裏山での秘密基地を三人と作った。
今でいう、DASH村みたいな。男女が混じって活動するユニット。
当時の小学生では珍しいかもしれない。
畑を作ったり、小屋を作ったり、泉に魚を放流したり。
いろんな思い出がある。
そんな完璧な僕と三人との関係。
僕の初恋の人はその「文」という漢字を含む女の子の一人だった。
そして、相棒はまたべつの「文」という漢字を含む女の子のことが好きだった。
その初恋は実らずとも今でも、僕を温め勇気づけてくれる。
なにかをグループで企画する時、いつも僕はその時のワクワクと比較している。
あの時の三人とのコラボレーションは本当に素敵だった。
思春期で距離感ができ、大人になっていろんな状況が変わったけれど、
僕は今でも、なにかをする時の物差しになっている。その思い出のものさしに合わせて行動している。
そんな気がする。つまり僕がやりたいことって、あの「三人」としていたことなんだと45歳になってつくづく思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?