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『降り積もる祈りに』 夜更け──。静寂を妨げるかのように吹き上げた冬の風に乗り、降り積もっていた雪がきらきらと舞う風花となった。それは天より使わされ、何処へともなく散って行く数多の祈りの粒。再び出逢い、折り重なり紡がれる粒たちは、天の川とも見まごうほどに耀く繊細な光の結晶となる。

6年前

『真冬に流る天の川』 かつて、共に夜空を眺めた人が言った。「夏と冬の川……違いがわかる?」と。「向き?」と答えると「そうじゃない」と笑う。夏の川は魂をのせるものだよ、と。「じゃあ冬は?」と問うと、少し目を伏せて「祈りだ」と答えた。その人の祈りは、今、あそこを流れているのだろうか。

6年前

『冬孤立』 すっかり葉も落ち切った冬の日。ふと見上げた木は立ち枯れ寸前だった。その姿が、記憶の扉の向こうにいる人を思い出させる。己を鼓舞すると言えば聞こえはいいが、実は追い込んでいるも同然だった人。孤高─ひとり立ち、決して他に交わる事なく─孤独とも孤立ともつかず、ただ木立の様に。

6年前