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エッセイ

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2020年4月の記事一覧

サッカースタジアム体験記

現在、Jリーグはコロナウイルスの影響で中断されている。再開されてもしばらくは無観客試合が続くだろう。Jリーグ各クラブは大きな収入源を失い、苦境に立たされている。 今の僕は、1日でも早くリーグが再開できるよう外出を自粛し予防を徹底することしかできない。しかし、いつか通常に戻った時に、スタジアムに馴染みのない多くの人々に「スタジアムに行ってみるか」と思ってもらうことは出来るかもしれない。そう思いこの文章を書くことにした。 サッカースタジアムに行ったことのない人には、この文章で「

早起きして触れた「異世界」

朝4時に目が覚めた。空は青くなりつつあるが、世界はまだ暗い。もう一眠りしようと思い布団に潜り込んだが、寝付けない。なんだか頭が痛い。昨夜アルコール3%だと思って飲んだチューハイが6%だったせいだ。酒の力で早くに眠りに落ち、その分早く目が覚めてしまったのだろう。そのような寝方をした次の朝は少し気持ち悪い。仕方なくスマホをいじっていたが、ますます気持ち悪くなった。現代社会の産物は二日酔いを冷ましてなどくれない。僕は慌てて立ち上がった。 立ち上がった弾みに閃いた。そうだ、散歩しよう

最高に知的で面白い映画を大学で観た話

2015年夏。太陽が燦々と輝く昼下がり、僕は学部棟の大教室にいた。 教室には僕も含め500人近い学生がいたが、いつも眠そうな顔をしている羊たちの目は異様に輝いていた。 なぜならこの日は、みんなで映画を観る日だったからだ。 前の週、教授が言った。 「来週は最高に面白く知的な映画を観ます。感情や常識に流されず、論理的に物事を考えることの大切さを学んでほしいと思います。この教室にいる時点で論理的思考力に長けているとは思いますが、それでもこの映画から学ぶことは多いでしょう。では、お

アヴリルを聴きながら

「観るのやーめよっと」 僕はテレビを消した。本日2度目だ。 この日僕は2本の映画を観て、どちらも途中でやめてしまった。それほどつまらないわけではなかったが、半分ほど観たところで「残り50分もこの映画に付き合うのは時間の無駄な気がする」とドライな気分になり、消してしまった。 真面目で完璧主義的な性格をしているためか、映画を途中で放棄することはまずない。後半30分の恐るべきクオリティの低さで有名な「映画クレヨンしんちゃん 踊れ!アミーゴ」ですら最後まで観た。しかし、この日は耐え

公園でサッカーをしてきた

外は雨が降っていた。部屋から薄暗い空をボーッと眺めていた僕は、ある健全な欲求を催した。 「ボールを蹴りたい」 ここ最近、無性にボールを蹴りたかった。もう1ヶ月近くサッカーの試合を観戦していないし、昔の試合を観るのにも飽きた。もはや自分でボールを蹴るしかない。サッカー経験者だからだろうか、毎度そんな論理の飛躍をしてしまうのだ。 午後3時。ようやく雨が止んだので僕は公園へ向かった。服装は上下ともに某強豪クラブのジャージ。体格と併せて、完全にサッカー青年だ。 付近に公園はい

群馬の蕎麦屋

大学2年生の冬、友人と4人で旅行をした。行き先は群馬県の温泉地帯。身バレを避けたいので具体的な場所は書かないでおく。 朝7時。僕たちは上野駅で待ち合わせをした。さすがは僕の友人。全員15分前集合という偉業を平然と達成した。 少しでも暖かいところへ行こうと思い、やたらと長い下りエスカレーターで地下(?)ホームに降り立った。地下の方が寒かったことはさておき、30分ほどの待ち時間の後、由緒ある特急列車に乗った。 朝が早かったこともあり、友人は皆寝てしまった。僕は駅で待つ間にコーヒ