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敬愛するボーカリストの歌い分けに関する考察

UNISON SQUARE GARDENのVo.&Gt.を担当する斎藤宏介。
彼が始めたもう一つのバンド活動、XIIXでも斎藤宏介はVo.&Gt.を務めている。

彼の歌声に焦点を当てて、その異常性を語りたい。

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UNISON SQUARE GARDENのVo.斎藤宏介

UNISON SQUARE GARDEN(以下: ユニゾン) の作詞作曲はそのほとんどが田淵智也(Ba.) によるものであることはご存じだろうか。(斎藤宏介が作詞作曲を手掛けたのは「スカースデイル」「三日月の夜の真ん中」の2曲のみである)
ユニゾンらしい特徴のあるハイトーンボイス、複雑なメロディを。ユニゾンのVo.斎藤宏介に歌わせるに相応しい歌詞を。田淵智也は計算しつくして、それを歌わせるのである。しかしこれがまた難易度の高い要求をする。そんな田淵智也のオーダーをどんなに難しくてもこなし続け、自分のものにしてきたのが、斎藤宏介という男である。
末恐ろしいことだが、これを今に至るまで16年続けている。

簡単に書いたが、UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介に関してだけで記事が書ける。むしろ語りたい。しかしこれは序章の序章。
長くなるが最後までお付き合いいただけると幸いだ。

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XIIXのVo.斎藤宏介

長い期間、田淵智也の作る曲を歌い続けてきた彼が、自身の音楽的表現の場として、『UNISON SQUARE GARDENのメンバーを除けば1番の音楽的信頼を寄せているナイスガイ』と語るベーシスト、須藤優と組んだ二人組のバンド、XIIX。
バンド自体については記事もたくさんあるでしょうし、そちらをお調べください。

斎藤宏介の持つ歌声の引き出しの多さ、その繊細かつ正確な表現力。今までの経験を総動員して、ユニゾンとは一線を画した楽曲を。自らの内側からの表現を乗せて楽曲を作り上げていく。そこには、国内外様々な音楽に精通し豊富な知識を持つ須藤優とのやり取りがある。この信頼関係、共有速度の速さは、この二人だからこそ成せるものがあると踏んでいる。
それはさておき、注目したいポイントは「斎藤宏介自身の歌う楽曲を自らの手で作曲している」という部分である。

その歌い手の長所が最も生かされる音域、歌い方は誰が一番わかるか?
本人自身に他ならない。

一般論ではないだろうが、少なくとも16年バンドを続けている斎藤宏介に関してならば自信を持って言える。
XIIXの楽曲は、ユニゾンではなかなか耳にすることのできない低音域が使われている。それが良く響き、良く伸びるのである。斎藤宏介の歌声の特性を熟知している者の犯行だ。しかしそれだけではない。ユニゾンにおける斎藤宏介の歌声の特徴といえば?そう、美しいハイトーンである。
良く響く低音、洗練されたハイトーン。その両者を以て才を魅せつけ、自身の書いた楽曲を細部まで表現するのである。

それが顕著に発揮されていると思うのがこの楽曲、
「Light & Shadow」

この曲の音域の広さもそうなのだが、本当は楽曲の振れ幅も楽しんでほしいのでまだ入手していない人は1stアルバム「White White」をぜひ購入していただきたい。You Tubeにはアルバムのクロスフェードも上がっているので、試し聴きなら無料だ。やったー!

鳥肌の立つような歌声である。良い。

「Stay Mellow」のMV含めた楽曲の変態性については話したくて仕方がないが本旨ではないため割愛する。

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XIIXにおけるUNISON SQUARE GARDENとの差別化

昨日、2020/10/29に行われた『BOOM BOOM BOOM LIVE vol.1』という配信ライブにXIIXは参加した。(アーカイブは11/2正午まで残っているので是非)

ユニゾンとXIIXって本当に別物だよなぁと思いながら聞いていたが、ある一曲(どの曲か忘れたのでアーカイブで要確認)で「ユニゾンっぽい!」と感じた点があった。恐らく、高音に上がる部分での声の裏返し方であろう。「ユニゾンみたいな部分が出た!」などと喜んでいたが、いや、待てよと。
逆に何故この部分以外はユニゾンっぽくないのだろうか。

高音部に音が移行するときの癖なんて、人それぞれな上にその癖は普通の人間には隠せない。斎藤宏介は、その癖をここまで完璧に、意識的に抑えてきたのか?まさかそんなはずはないだろう。いやしかしそうでないと説明がつかない。
声を裏返すような歌い方は、その一度だけだった。それ以外は、いくら高音に飛ぼうとも、段差のない滑らかな歌声で移り変わるのみである。

このとても難易度の高い歌い分けを本当に意図的にやってのけているのだろうか。もしかしたら気が付いていないだけで、細やかな癖を抑えながら自身の表現を磨き続けているのかもしれない。「歌う」ことに非常にストイックであると知られている彼ならば、あるいは。

化け物か天才か。人並外れた能を具えている人間であることに間違いはない。

「歌うために生まれてきた」という言葉が、相応しい。

ロックバンドとして続けてくれて、歌い続けてくれて、本当に嬉しい。なんという奇跡だろうか。そして巡り合えた。震えるな。しかも、斎藤宏介はボーカリストというだけでなく、常にギターボーカルとしてやっているのである。ギターの技術も相当特殊なことをやっているのに、ギターボーカルということに長けているという異常性。
残念ながら私は音楽に詳しくないのでそのことについての記事は書けないのだが、掘り下げていけばいくほど斎藤宏介の凄さを痛感するのである。
畏敬の念を込めて。

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