題詠blog2009
001:笑
笑いこそ妙薬中の妙薬だ耐えて笑えば好日となる
002:一日
微笑んで過ごす一日有り難い昼寝している二歳児の横
003:助
一日を助け合いつつ築いてく夫婦で在って親子で在って
004:ひだまり
助け船出すのをじっと我慢して見守っているひだまりの外
005:調
格調も品位もなくてひだまりが等しく照らすリサイクルの場
006:水玉
水玉はお調子者の印しですあっちにコロコロこっちにコロコロ
007:ランチ
黄緑の水玉模様お出迎えランチ彩るテーブルクロス
008:飾
誘われたランチだからと着飾って張り切りすぎて借りて来た猫
009:ふわふわ
ふわふわは飾りじゃないよこの羽で命広げるタンポポの種
010:街
夜の街そぞろ歩いて午後十時ふわふわ生きる寄辺ない子ら
011:嫉妬
嫉妬する程には好きになってない言い聞かせてる夕暮れの街
012:達
しっと(嫉妬)りと口溶け甘い罠を張る乙女達は恋の狩人
013:カタカナ
友達をトモダチと書く切なさよカタカナ程度に軽い関係
014:煮
カタカナは煮ても焼いてもカラカラと身軽に底の浅い響きで
015:型
煮るだけで型にハメてはいけませんとろ火で見守る子育ての妙
016:Uターン
UターンしちゃうんだよねA型はなどと囀(さえず)る占い娘
017:解
ターンだけが正しいわけじゃない人の数だけ正解がある
018:格差
溶解しいっそ無くなれ格差など未来見るなら人類として
019:ノート
ノートにも格差があって色柄で綺麗に書いたり書かなかったり
020:貧
富める日も貧しい時も知っている角の破れた家計簿ノート
021:くちばし
カアと鳴き開くくちばし貧しさは人の心と烏が笑う
022:職
くちばしが黄色いままで職探し泣いて笑って若鳥となれ
023:シャツ
アイロンで背筋の伸びたシャツを手に妻と言う名の職に酔いしれ
024:天ぷら
帰宅して天ぷら揚げる音を聞きシャツも脱がずに見に来る夫
025:氷
氷水素麺そっと身を揺らし天ぷら達を仰ぎ見ている
026:コンビニ
かき氷コンビニならばいつだって売っているけど食べるなら夏
027:既
コンビニの店内まるで既製品同じ配置で安心を呼ぶ
028:透明
透明な緑の香する人に夢の中では既に会ってた
029:くしゃくしゃ
透明なビニール袋くしゃくしゃと音立て風が嘲笑ってく
030:牛
雨含み牛が歩けばくしゃくしゃと合唱してる春の牧場
031:てっぺん
クリームのてっぺん舐めて目をやれば原材料を提供した牛
032:世界
叫ぶなら中心よりもてっぺんで世界いっぱい愛を叫ぼう
033:冠
雄鶏の冠を見るひよこ達世界で一番強い父さん
034:序
花冠投げ合う娘(こ)らは無秩序の美に守られて無知の快楽
035:ロンドン
ロンドンに序(つい)でに寄ると電話あり聞き返したらパン屋の名前
036:意図
意図せずにふっと入った代理店ロンドンの文字にハート射られる
037:藤
藤の花薄紫の意図を秘め五月の風にはにかみ揺れる
038:→
→(左から)電車が来ると二歳児が指指し示す踏み切りの前
039:広
←→(やじるし)で広げる窓の便利さを便利と思わぬ電脳世代
040:すみれ
広くない空き地でもないひだまりですみれのつぼみお昼寝してる
041:越
お喋りをすみれとしたくて蝶たちは垣根を越えて今日も舞い来る
042:クリック
送信をクリックされて電界の海を越えてく電子鳩たち
043:係
叱るより膝に乗せればおとなしい2歳の息子はクリック係
044:わさび
粉わさび捏ねる係に指名され涙こらえてボール抱える
045:幕
幕の内弁当にある練りわさび切なく待つ身の哀しみに似て
046:常識
時代劇黒幕いるのが常識さ日本全国悪者だらけ
047:警
警戒だ常識常識言う人がたいてい一番常識が無い
048:逢
逢っている時にはやめて警官の顔をしないで目つきが恐い
049:ソムリエ
ソムリエの手つきですっと触れられて秘めた逢瀬に香りが開く
050:災
災難がソムリエ達に忍び寄る黄色い粉の殺し屋達が
051:言い訳
言い訳が更なる災い呼び起こす謝罪は一言「ごめんなさい」で
052:縄
縄跳びが飛べない事の言い訳を聞いてもらえぬ体育の授業
053:妊娠
縄を掛け重石引き摺る苦しみの妊娠後期ゴールは間近
054:首
産科医に妊娠告げられ首下がり手が無意識に腹部を包む
055:式
正式の紙一枚が人により首輪になったりリボンになったり
056:アドレス
初日から聞けないでいたアドレスは卒業式でも聞けずじまいで
057:縁
アドレスが縁と縁とを取り持って無理なく絆深めてくれる
058:魔法
縁日の魔法の効果あるうちに手を握りたい「好き」とも言いたい
059:済
砂浜に燃焼済みの恋の残骸真夏の魔法秋風が解く
060:引退
引退を済ませて更に燃え上がる腐女子魂ヲタク街道
061:ピンク
引退の記念にもらった花束のピンクもやがてセピアの思い出
062:坂
下り坂ピンクの広がる並木道わたあめの中降りて行くよう
063:ゆらり
ゆらりんと坂のてっぺん柳の木風に何度も頷いている
064:宮
竜宮の広間でゆらり気だるく踊るタイとヒラメの捻くれコンビ
065:選挙
選挙して竜宮一の踊り手を選べば見事タイが当選
066:角
やれ選挙選挙だ選挙だと角出して大騒ぎして結局落選
067:フルート
白い路地角を曲がればフルートが遠く聴こえて心は異国
068:秋刀魚
フルートと秋刀魚ならべて詠んでみる好きこそものの上手と信じ
069:隅
美しき骸となった焼き秋刀魚隅の隅まで食べつくされて
070:CD
CDのジャケット隅のコーヒーの染みの思い出ほろ苦くなり
071:痩
痩せていくレコードの溝懐かしい指に冷たいCDの裏
072:瀬戸
痩身の乙女のように括(くび)れてる瀬戸内海を艶っぽく見る
073:マスク
マスクした瀬戸の花嫁笑えないフェーズ5(ファイブ)のインフルエンザ
074:肩
マスクして肩を落として歩いている群れなすヒトがはるかに恐い
075:おまけ
父の日に肩叩き券渡すけどおまけのケーキは私が食べた
076:住
居候言い方変えておまけさん住んでいるのは玄関の脇
077:屑
屑籠のような住いが映ってるテレビ眺める午後三時半
078:アンコール
アンコール応え手を振る少年の屑星だった過去が消え行く
079:恥
アンコール気恥ずかしくて目を伏せる友の名を呼び勇気届ける
080:午後
午後9時に目覚めた新婦は禁断の果実より尚赤く恥らう
081:早
「早く行こ」急かしてくるのは三歳児午後の散歩は楽しい冒険
082:源
源を目指して上る鮭たちの「早く!早く!」と立てる水音
083:憂鬱
憂鬱の源たどれば恋人の歯に衣着せぬ物言いがある
084:河
憂鬱を溶かしたような色をしてうねり流れる大雨の河
085:クリスマス
クリスマス光の河が乗せて行く恋人たちを愛の岸辺へ
086:符
クリスマス片道切符胸に抱く我を届ける遠距離恋愛
087:気分
飛び跳ねる音符のように気分屋の猫の尻尾に萌え狂う日々
088:編
わくわくの高揚感を編み込んで一首詠えば気分上々
089:テスト
編み込みの髪のあの子はいつだってテスト満点憧れの的
090:長
十分と思えぬ長さ苦しんだあるの忘れた小テストの日
091:冬
冬瓜をとろとろ煮込む長さだけ居眠りしようか読書をしようか
092:夕焼け
秋よりも赤味を増して空染めて冷気呼び込む冬の夕焼け
093:鼻
秋感じ鼻と目とで探し出す夕焼けを背に立つ金木犀
094:彼方
鼻先で閉じた扉が語ってる心はとうに彼方へ去った
095:卓
彼方まで話広がる食卓を囲む家族の会話満開
096:マイナス
卓上で「プラス」「マイナス」語らない女は黙って出たとこ勝負!
097:断
マイナスを断ち切って行け顔を上げ前へ前へと進んで行けよ
098:電気
恋破れ思い断つよに電気消し枕に涙染み込ませてく
099:戻
電気屋に「入るだけ」だと言い置いて戻らぬ夫待つティータイム
100:好
戻りあう好意互いに受け止めて今は一児の親をする仲
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