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ニンジャの…TCG!を追う。 第2回「忍札見聞録」


前書き

ドーモ、ハジメマシテの方はハジメマシテ。発声練習です。
さて、去る2月8日にコンプティーク3月号が発売され、ついにニンジャの…TCG!!の体験版デッキが公開されました。

今回の記事では、実物のカードについてレビュウーをし、特徴的なルールや注目カードをご紹介できればと思います。

なお、本記事ではニンジャスレイヤーTCGを、試験的に「忍札」表記で統一したいと思います。流行るといいな。書くのが楽だし。)

現物点検 ニンジャ観察力をお持ちの読者はおられようか?

まずはカードの現物を観察してみます。

手に取ると、想像以上の満足があります。

なんといっても特徴的なのはこの縦書きのテキストでしょう。忍札のカードタイプには現在、キャラクターとコトダマの二種がありますが、このうちキャラクターカードがこのレイアウトを取っています。
「和風」を意識しているのもあると思いますが、大半のニンジャが人型体形のため、そのイラストを効果的に見せるためでしょう。ワザマエ。

各カードのフレーバーテキストは、本編からの引用となっています。どれも印象的なところが拾われていて、遥かにいいです…。
(「ともにゆくぞ、ナラク!」とか「地獄の猟犬がつきまとう。」など。)
ただ個人的には、文字が小さすぎてちょっと読みづらいのが残念なところ。今後のカイゼンに期待したいです。

裏面のデザインは、我らがニンジャスレイヤーのシルエットをモチーフにしたものでこれも大変カッコイイ。こちらですが…

おお、見よ。

ゴウランガ!物理書籍版ニンジャスレイヤー KYOTO: HELL ON EARTH ザイバツ強襲!(第2部1巻)のカバー裏のイラストではないか!

なおこれは筆者が偶然気付いてしまっただけであり、宣伝行為ではない。
いいね?

さて更に、他社TCGとサイズ感を比較してみましょう。

赤黒のニンジャと赤黒の煉獄邪神

左が遊戯王カード、右がデュエルマスターズカードになります。
サイズとしては、一般的にスタンダードサイズ(レギュラーサイズ)と言われる判型(横63mm×縦88mm)になります。スリーブを準備される際は、ご注意ください。(遊戯王、バトルスピリッツ、ヴァンガードなどは、スモールサイズと呼ばれる判型(横59mm×縦86mm)になります。)

ルール概要 予想は当たるのか?

さて、前回の記事で私は、忍札にはマナ志向ルールが採用されると予想しました。

結果は、というと……

古事記にも書かれている。

カードの使用(エントリー)に際し、エテル(≒マナ)を原則必須とするルールでした。アタリ!ポイント倍点!キャバァ―ン!!!
弱者が虫ケラのように予想を外してゆくのを期待していた読者の方はおられようか?

ルールの詳細な説明は、文末にリンクを貼付した古事記にも書かれているので割愛しますが、凄くざっくりまとめると、こんな感じです。

  1. お互い、礼法にのっとってアイサツします。絶対の礼儀です。

  2. 山札は40枚、初期手札は4枚、ライフは10ポイントの状態でスタート。

  3. ターン開始時のドローは2枚。※先行1ターン目は1枚。

  4. 1ターンに1度、手札を1枚、アンタイ・オジギ(縦向き)状態でエテルゾーンに置けます。(任意)

  5. アンタイ・オジギ状態のエテルをオジギ状態(横向き)にした数分、キャラクター(クリーチャー) or コトダマ(呪文)をエントリーできます。

  6. キャラクターで相手を攻撃します。この前後で、相手は必要コストが払えれば、コトダマをエントリーして妨害ができます。

  7. ダメージを受けたプレイヤーは、受けたダメージ分の枚数のカードを、山札からダメージゾーンに置きます。この時捲れたカードが「ウケミ」効果を持つ場合は、ダメージゾーンには行きません。すなわち、その分のダメージは無効となります。

  8. 攻撃が終わったらターン終了。これを繰り返して、相手のライフを0にしたほうが勝ちです。※先に山札が切れた場合はライフに関係なく敗北となります。

体験版デッキでの対戦の場合は山札25枚、ライフは5ポイントですが基本ルールは変わりないです。

◆閑話休題◆
最近登場したビルティバイドやワンピースカードのようなTCGでも、マナ志向ルールが採用されています。このルール体系では、カードの使用コストによって、インフレが抑制しやすいのが魅力なのかもしれないですね。
逆にコスト踏み倒しなど、ゲームテンポを破壊するカードを濫発すると、環境が荒れやすい面もありますが。
以上です。◆

特徴的なルール 「暗黒カラテの応酬!応酬!応酬!」

おおよそのルールもまとめたところで、筆者が1人回しをしてみて、忍札において特徴的と感じたポイントをご紹介したいと思います。

枯渇しづらい手札

当ゲーム、何とターン開始時のドローが2枚になっています。1ターン1ドローのルールが多いTCG界隈では、なかなか珍しいものです。(有名どころだとWIXOSSが1ターン2ドローであるくらいです。)2ドローがゲームに与える影響は、以下のようなものが考えられます。

1)序盤から手札を消費しても息切れしづらい

後悔は死んでからすればよい!


例えば先行1ターン目・手札5枚の状態から、1エテルをチャージし、ユカノをエントリーしたとします。そうすると手札はすでに3枚まで減ってしまっています。ところが次のターン2ドローがあるので、手札は初期と同じ5枚まで回復してしまいます。1ターン1ドローのルールであれば2、3ターン後には、エテルチャージ→エントリーを繰り返すだけで手札があっという間にアウト・オブ・アモー(註:弾切れの意)です。

2)手札が0枚になっても戦いやすい

さらに、仮に手札が0枚になったとしましょう。これが1ドロー制であれば、高コストのカードを引いたとき、エテル不足で何もできず、実質ターンスキップとなってしまうことがあります。が、ターン開始2ドローなので、エテルをチャージしながらカードをエントリーできてしまいます。

理不尽が道理を殺す!

エテルは3枚溜まったけど手札は0で、場のキャラクターも0。
ですが、2ドローで切り札となるニンジャスレイヤー◆飛翔と、もう1枚が引けました。4コストのニンジャスレイヤー◆飛翔も、エテルをチャージできるのでエントリーが可能です。

これらの特徴から、相手のリソース切れを待ってカウンターを仕掛けるような戦術、特に手札破壊戦術は、その有効性をかなり落とすことになるでしょう。(現状手札破壊の効果のカードは見えませんが。)

あれはチャド―奥義!グレーター・ウケミ!

1ターン2ドローの特徴だけであれば攻撃側が非常に有利にも見えますが、その代わりにか、ウケミ札が極めて強いです。
通常、ダメージを受けると山札からダメージゾーンにカードが置かれる(=ライフが減る)のですが、なんとウケミが発動すると、相手にカウンター効果を与えながら、ダメージを無効化できます。

デッキ全てウケミにすると実質ムテキ・アティチュードでは?
と思いきや、デッキへのウケミの採用枚数は最大16枚となっていてそこはルール上対策されています。それでも正式版ルールでは、ライフポイントは10、デッキは40枚。16枚投入した場合、単純計算、16/40=約40%の確率でダメージ無効化+カウンターギミックが発動し、ライフが最大1.4倍になる、ということです。

ウケミ札の方がスペックは低めに設定されるであろうとはいえ、実質的なライフが増え、かつ後手に回っても逆転しやすいことから、しっかりと枚数をとることが望ましいでしょう。特にキャラクターのウケミ札は、相手プレイヤーにもキャラクターにも攻撃できる点で、極めて優秀です。インターラプトないしインターラプト改善(プレイヤーへのアタックや、キャラクターへのアタックを阻止する能力)持ちだと、言うことなしですね。

チョーチョー・ハッシの攻防

我々にとって奇妙に思えるのが「優先権」のルールだ。これは覚えておく価値があろう。

端的に言えば「割り込みでカードをエントリーする権利」になります。
例えば相手キャラクターの攻撃による、イクサダメージ・ステップ開始時時、「キリモミ回転ジャンプ」を発動して、自キャラクターの耐久力を+2し、爆発四散を避ける、といったことが可能です。キャラクターを出せる状況でもあえてエテルを温存し、コトダマによる防御の構えをする、というような戦術も取れるわけです。(後述の注目のカードは、この戦術を強化するカードになります。)

優先権ルールによるカード効果の応酬が、このゲームの面白さの核となってくることでしょう。必然的に手札の消費も激しくなってくるので、そこを加味しての1ターン2ドローだとも考えられます。

◆閑話休題その2◆
既に修正済みですが、当初の簡易ルールには、以下のようなことが書かれていました。
「ターンプレイヤーはキャラクターを1人選び、それをオジギして相手のアンタイ・オジギ状態のキャラクター1人か相手プレイヤーをアイサツ対象として選ぶ。」(駐:2024年2月20日現在は、オジギ、アンタイ・オジギ問わずアイサツ対象に選択できる、と訂正されています。)

これを見たときは、かなりのリアリティショックを受けました。
同種の、カードの縦向き・横向きでステータスを表現するTCGでは、横向きになっているカードにのみ攻撃できる、というルールが一般的だからです。
(その他のTCGでも、相手の状態を問わず攻撃可能(遊戯王)、そもそもクリーチャーへの攻撃ができない(MTG、バトスピ)のようなルール。)

仮にこのルールであった場合、キャラクターで攻撃をしてオジギ状態にしないメリットが極めて薄いです。
この点から忍札のルールは、
・基本攻撃しどくで、盤面一杯にキャラクターを並べてからゆっくり殴り始める、いわゆる「溜め」プランを許さない。
・その代わりにウケミを非常に強力にして、攻撃側にもリスクを負わせる。
となり、なんたる常識的発想を超える、ニンジャの圧倒的な、きわめて攻撃的ルール設計か!と勝手に感心してました。
ナムアミダブツ!
◆以上です◆

注目のカード

最期に、体験版デッキから筆者の注目カードを2枚、ピックアップしてご紹介したいと思います。

ユカノ

その胸は豊満であった。

1ターン目からエントリーできるカードですが、カラテ3、耐久力3は体験版デッキ内ではヘイキンテキ、さらに工作力2を持つため、プレイヤーに2ダメージを与えられます。そしてなんと、ウケミ効果でエントリーできます!
攻撃を仕掛けた際にうっかり2枚捲れてしまうと、ダメージは0のまま、相手に4打点をそろえられてしまうのは、なかなかの脅威に思われます。

序盤の打点としても使え、カウンターギミックとしても期待が持てるため、いわゆるアグロ(註:序盤のターンから相手にダメージを与えて早期決着を図る、速攻戦術の意)デッキでは、真っ先に採用候補となりそうです。

ニンジャスレイヤー◆カラテ

太古の暗殺拳、チャドーのかまえだ!

「チャド―呼吸」の効果により、アイサツフェイズ、つまり攻撃時にエテルを2つ回復できるという、かなり特殊な効果を持っています。
一見すると用途が分かりづらいですが、これは前述の優先権ルールから理解することができます。2つ、使用例を挙げてみます。

【ケース1】相手のウケミへのケア

あなたはエテルを3払ってニンジャスレイヤー=サンをエントリーした。
相手プレイヤーに2点ダメージ!と思いきや、ユカノ=サンのアンブッシュにより、ダメージは1点に抑えられてしまう。
次のターンに反撃を食らってしまう…。その時!

「今日のアンブッシュには何点もらえるかしら?」

チャド―呼吸によってアンタイ・オジギしていたエテルを使い、コトダマ「スリケン」を発動!3ダメージを受けて、ユカノ=サンはしめやかに爆発四散!!

「私はセンセイではない。ユカノ。」「ンアーッ!!」

【ケース2】相手の攻撃をインターラプト

相手はキャラクター・フェイズに、ニンジャスレイヤー=サンとシルバーカラス=サンをエントリー。
シルバーカラス=サンの効果でニンジャスレイヤーのカラテが+2される。自分のキャラクターに攻撃されると、場のニンジャは全滅し、プレイヤーに2点のダメージが入る。きわめて危険なツーマンセルだ!!
その時!

夢の競演

イクサフェイズの開始時に、自分はコトダマ「囲んで棒で叩く」をエントリー!ニンジャスレイヤー=サンをオジギ状態に!
これで相手の強烈なカラテ攻撃を阻止することができたとゆう寸法だ。

「ニンジャを殺すだと…?俺たちだってなあ!イヤーッ!イヤーッ!」
「グワーッ、特殊警棒!?」

いかがだったでしょうか?
実質エテル+2で行動できる強力なカードと言えますが、その分激しく手札を消費します。リソースの枯渇しづらいゲームではありますが、雑にコトダマを切ってしまえば、その後の相手の攻勢に対応しきれなくなることも十分考えられます。プレイヤーのリソース管理能力が試される一枚となるでしょう。

感想と今後の展望

今回の記事は以上となります。

最初に体験版デッキの構築が公開されたときは、一見地味な印象も受けましたが、蓋を開けてみればそうした印象は払拭されました。特に優先権ルールは、プレイヤーの腕が試されそうですね。今後追加されてくるであろう、コトダマカードに要注目です。

次回の記事は未定ですが、発売前に情報公開があればカードの事前評価を、なければいきなりブリッツシールド戦(その場でパックを買って対戦するルール)の模様をお届けしたいと思います!!
ノンストップ、ニンジャの…TCG紹介!

当記事へのご意見・ご感想などもいただけると、大変嬉しいです。
それでは、オタッシャデー。

参考サイト

「【新鋭】スリーブの大きさについて~これを見ればスリーブ選びは完璧!カードゲームオシャレ入門~」カードゲームショップカードラボ (2024年2月20日現在)

「簡易古事記 ルールガイド」 株式会社TCG  (2024年2月20日現在)

https://www.tcg-corp.net/_files/ugd/94612b_6b593a2456234ad28e124f2dd7a0c2de.pdf


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