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【#シロクマ文芸部】詩と暮らす国誕生秘話

詩と暮らす、と言われる村がありました。

心優しい若者が巣から落ちたひな鳥を家に持ち帰り大切に育てたところ、小鳥が言葉を喋り始めました。

物まねと共に美しく鳴くので小鳥の歌声は詩のように聞こえ、聞く者の心を癒しました。村人は穏やかな顔つきとなり、訪れる者も帰る時には清々しい顔つきで戻ります。

いつしかその村は「詩と暮らす村」と言われるようになりました。

村がある国のお姫様はたいそうワガママで、希望がかなえられないと「首よ!首ぃー!」と叫ぶ癖がありました。たいそう可愛らしい顔つきのお姫様を城中の者は心底愛していたため、ワガママを止める人間はおらず城の中は常にピリピリとしていました。

ある日、顔色の良い家来を王様が見つけました。少し前まで青ざめオドオドしていたはずなのにと不思議に思い声をかけると、

「この前の宿下がりで故郷に帰っていたので」

と言います。

その家来は「詩と暮らす村」の出身者でした。

王様はお姫様のワガママを治すには最適な村ではないか、と考えお姫様に「詩と暮らす村」までの旅を提案しました。

「詩を歌う鳥?欲しいわ!」

大喜びで旅支度を始めるお姫様。

王様は鳥の歌う詩を聞かせるだけのつもりだったので、勘違いを指摘しようとしましたがお后様が止めました。間違いを指摘すると、お姫様が癇癪を起すからです。

穏やかな気持ちになれば、お姫様も鳥を欲しがらなくなるだろうと軽く考えて「詩と暮らす村」へと旅立ちました。

「詩を歌う小鳥はどこ?」

高慢ちきな態度で村人に尋ねるお姫様を、心穏やかな村人はニコニコと若者の家まで案内してくれました。

若者が小鳥の入った鳥かごをお姫様の前に置きました。

「鳴きなさい!」

お姫様は小鳥に強い口調で命令しましたが、小鳥は鳴きません。

「鳴きなさい!鳴きなさい!」

お姫様は我慢できずに癇癪を起しました。

あまりの癇癪に小鳥も村人もビックリして黙っていると、

「小鳥の首をはねなさいっ!」

とお姫様が叫びました。家来はいつものようにお姫様の言う通りに動こうとします。

家来が小鳥をわしづかみにしようとした瞬間、急に鳥かごが光り出しました。みながあっけにとられているうちに小鳥は人間の姿に変身し、お姫様を睨みつけました。小鳥は国の守護神だったのです。

「我は皆の心を平穏にするために小鳥となり平和のうたを国の片隅で歌い続けてきた。この村の者も訪れる者も周囲の平和を重んじ、だんだんと国に平和が広がっていった。それをお前は国の真ん中で自分だけの平和を求め生きおって!お前に姫として生きる資格はないっ!」

守護神が杖をふるうとお姫様は小さな小鳥となりました。

王様とお后様の手の平でピイピイと悲しそうに鳴いています。

王様とお后様、家来は涙を流しながら姫を元に戻してくれと頼みました。

「悪いことを悪いと教えられるか」
「はい。必ず」
「可愛いからと甘やかさないか」
「はい。甘やかしません」

守護神は姫を元の姿に戻しました。

その後、時々お姫様はワガママを言いましたが、みんなでお姫様を諫めました。ワガママを何度も直されていくうちにお姫様は正しいことがわかる大人へと成長し、立派な女王様となりました。

「詩と暮らす村」ではなく「詩と暮らす国」が誕生しました。

今回も難しかったなあ💦
でも悩んで考え抜くのは楽しかったです😊
小牧幸助部長、来週もよろしくお願いします♪

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