驟雨

夏の中ほど
爪、およびナイフ
まだあまり
凄惨に慣れないので
腕、その身をもって
ためらいを決する日々です

また今日も
好き勝手に雨が降っています
台風の外枠の中
明け方の遠雷
あまりに無感動な目覚めに
突然
理由のない
名前のない
嗚咽
喉の奥底から湧き上がり
首から上の部分が
不思議な引力で伸縮を繰り返し
赤く粘った液体をただ、体外に吐き出すと
ぬるま湯のような汗が身体を覆っていた
真っ白い洗面台はいつしか
真っ赤な粘液で分断される
おののくばかりだ
跳ね除けた苦しみに
追いかけられる感覚が苦しい
重たい
前屈みになるのも
やっとのことだ
いつも飲む安定剤を
いつもより多く口に含んで
それからまた眠る
軌道に乗るまで、それは飛行ではない
だから、私の飛行はいつも安定する
繰り返す反動も
絶望ではないゆえに
どうかお願いですから
薬が効くまでの私には
誰も話しかけないでください。