【#シロクマ文芸部】骨皮筋衛門の小牧幸助部長救出大作戦
文芸部?
大人になっても部活動?
そう言っていたのに、今じゃ僕より夢中じゃないか。
そう言われてポッと頬を染める女。
だって、書くのがこんなに楽しいと思わなかったんだもの。
女を誘って良かったと安堵した男は、周囲を見回す。
他の部員も黙々と執筆をしている。
社会人向けに設立された文芸部は、日頃の鬱屈をネットにぶつけられると評判だ。気がついた時には、かなりの部員数となっていた。
「諸君!ペンは剣よりも強し!だ」
「はいっ!」
「君たちの鬱屈をネットにもっとさらすのだ!」
「はいっ!」
男はこの怪しげな文芸部の部長だった。部員達の指先の動きが高速化する。ほぼ全員がブラインドタッチで鬱屈をキーボードに叩きつけている。ブラインドタッチを習得していない部員がいれば、指先を丁寧にほぐしキーボードを早く叩けるよう導いた。
俺はなんていい部長なんだ。
書け、もっと書け、この世を鬱屈で覆いつくすのだと、ニタリとしたその瞬間。
「そうはさせないっ」
「あっ!お前はっ」
ふくよかなボディを水ゼリーのごとくプルプルさせ、飛び込んできたのは我らがヒーロー骨皮筋衛門。
「平和で使われるべき「ペンは剣よりも強し」という言葉を世界征服のために使ってはならぬ!」
負の感情を利用するなど言語道断!と叫ぶやいなや筋衛門はふくよかボディで敵を叩きのめす。
ヒラリクルンプルンスパーン!
ポーン!ボム!ポーン!ボムボム!
「や、やられた……」
「シロクマ文芸部は平和のためにあるのだ」
「大丈夫ですか?」
骨皮筋衛門は軟禁されていた小牧幸助部長を素早く助け出した。
「小牧幸助部長、あなたは世界平和になくてはならない存在です」
お怪我がなくてなにより、と部長に優しく笑いかける筋衛門のところにワラワラと人が集まった。
「骨皮筋衛門さん!ありがとうございます!」
「感謝の気持ちを表現させてください!」
「ぜひご活躍を書かせてください!」
「筋衛門さんのご活躍を未来永劫伝えたい!」
「筋衛門さんっ!」
すっじえもん!すっじえもん!
絶賛コールに赤面した筋衛門は、得意の潜入捜査の術を使い姿を消した。
「みんな!筋衛門記を書くぞ!」
「おうっ!」
こうして、筋衛門伝説は世間に知られていった。
ホラーに仕上げようと書き始めたのですが、骨皮筋衛門になってしまいました。
私の脳内がホラーです。
小牧幸助部長、勝手に出演させてごめんなさい💦
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