緊急帝王切開手術
27歳の時初めて妊娠した。お腹が大きくなっても自転車を乗り回し元気いっぱいだった。
出産予定日を10日ほど過ぎた頃陣痛が起きた。病院に行き検査を受けた。医者の表情が曇り「横位になってますね」と言った。横位とは赤ちゃんが子宮の中で横たわっている状態だ。横位の状態では絶対に自然分娩はできないとのこと。まだ陣痛が弱いので入院してギリギリまで横位が治るのを待ち、治らなければ帝王切開しましょうと言われた。実家の母が駆けつけてくれ6人部屋のベットで待機した。
だんだんと痛みが増してきたが我慢していた。しばらくして再度医者の検査を受けた。医者が緊迫した声で「子宮口が全開に近い!横位も治らないのですぐに帝王切開します!」と言った。突然ストレッチャーに乗せられガラガラと手術室に運ばれた。運ばれながら破水したことを感じた。私は医者の「横位の場合、破水したら赤ちゃんの命が危ない」という言葉を思い出した。慌てて看護師に「破水しました」と伝えたが取り合ってくれなかった。手術台へ移動させられ医者が「破水している!」と大声をあげた。私は心の中で呟いた。「だから言ったじゃないの・・・」
騒然とした雰囲気の中何かガラスがガシャーンと割れる音がした。不安が募った。
突然看護婦が叫んだ。「上の血圧が60しかありません!」
医者「橋本さん気分はどうですか!?」
私「だ、大丈夫です・・・」
ザワザワザワザワ
看護婦「血圧計が巻けてませんでした!」
私「おいおい」(心の中で)
その後2人の女医と大勢の看護婦は笑ったり、喋ったりしながら、私の大きなお腹から長男を取り出した。