パパのビシソワーズが食べたい

画像1

夜の散歩をしてると、ビシソワーズの香りがした。パパが作ってくれたじゃがいものスープだ。もうしばらく食べていない。
懐かしくなったから、もうすぐ成人式だし、パパへの気持ちでも書こうかな。

気づいたころには両親の仲が悪かった。中学生になって、常に臨戦状態の家庭環境に耐えられなくなり、母親に離婚を勧めた。ひとりで暮らしたかったけど、許されなかったから母親についていった。反抗期だった私は「どうしてママについていくの?」と憤るパパに、「自分からプロポーズしたくせにママを幸せにできなかったから。」と思ってもないことを冷たく言ってしまった。あのときのパパの傷ついた顔は今でも忘れられない。

パパは、完ぺきな父親ではなかったかもしれない。怒りっぽいから。でも、今まで出会った人間の中で一番愛情深い人だ。
週末には、レストランで出てくるような手の込んだ料理を作ってくれた。春巻き、あんかけ唐揚げ、牛肉のしぐれ煮、とろろの磯辺揚げ、生パスタ、そしてビシソワーズ。もちろん、お皿洗いだってちゃんとする。
教育熱心だったけど、パパは習い事に頼らなかった。科学未来館や江ノ島水族館の年間パスポートを買って、自然科学の面白さを教えてくれた。夏休みには市民プールに通って、25m泳げるまで教えてくれた。中学受験のときも、コメダ珈琲で一緒に過去問を解いてくれた。
パパがくれた愛情は、数えたらキリがない。

こんなありがたみを感じたのは、離れて暮らすようになってからだ。恩返しをしたくて、必死に勉強した。パパのおかげでここまで成長できたよって言えるように。
大学に受かったとき、パパは生命保険のCMを見て、自分と重なって泣きそうになったと言った。お父さんが亡くなり、保険金で娘が大学に入学するというストーリーだ。「実は私も。」なんて恥ずかしくて言えないから、「パパ死んでないじゃん(笑)」って返した。
「ありがとう」と「ごめんね」をまだ言えてないから、生きているうちに言えるといいな。

https://youtu.be/r1gz-m5Ai_E


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?