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題詠blog2008


参加初年度2007年はこちら

001:おはよう
「おはよう」が喉から出ない初恋が長身の背を見送っていく
002:次
「次の恋、あるのかしら?」と嘆きつつ視線気にしてすまし顔する
003:理由
好きという気持ちに理由なんてない だって女は「好きだから、好き」
004:塩
ひとふりの塩落ちる間にお玉振り唱える呪文「美味しくなあれ」
005:放
焼き捨てた恋文の灰冬空へ放てば雪と混ざり舞い散る
006:ドラマ
落雷に撃たれた様に始まったドラマチックな恋の幕開け
007:壁
書けないと思う気持ちが壁になる 勇気振り上げ砕いて進め
008:守
定型を守ろうとして難儀する書いては消して消しては書いて
009:会話
会話から見えないことが見えてきて苦手な人と笑い合えた日
010:蝶
ビルの谷間で死んだ蝶 落とした肩をかすめ行くのを見送った

011:除
前進の為に削除のボタン押し携帯ひらりバックへ落とす
012:ダイヤ
ダイヤには無い輝きは命の火 雨の一粒 水の連環
013:優
優しくはないのにいつもそう言われ 冷えた心を隠すヤサシサ
014:泉
お題は「泉」 ポンと湧き出る歌の泉があればと妄想す
015:アジア
言葉も思想も遠すぎて乾いて響く「アジア人」という呼び名
016:%
意味の無い記号となれよ%(パーセント) 人の心が一つになる夢
017:頭
紅白饅頭のようにぴったりと寄り添ったまま生きていきたい
018:集
集めても集めてもなおすきま風 プリクラ眺め膝を抱える
019:豆腐
慎ましく蜜に浮かんでゆれている乙女のような杏仁豆腐
020:鳩
平安を願う視線を知らぬまま白鳩達は飛び去っていく

021:サッカー
持ち主は何処へ行ったか暮れていく砂場にひとつサッカーボール
022:低
背の低さ嫌だと思うことは無い 夫の胸が温かいから
023:用紙
広告の裏を使ったメモ用紙詠むに欠かせぬ私の宝
024:岸
海岸にきちんと並ぶ海豚の死 画面見る眼はその死より死に
025:あられ
ポリポリとあられ止まらぬポリポリとお茶とあられとあられとお茶と
026:基
台所隅に座布団敷いてあるそこが私の秘密基地です
027:消毒
消毒の痕跡以外見付からぬ整然とした餃子工場
028:供
お供えを分ける時間を楽しみに正座に耐えていた幼い日
029:杖
吾が君を君が吾をそれとなく支える杖に育て合う日々
030:湯気
食事だと呼んでもすぐに来ないから消えていくだけ湯気も愛想も

031:忍
笑えない 忍耐だけが足りなくて玉に瑕だと言われる過去は
032:ルージュ
ルージュ引き黄緑色のトレーナー着て散歩すれば春爛漫!
033:すいか
種飛ばしやんや騒いで手を打てばすいかも笑う夏真っ盛り
034:岡
「岡」というお題がとても手強くて悩んだ挙句「藤岡弘!!」
035:過去
出世した元彼の現在(いま)知ったとき二人の過去にさよならできた
036:船
花びらの船に魂乗っていく夕焼け色の蓮池に風
037:V
SMAPに嵐、NEWSにV6 誰が誰だが今だわからず
038:有
有限を知れば無限がわかるはず けれど果て無き無限な有限
039:王子
王子ならうちにもいます1歳の花咲くようなスマイル王子
040:粘
グイグイと粘り出るまで混ぜ合わす「ハンバーグさん♪ 美味しくな~れ♪」

041:存在
大きな背その存在にありがとう あなた追うのが私の生き甲斐
042:鱗
しっぽパタパタ鱗キラキラ鯉のぼり もっと風吹け吹きわたれ
043:宝くじ
祈り込め毎年買ってる宝くじ いつかいつかと終らない夢
044:鈴
鈴はったような目をした幼子が鈴カステラをためつすがめつ
045:楽譜
せせらぎは季節奏でる楽譜かな 花びら♪(おんぷ)紅葉♪(おんぷ)で
046:設
万全をきしたつもりで設置してつもりはつもり事故は防げず
047:ひまわり
太陽に挑戦するかひまわりよ濃い影落とし屹然と立つ
048:凧
富士山の連凧あがるCMに歓声あげていた幼い日
049:礼
交際費五十円とは破格です礼の心を届ける年賀
050:確率
味気なく「確率」なんて言わないで「一か八か」と熱く叫べよ

051:熊
目をそらし「惚れてるんだ」と呟いてそわそわしてる私の熊さん
052:考
シュリーマン知ったきっかっけ漫画だと考古学者がヒーローに見え
053:キヨスク
駆け寄ってドアが閉まった気まずさをキヨスクでガム買って誤魔化す
054:笛
本物の汽笛の音を知らずとも聞けば旅情がかき立てられる
055:乾燥
乾燥し日光染みた敷き布団倒れ込んだら五月の香り
056:悩
悩むのが嫌でいつでも即決にしてきたツケの結果に悩む
057:パジャマ
もしあれば引く手あまたになるかしら?パジャマ色した安眠セット
058:帽
押入に見覚えのある桃色のリボンがついた麦わら帽子
059:ごはん
湯気の立つキラリ艶やか真っ白な甘い香りの炊きたてごはん
060:郎
産まれたら一姫二太郎なんて言う暇は無く戦場となる

061:@
@(アットマーク)を並べたらなるとみたいに見えて来てほのぼのとする
062:浅
風邪をひき母にねだって浅田飴買ってもらった七歳の冬
063:スリッパ
いざ勝負!スリッパ構えてみたものの腰が引けてて走り去られた
064:可憐
露草の青の可憐さ雨の中家路を急ぐ路地裏の隅
065:眩
白き蓮眩しい命我が腕に抱いて眠る生後三日目
066:ひとりごと
繰り言にしかならないと思うから言わないようにしたひとりごと
067:葱
味噌汁の汁が見えなくなるくらい葱をいっぱい入れるのが好き
068:踊
特別な一杯になるコーヒーは香りも色も踊り立つよう
069:呼吸
陣痛を乗り切るための深呼吸痛みのうねり静まっていく
070:籍
もう会えぬ鬼籍の人と知りながら会いたく思う恩人二人

071:メール
メールだけ交換してもつまらない手を握るため自転車に乗る
073:寄
学校の帰りに寄り道ばかりして花摘み遊ぶ九つの春
074:銀行
愛情の貯金ができる銀行があれば私は億万長者
075:量
雲の量たっぷり乗った夏の空海へ山へと心が跳ぶよ
076:ジャンプ
両腕を伸ばして抱っこ乞う我が子ジャンプするよに飛びついてくる
077:横
横にいて只(ただ)横にいて欲しいから「結婚して」と言ってみました
078:合図
空腹の合図なんだと大声で泣いて呼ばれて胸に抱える
079:児
聞かれれば「趣味は育児」と答えてる我ながら良い趣味をしている
080:Lサイズ
買うおむつSからLサイズになりいつか取れるねパンツになるね

081:嵐
轟々と春の嵐が叫んでる「春だ! 春だぞ! さあ、目を覚ませ!」
082:研
人生は月日経つほど研磨され磨き上げるよ丸い微笑み
083:名古屋
連休のデートはいつも名古屋です彼の家まで一時間半
084:球
大の字に伏せて転がり地球抱き草原の午後あくびを一つ
085:うがい
まだ上手く出来ないうがいでも音を上手に真似る我が子は二歳
086:恵
知恵があるそれが私の自慢です生き易いよう出来るのが知恵
087:天使
悪魔さえ笑い返すよその笑顔天使よりなお無垢な微笑み
088:錯
何度でもだまされるのが気持ちいい錯覚使った視覚トリック
089:減
哺乳瓶のミルク減る量眺めては大きくなったと胸熱くする
090:メダル
ゲーセンのコインゲームの両替機メダル渡せば子が笑み返す

091:渇
渇いてく地球も心も渇いてく覆水という水が消えてく
092:生い立ち
生い立ちを知ってどうなる惚れたなら例え火の中水の底まで
093:周
幸せの空気周りに溢れさす心ほんわか笑顔マジック☆
094:沈黙
コーヒーの湯気と沈黙やわらかくはにかみあった二人をつつむ
095:しっぽ
捕まえた夢のしっぽを握り締め前だけを見て歩いて行くよ
096:複
複雑な貴方をもっと知りたくて思い悩んで縺れる心
097:訴
地球から訴えないが人間は多くの罪を背負っているはず
098:地下
地下街で迷う不安に慣れていた大阪勤務二年目の秋
099:勇
子育ては子供を信じ勇気付け寄り添い支え背中押すこと
100:おやすみ
寝る前に写真にそっと瞼(まぶた)寄せ想い溢れて「おやすみ」を言う

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