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作中、夜中に病の妻の腹を擦る男が「憂きことのなほこの上に積もれかし」と呟く場面がある。私にとっては、かつて曾祖母が訓えてくれた歌だった。優しく穏やかな曾祖母にそぐわぬ無骨さを子供心に不思議に思ったが、懐剣を携え満洲にも行き沢山子を産んだ曾祖母の胸中を思うと、今ならわかる気もする。