くろいおおかみのはなし

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せかいの ちゅうしんには かけがえのない ひとがいる 「でもね、ひとり じゃないのよ」 おんなは いつくしむ おおかみの しらない あたたかさ 「……わからない」 ふふ、とわらった おんなは けつやのいい おおかみを なでた

4年前

くろいおおかみの ことばに おんなは めを おおきくして おどろいた 「……へんなひとね」 あかい うつくしい ひとみが ふしぎそうにまたたいた 「あんたは ずっと ひとりだった のか? 」 「えぇ、もちろん」 ひとりでいる でも ひとりじゃない

4年前

むかーしむかし あるところに くろいおおかみがおりました おおかみは あかいひとみが とてもきれいでした

6年前

「わからないわよね」 ころり ころり とわらうおんな 「……あんたのそばは なぜか ここちいい」 ぶっきらぼうな ことば でも、すこしだけ ひとみが やさしい 「そう、こうえい だわ」 ひとりと いっぴきは ひとのいないもりで おだやかに すごした。

4年前

だれよりも じゆうで だれよりも さみしそうな おんなは いつも ほほえんでいる 「くろいおおかみさん きみは じゆうだ どこへいっても いいんだよ」 すこし こまったように わらう おんな 「すきに していいのだから おれは ここにいる」 ともに いたいと おもった

4年前

いてついた こころの おおかみは すこし まぶしそうに おんなをみた 「……あんた ふしぎだな」 「あら わたしはふしぎではないわ」 ただ いきているのと どうじに しんでいるだけ だもの と ほほえんだ

4年前

「とても しずかだな」 めをほそめた おおかみは つぶやいた 「そうね でも わたしのまわりには きもちがあるのよ」 きぎのさえずり どうぶつたちのしせん くうきのこえ しぜんの きもち がそこにはあった

4年前

おんなのいるせかいは とてもしずかだった きぎが ある かわが ながれる かぜが ふく それだけでも おと はする なのに、おんなのまわりは おと がしなかった

6年前

くろいおおかみの けいやくを うわがきして くろいおおかみに じゆう をあたえた 「……じゆうというのは わたしにひっついていることではないわよ?」

6年前

ないはずの 「こころ」というものが うごいた 「おや、わたしとおなじ ひとみ なんだね」 おんなは とても つよかった

6年前

「のろいをはこぶ くろいおおかみ わたしに なにかごようかしら?」 ばらのように つきのように ほほえむおんな くろいおおかみの しょうたいを しっていても おそれず ほほえむ きじょうで つよいおんな

6年前

くろいおおかみとは すこしちがう あかいひとみ こきゅうをわすれるほど みいっていた

6年前

「はじめまして」 すずのなるような こえ 「なにか ごよう? しっこくの おおかみさん」 ほほえんだおんなに くろいおおかみは おとこの めいれいをわすれた

6年前

くろいおおかみを めのまえにして さけんだり おびえたり おこったり にんげんは とてもさわがしい でも いま めのまえにいる くろかみのおんなは ちがっていた おびえも いかりも なにもない ただ しずかに くろいおおかみに ほほえんだ

6年前

もりのなか ひとり すんでいる くろかみのうつくしいおんなは とてもしずかだった

6年前

とあるひ くろいおおかみは くろかみのうつくしいおんなを きずつけろ とめいれいされました

6年前

おとこは くろいおおかみに なんども なんども ひとをきずつけさせました なにも かんじずに くろいおおかみは おとこに したがいます

6年前

とあるおとこに つくられた くろいおおかみ だれかを きずつけるために うまれたことを しっていました それでも くろいおおかみは なにも かんじずに そんざいしていたのです

6年前