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進路希望調査表の思い出

今日映画「のぼる小寺さん」を観た。

主人公の小寺さんは進路希望調査表にクライマーと書いて担任に提出した。担任は「もっと現実的な進路を書くように」と言ったが小寺さんは「嘘を書けと言うんですか?私はクライマーを目指します」と答えた。

私が高校生の時も進路希望調査表を提出していた。当時の私は漫画家になりたいと思っていた。しかし進路希望調査表には無難に地元の大学の名前を書いて提出していた。映画を観たり漫画や小説を読んだりラジオを聴いてばかりいた私の成績は悪かった。担任は私の進路希望調査を見た。蔑んだ顔で冷たく「その大学に行けると思っているのか?」と言った。私は別に行きたくもないわと心の中で悲しく呟いた。

結婚し3人の子どもができた。我が子達は高校時代まだなりたい仕事が決まってなかった。いろいろ迷っていた。進路希望調査表を持って帰ってくると、私は適当に無難な大学の名前を書いたらとアドバイスした。無難な大学名を書いて提出したら担任の先生から何も言われなかった。

次男は高校2年の夏位から長期休暇になると長男が働いているブラジリアン柔術の道場に出稽古に行くようになった。東京で2週間程ブラジリアン柔術道場でインターンシップをしていたことになる。高校3年になり次男は高校卒業後は東京のブラジリアン柔術道場で働くと決心した。そして進路希望調査に書いて提出した。三者面談で担任の先生は笑顔で母親である私に何度も進路の確認をしてきた。あんまりひつこく訊くので最後はキレ気味に「進路希望調査に書いてある通りです!」と答えた。

一回しかない人生だ。自分の人生は自分で決めて悔いなく生きたいと皆思っているだろう。しかしこれが意外と難しい。大人は子どもにデッカい夢を持ちなさいと言う。しかし子どもが大きくなったら無難な進路を勧め始める。私も同じだった。

今日映画「のぼる小寺さん」を観て改めて大好きなことを見つめて突き進む幸せを感じた。クライマーになる夢の為に真っ直ぐ登り続ける小寺さんが眩しかった。我が子達3人の将来は私には見えないし、人の将来なんて誰にも分からない。しかし大好きなことを仕事にして生きている子ども達を今は遠くから応援している。私とは違って、進路希望調査表に嘘を書かなかった我が子達を誇りに思っている。



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