近年の日本の若いサッカー選手が優秀な理由

昔から、日本のアンダー世代はアジアでは勝てていたが、近年はヨーロッパや南米を含めた国際大会でも好成績を残すことが多い。

これはなぜか。理由は大きく分けて2つあると思われる。


1つ目の理由

「世界を知る世代が指導者になり始めたから」
これまでの日本サッカーは、世界相手に勝てなかった、そのくせに指導者は、自分たちの知識をアップデートしようともしない世代()がメインだった。もちろん例外もいるし、例外がいるから日本サッカーは少しずつ強くなっているのだが、あくまで少数派。
しかし5年ほど前から、世界を相手にバリバリ戦い、結果を残したきた世代(井原正巳、戸田和幸、福西崇史、宮本恒靖など)が指導者・解説者としてデビューし始めた。

これによって、選手たちは若いうちから質の高い指導を受けられるようになり、結果、世界と真っ向から張り合える選手が育ってきている、という印象がある。
特に若者にとって、指導者は大切なのだ。マンチェスター・シティのスターリングの変わりようを見れば明らかだろう。脳筋の代表格とバカにされてきた彼が、グアルディオラの指導を受けて今やあの頭脳的な戦術に欠かせない選手になっている。

2つ目

「スポーツエリートが野球ではなくサッカーを選ぶようになったから」
今の若い世代(23歳以下)が幼稚園あるいは小学校に入学するタイミングで、ある出来事が起きた。言い換えれば、全国津々浦々の親に「うちの子にサッカーを習わせよう」と決意させる出来事があった。そう。2002年日韓ワールドカップだ。日本代表初のベスト16入り、視聴率66%、ベッカムフィーバー、ロナウドのヘンテコ髪型、イケメンイルハン、鬼の形相オリバー・カーン等、日本中のあらゆるニュースを牛耳り、他スポーツの影を薄くしたこの歴史的大会が、今の若手世代の親に「うちの子にもサッカーを習わせたい」と思わせた可能性は非常に高い。(というか、この可能性を否定する方が難しいだろう)

実際に、23歳以下の選手たちが野球ではなくサッカーを選んだことがはっきりとわかるデータがある。やり方がよくわからないのでここには載せられないが、要するに以下のようなこと↓がグラフになっているのだ。
中学野球部の部員数が、野球日本代表がWBCで劇的な優勝を果たした2009年にガクッと減っている。いやいやおかしいやろ。普通逆やろ。と思うやんかー。なぜか。
考えられる最大な理由。それは、2009年の中学1.2年生は、小学校入学時に日韓ワールドカップが開催された世代だからだ。(つまり1995年以降に生まれた子たち)

要するに、「うちの子は今年から小学生だ。何を習わせよう。そうだ、日韓ワールドカップでサッカーが盛り上がったし面白かったから、サッカーにしようかな」と考えた親にサッカーを始めさせられた(自ら始めたいと思った)子たちは、2009年に中学生であり、今、22.23歳なのである。彼らはWBCで日本代表が優勝した頃にはすでにサッカーにどっぷり浸かっていたので、「野球優勝したんだ。まあ俺はサッカー部だけど」くらいにしか思わなかった可能性がある。
※それにしてはサッカー部の部員増加数が少ないのではないか と思うかもしれない。だが忘れてはいけない。サッカー少年の中には、部活に入らずにクラブチームに入る子も多いのだ。何を隠そう、僕もそうだった。
サッカー大好き。だけど古臭くて拘束時間の長い(当時はそうだった)サッカー部は嫌だ。クラブチームがいいと。そこは野球とは違うので注意。部員数だけでは競技人口はわからない。

なお、この世代は小学校時代に日韓大会を経験しているが、これより若い世代は幼稚園児の頃に(親が)日韓大会を見ている。彼らはもっと早い段階からサッカーに親しみはじめた可能性が高い。

23歳以下の主な選手たち

冨安健洋(日本代表)、久保建英(FC東京)、郷家友太(神戸)、橋岡大樹(浦和)、安部裕葵(鹿島)、田川亨介(FC東京)、堂安律(日本代表)、中井卓広(レアル下部組織)、小川航基(磐田)、立田悠悟(清水)、前田大然(松本)、佐々木大樹(パルメイラス)、鈴木優磨(鹿島)、中村航輔(柏)、中山雄太(ズヴォレ)、相馬勇気(名古屋)ら。(キリがないのであとは省略)

すでにJ1で主力となっている選手が多い。さらに一部選手は海外ですでに活躍している。10年前なら考えられなかったことだ。
日本中の中学高校で、サッカー日本代表のおかげもあって「サッカー部は爽やかでカッコいい」というイメージが生まれていることも大きい。中高年の方々にはジェネレーションギャップの極みだろうが、今若者の間で最も人気のあるスポーツはサッカーなのである。それゆえ、少子化が進んでいる日本において、サッカー人口はさほど減っていない。むしろ選りすぐりのスポーツエリートがサッカーを選び、彼らに質の高い指導がなされるので、レベルは着実に上がっている。
今の若手世代のプレーを見ていると、自信を持ってそう言える。

お金に余裕のある方はもし良かったら。本の購入に充てます。