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100年前から拡大し続けるシュタイナー教育がAI時代に最適なワケ 3

2020年は全世界が同時に大きな課題に向き合うこととなりましたが、こういった激動の時代に必要な能力は

・様々な問題を俯瞰する高い視点
・声なき声に耳を澄ませる感性
・上記から必要な解決策を見つける意志と実行する行動力

このようなスキルであり、これらを育むには一朝一夕でもテキストを読んで勉強するだけでも身につくものではありませんよね。

実際に体験して、経験を積んでいくこと以外にこれらの能力を育むことは不可能です。

シュタイナー教育では、体験することをとても重視されます。

例えば、幼児を担当する先生は「本物」にこだわります。

おままごと用のプラスチックの野菜にを木の包丁などのおもちゃは選ばれません。

包丁は切れる。

野菜だけではなく、指も切れてしまう。
それは実際の包丁を使って注意深く「遊び」の中で体験したときにのみ本当の意味でこどもの知恵となります。

プラスチックのおもちゃはこどもにとっても大人にとっても'簡単'ですが、大人にとって都合のよくない、手間の掛かることよりも優先すべきことを見据えるならば、おもちゃに何を選ぶかは自然と決まってきます。

COVID-19期間、わが家の長男(小学4年生)のクラスの遠隔授業によって、わたしはこどもたちが普段クラスで体験していることを37歳のおっきな転校生のような気持ちを経験しました。

約2ヶ月半の転校生体験で一番心に残ったことを書きますね。

バードウォッチングがテーマの時期だったので、学校でやるはずだった内容を先生がアレンジしてくださり、毎朝「これはどの鳥の鳴き声でしょう?」と音声をアップロードしてくれていました。

Stay home期間も毎日外で身体を動かすために、直接的な言い方ではなく「鳥の鳴き声を探しす」宝物探しのようなクイズはこどもたちの興味を誘い、自然と外へ行こう!という気持ちを引き出してくれます。

日課のお散歩では双眼鏡と地元の鳥たちのイラスト図鑑を片手に朝の鳥たちの鳴き声を聞き分けるようになりこれは〇〇だ!と、どんどん名前を鳴き声が一致するようになりました。

ただお散歩するよりも、耳を澄ませ、目を凝らし、全身の感覚を使っているのが自分も一緒にいるのでよくわかります。

鳥たちに気持ちを向けているので、同じ種類の子に会うと、昨日も会ったね。なんて友達になったように話しかけたり。

寒かった冬の終わり、桜が咲いて鳥たちが以前よりも喜んで鳴いている声が聞こえたある朝。

散歩の終わりに満開の桜を見上げているとハミングバード(ハチドリ)が桜の蜜を吸いに、ホバリングしながら花から花へ春が来た歓びを全身で表現してくれる姿を目の前で見せてくれました。

この体験を文字にすると「ハミングバードが桜の蜜を吸っていた」となります。

ですが、目の前で見ていた桜にハミングバードが加わった瞬間の感動といったら!

ハミングバードが桜の蜜を吸った。

その瞬間の景色には、間違いなく
キラキラキラっとした音があり、一瞬の薄ピンク色の爆発があったのです。

わたしも長男も、感動して涙が溢れました。

家に帰ってから、その体験を長男が絵にしたものがこの画像です。


写真に撮るとわかりにくいですが(わたしの撮影センス😂)本物は彼の歓びが飛び出していました。

この写真を担任の先生に送ると、写真だけで彼がどれほど気持ちが動いて描いたのかを何のコメントもなしに理解してくださったことに、さらに感動したのでした。(彼は絵が得意ではないと思っていて、普段は結構ちゃっちゃと済ませているのを先生はよく知っているのです)

こうした小さな体験の積み重ねが、意志力と感じる力(慮る力)を長い時間をかけて育み、思考する力のある人に育っていく栄養となっているんだなぁと思うのです。

こうした力は、自分がやりたいことと、自分がやるべきこと(腹の底から湧き上がる情熱)を一致させ、それを表現したときの自分は自由に何かを創造できるのだ、という自信に繋がっていくのでしょう。

無形資産と呼ばれる能力。とも言えるのではないでしょうか。


遠隔授業で知ったシュタイナー教育の現場から一コマ。何か伝わるものがあれば幸いです。

終わり。


2020年7月18日
はしのちか

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