見出し画像

両手の指の傷跡

4歳くらいの頃、座椅子の金具に両手の指を挟み怪我をした。今も左手の中指と右手
の親指に大きく縫った傷跡がある。
怪我をした日、私は祖父母の部屋で6歳上の姉と一緒に多分テレビを見ていた。姉の背後にいた私が突然火が付いたように泣き出した。姉が振り返ると両手から血をボタボタ流しながら大泣きする私が見えたらしい。
その恐ろしい座椅子はその後もしばらくの間祖父母の部屋にあった。座椅子を眺めても、どのように自分の指が挟まったのか分からなかった。ぼんやり覚えているような気もするが、病院で傷を縫合した記憶は全くないので、後で姉から聞いた話を自分の記憶と置き換えているのかもしれない。
今まで何回も繰り返し両手から血を流して泣いている自分の姿を想像した。もう二度
とそんな目に遭いたくはないが、タイムスリップしてその事故現場をこっそり覗いて
みたい気持ちになる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?