口の中にムチを持て。
「彼氏彼女」
という呼び方がある。
うちの彼氏が、とか
俺の彼女が、とか。
恋愛対象者の立場を表す意味で使われることが多い。
私はこの言葉に違和感がある。
別に忌み嫌っているわけではないし、過去も、そして今も、自分自身恋心を抱きお互いの気持ちが通じ合えた相手を、そう呼んできた。
でも、今も昔もこの言葉を、積極的に使いたくはないと思っている。
なぜか。
そんな話を今日はしたい。
彼氏彼女という関係性について云々というよりは、その言葉、呼び方そのものについて考えてみたいと思う。
あなたは自分の言葉に、どれだけの定義を持っているだろうか。
今回は引き出しとして、彼氏彼女という言葉を選んでみることにする。
どうでもいい!と感じるかもしれないけれど、「彼氏」「彼女」の意味、その言葉の定義を、深く考えたことがあるだろうか?
いやいや彼氏は彼氏
彼女は彼女でしょwww
と、草草〜と思う気持ちもわかる。(この、末尾によく付いてるwは「くさ」と読むらしいことを最近知った)
しかしその「彼氏(彼女)」は、あなたの価値観を反映したものだろうか?
広告のキャッチコピーや、テレビやYouTubeの誰かのコメントで、他者から見聞きした定義ではないか?
もしちょっとでも思うところがあるなら、一緒に考えを深めていけたら嬉しい。
きっと生活に彩りが芽生えると思うから。
◇
まず初めに、定義をつくるというのはどういう事だろうか。
定義は人生を愉しくしてくれる。そう個人的には捉えている。
定義というのは、自分の判断軸になるからだ。
判断軸の幅が広く、深さが深いほど、後悔しない人生を送れるようになる。
ここで彼氏彼女の話をする前に、自分なりに言葉の定義をつくる。ということについて考えてみたい。
「アンパンとコーンパンどっちがいい?」
あなたはどちらを選ぶだろう。
この時自分の中にパンの定義がある人は、自信を持って選ぶことができる。
例えばどっちが好きか嫌いか、で選ぶのもひとつの定義だ。
アンパンがいいわ!そしてわたしゃ粒あん派よ!!も、いち定義。(ちなみに私はこしあんが好きだ)
もう少し突き詰めてみると、「食」というテーマに定義を持っていると、より明確な理由を持って選ぶことができる。
個人的には、食事としていただくならコーンパンを選ぶ。アンパンは白砂糖の糖分が多く含まれるため、摂取後すぐに脳の働きを鈍らせるからだ。おなじパンでも、まだ糖分量の少ないコーンパンの方が脳への打撃はゆるやかになる。
もし興味があったら、ぜひ食べ比べてみて欲しい。
意識して感じようとすると、食物を噛んで飲み込んだ後、どれくらいの時間で脳が影響を受けるかがわかる。
霧がかったようにモヤっとすることもあれば
逆に朝日が登るみたいに冴え渡る時もある。
私の場合、
アンパンは食べたら即座に強烈にモヤっとするが
それに比べてコーンパンはまだマシ、ゆったりと霧が生まれ脳の働きが低下してくる印象だ。(そもそも論として小麦はパフォーマンス向上には向いていない)
こういう経験を色々すると、どの食物が自分にとって最適かを選べるようになってくる。
今回の場合であればコーンパンの方が、少なくともどか食いしなければ脳はまだ平常運転してくれるのだ。
これが私の食べることの定義だが、こういうことが判断軸となり日々の食物を選ぶようになる。
コーンパンという言葉の定義が自分にとってくっきりしているので、相手の意見に流されてアンパンを買うことはない。(食べたかったら食べるけど)
相手に流されず自分で選択している自覚があれば、後悔することもない。
小さいことだけれど、意外とこーゆーことが人生愉しくいきるにはとても重要だ。
つまり。
愉しく生きるには、自分なりの定義を持っていた方がいいと私は思っている。
だから話を元に戻して「彼氏彼女の言葉の意味」についても、一度考えてみたいのだ。
あなたと私の定義は違うと思うけれど、私の考えがひとつの参考になればとても嬉しい。
◇
異性の話題が特に行き交っていたのは大学生の頃だった。
「私の彼氏が」
「あの子の彼氏は」
そんな会話が飛び交う中、なんだか居心地の悪さを覚えた。
あなたは、世間一般によく聞くこの言葉にどんな印象を抱くのだろうか?
私はこれらの言い方が、上から目線のように感じるのだ。彼氏と呼ぶその人を、まるで自分のもののように言っている気がして。
まして、「あの子の彼氏は」って何だろう?その人は「あの子の彼氏」の何を知っているのだろうか。
当時の友人達がだれそれの恋人の話をしていると、内容よりもそこが気になって仕方がなかった。首を傾げすぎてフクロウになりかけたくらいだ。
…冗談はさておき、言葉は距離感を作る。
親しい人はあだ名で呼ぶが、初対面なら名字にさん付け。そこには自分とその人の間にある距離を、ある程度反映した呼び名が生まれるのが一般的だ。
初対面で目上の方に「〇〇ちゃん」と呼ぼうものなら、握手さえ難しいだろう。
「うちの彼氏(彼女)」という呼び方には、どんな距離感が含まれているのだろうか?
はじめにも言ったけれど私はその呼び方に違和感がある。
距離感がほぼ0で、親しみはあれど尊敬が薄いような気配を感じるからだ。
私のもの。
俺のもの。
と。
なぜこうなるのか?付き合った当初は、きっとその手に触れることさえ臆病に思っていただろうに。
近くにいることがいつの間にか当たり前になって、互いの輪郭がぼやけてしまったのだろうか。
灯台下暗しではないけれど、近すぎて見えなくなることはたくさんある。
もちろん私のように感じない人もいる。
だから強制したいなんて思わないし、「それ、距離感ちゃんとわかってなくなーい?」なんてドヤ顔で言いたくもない。
ただ、自分が使うときは、別の言葉がいいなと思うのだ。
例えばなんだろう。
「大事な人」
とか
「一緒にいたい人」
みたいな。
個人的に、これらはとても心地良い響きだ。
しかし日常会話で
「私の大事な人が〜」
とか言ってたら重い。重すぎる。
だから時と場合をわきまえて表面的には周りと同じ「彼氏」と言ったりするけれど、心の中でこっそり変換するようにしている。
勘違いしてはいけない。
あの人は自分のものではない。
有り難みを忘れたらダメだ。
そう戒める必要があると思う。
相手と良好な関係を結びたいと思ったら、尚更だ。
しかし正直、こう意識するのは骨が折れる。
甘えて寄りかかることができたら、どんなに楽だろうとも思う。
でも、初めは甘えられることも相手は悪くないと感じるかもしれないけれど、ずっと続けばうんざりする。
水に飢えた花は枯れるのと同じで、
尊敬がなくなった場所に愛は咲かないのだ。
カッコいいことを言ってみたけれど、悲しいかな、なんとも当たり前の話だ。
もちろん変に敬意を払いすぎて、一緒にいることを楽しめないのは本末転倒。そのあたりの匙加減は難しいけれど、隣にいる時間を温かで親密なものにするために、相手に強要するのでなく、心の内に持っておきたいものだ。そんな風に思う。
できるなら冬の暖炉の火を囲むみたいに、穏やかな気持ちで相手の隣にいたい。いつもありがとう、と。
これは個人の恋愛観に過ぎないのだけれど、こういう理想と理由があるから、「うちの彼氏(彼女)は」という言い方が私は苦手だ。
むやみに彼氏彼女、と使うと、距離感を図り間違って感謝の気持ちを抱きにくくなるから。
だから、誰かの恋人の話をする時も
「〇〇の彼氏(彼女)”さん”」
と、呼ぶようにしている。
私はその人をあまり知らないから。
距離が遠いから、”さん付け”がいいと思う。
周りに同じように話す人は居ないのでいつも不思議がられるけれど、実はこーゆー理由があるんだヨ(勝手に弁明)。
何度も言うけれど恋人の関係性がどうあるべきか、という議論をしたいのではいので、先ほどの話に関しては「あーはしのはそう思ってるんだな」くらいに留めておいてもらえたらと思う。
要は、その言葉の意味をどう考えているのか。
自分なりに、解を持っているのか。
その大切さを伝えたくて、彼氏彼女というワードを例に出している。
この言葉に対する定義が、正しいかどうかはわからない。
けれど私にとってはこれが最も相手を尊重する気持ちを忘れず、自分を日々戒めて、成長できる。そして相手との時間を愉しめる言葉の使い方なので、自分の定義として”コッソリ”採用している。
まとめよう。
彼氏彼女の言葉をどんな意味で使っているか?というところから
・言葉の定義をもつ重要性
・私が思う「彼氏彼女」の意味と言い方
の話をしてきた。
最も大切なことは、各々の内容はどうであれ、言葉に自分なりの定義を持とうとすることだ。
彼氏彼女の意味が、私とは全く違くても問題ではない。それはそれで、ひとつの定義が確立しているというところで素晴らしいと思う。
あくまで個人的には、
距離感をわきまえ
尊敬の念を持って
相手に接するために
「彼氏彼女」の言葉の意味を捉え直す必要があると思っている。
そうやって出来た言葉の定義は、自分を成長させるだけでなく、人間関係も良くしてくれる。
“口に入るものは人を汚さず、口から出てくるものが人を汚す” (マタイによる福音書15章)
言葉は世界を作る。
自分が口にするそのひと単語の意味を、疎かにしては勿体無い。
もし良ければ、何かあなたが普段よく使っている言葉をひとつ挙げて考えてみてほしい。
彼氏彼女でもいいし、「こんにちは」とか「ありがとう」とかでもいいだろう。
パッとでてきたものがあると思う。
その言葉に、どんな意味を込めていますか?
気が向いたら、簡単でいいので教えてほしい。
私の言葉達もまだまだ意味が浅いし、考えなしに使っているものが沢山ある。
共に深めて、広げていけたらきっと豊かじゃないかな。
読んでくれて有難う御座いました。