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2020個人的ベストEP30

前回のベストアルバムの記事、たくさんの方に見て頂けているようで本当に嬉しい限りです。
1年を振り返り自分の中で整理して個人的なベスト作品を選ぶというのをもう何年も続けてますが、これ誰のためでもなく自分にとってとても重要な行事になってるんですよね。
それが100作品であろうが10作品であろうが、自分の中で本当に好きな大切な作品を見極める意味で、ベスト作品を決める時間はとても有意義な気がします。
今回は個人的なベストEPを30作品チョイスしてみました。
アルバムとも少し違うEPというパッケージ。
自分もその線引きはよく分からないんですが、あくまでもアーティスト側がEPとしてリリースしてるものの中から選んだつもりです。
アルバムの時と比べると見知らぬアーティストも多いかも。
この中から近い未来、アルバムへと繋がるものも出てくるかなという期待も込めて。
今回も最後まで読んで頂けるとありがたいです。


30. Pearly 「prettydarksexymusic」

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クリーヴランドベースのデュオ、PearlyのデビューEP。
Mazzy StarやJulee Cruise、Slowdiveを由来とした耽美でゴシックなダークウェイヴ〜ドリームポップ。
作品のタイトルがまさにこのサウンドを言い表してる感じですよね。
まるでDavid Lynchの映像作品のような世界観。
Chromatics好きにはたまらないです…。

29. Zsela 「Ache of Victory」

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NYベースのSSW、ZselaのデビューEP。
SadeやRhyeを思わせるスモーキーなヴォーカルと、洗練されたモダンソウルサウンドのマリアージュがとにかく美しい…。
プロデューサーはFrank OceanやFKA twigsなどを手掛けるinc. no worldのDaniel Aged。
渇いた心にじっくりと沁み渡っていくよう。

28. Hope Tala 「Girl Eats Sun」

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ウェストロンドンベースのSSW、Hope Talaの新作EP。
ボサノヴァを基調とした優雅でトロピカルな曲調とリズムの心地良さは相変わらず極上で、今回はそこにスパニッシュなフレイヴァーも加わってより一層トライバルな仕上がりに。
オーガニックでシルキーな質感のヴォーカルがとにかく好みですね。

27. TSHA 「Flowers」

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ロンドンベースのプロデューサー、TSHAの新作EP。
BonoboやJon Hopkins、Floating Points、Four Tetをぐっとポップに寄せたような。
華やかでアップビートなエレクトロポップスは良い意味で強いカラーが無く、様々なサウンドの特色を取り入れながら色んな色に染まれる柔軟性があるんですよね。
マリのグループ、Trio Da Kaliとコラボしたアフリカンなグルーヴも秀逸!

26. BUMPER 「pop songs 2020」

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Japanese BreakfastのMichelle ZaunerとCryingのRyan Gallowayによるコラボユニット、BUMPERのデビューEP。
90sのCibo Matto由来のコケティッシュかつ変則的なポップ感と、80s期のJanetを意識した跳ねるようなダンスビートがミックスしたサウンドが見事なセンス!
元々良いポップセンスを持ってるなと思っていたMichelleでしたけど、こんな引き出しもあったんだなと驚かされた作品でしたね。

25. Jockstrap 「Wicked City」

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ロンドンベースのデュオ、Jockstrapの新作EP。
変態性の強い摩訶不思議な世界観のエレクトロポップサウンドが中毒性抜群!
ノイジーな不協和音から美しいストリングスやピアノの音色までを巧みにエディットしてしまうあたりが只者ではない感満載でしたね。
今作から名門レーベルWarpに移籍してのリリースというのも注目ポイントです。

24. Sports Boyfriend 「Seek No Answer」

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シカゴベースのEileen Peltierによるプロジェクト、Sports BoyfriendのデビューEP。
軽いタッチのインディーポップにブラックミュージック由来のファンキーなグルーヴが良いアクセント!
ベースラインが妙に艶かしいというか、強烈なインパクトを残すんですよね。
TOPSとMr Twin Sisterをミックスさせたような、ゆったりノレる感じが心地良いですねぇ。

23. Les Sins 「C’mon Let’s Go」

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Toro y Moiの別名義プロジェクト、Les Sinsの約6年振りの新作EP。
NYのトラックメイカー、AceMoとコラボした前衛的なアンダーグラウンドハウス〜テクノなサウンドが超絶クール!
複雑で難解なビートにもかかわらずどこか聴きやすいポップな質感なのがさすがのセンス。
Les Sinsの前作は今でもたまに聴いてる本当に大好きな作品なんだけど、それよりはクラブミュージック寄りのソリッドな作風な印象でしたね。

22. Planet 1999 「Devotion」

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Charli XCXやSOPHIEとのコラボでもお馴染みのA.G. Cook率いるPC Music発の新鋭バンド、Planet 1999のデビューEP。
フューチャーとノスタルジアの間を自由に行き来する新感覚のシンセポップ。
ドラムやシンセの懐かしい質感とオートチューン処理されたヴォーカルのミスマッチ具合がたまらなく好きでしたね。
どこかヴェイパーウェイヴ味がある感じも魅力的です。

21. Zelma Stone 「Dreamland」

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サンフランシスコベースのSSW、Zelma Stoneの新作EP。
Angel OlsenやCat Power、Sharon Van Ettenにも通ずる、アンニュイな空気がゆったりと流れるアメリカーナ・フォーク〜ドリームポップ。
膨よかで包容力のあるヴォーカルがとにかく心地良くて。
時にか細く時に力強く、曲によって表情や表現を変える声の魅力が堪能出来る作品でしたね。

20. Molly Parden 「Rosemary」

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ジョージア州出身のSSW、Molly Pardenの新作EPは休日の朝にゆったり時間を過ごすのに最適な作品でしたね。
アコースティックなフォークミュージックの要素も感じるレトロソウルサウンドとでも言いましょうか。
Faye Websterが好きな人にはドンピシャであろう、脱力感と郷愁感に包まれる癒しの1枚です。

19. King Hannah 「Tell Me Your Mind and I’ll Tell You Mine」

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リヴァプールベースの男女デュオ、King HannahのデビューEP。
Lana Del Reyのような気怠さと色気と、Sharon Van Ettenのような説得力と気骨さを兼ね備えたオルタナティブロック。
一曲内での展開や構成が新人とは思えない程に練られていて、長尺の曲でもしっかりと耳を離さない力強さやアレンジの巧さがあるんですよね。
Angel OlsenやKevin Morbyあたり好きな人にぜひオススメしたい作品です。

18. Alaska Reid 「Big Bunny」

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元はAlyskaというバンドのヴォーカルを務めていたLAベースのSAW、Alaska ReidのソロデビューEP。
私生活でもパートナーであるA.G. Cookがプロデューサーとして参加していて、彼の独特の浮遊感のあるサウンドメイクのセンスも垣間見れるオルタナポップスという感じですね。
さらにはThe xxやSamphaなどを手がけるRodaidh McDonaldも参加。
地味ながら聴き応えのある意欲作です。

17. Couch Prints 「Tell U」

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ニューヨークベースの3人組バンド、Couch PrintsのデビューEP。
Yumi ZoumaやSnail Mail、Solangeなどを手掛けるJake Aronも音作りに参加した、程良く力の抜けたインディーポップサウンドがとにかく心地良くて。
80sの匂いを香らせながら、しっかりと今っぽくアップデートさせたJake Aronのサウンドプロダクションが最高ですね。
信頼と実績のLuminelle Recordsから。

16. Forever 「Close to the Flame」

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モントリオールベースのJune Moonによるプロジェクト、Foreverの新作EP。
同郷のOuriやMind Bath、TOPSやProject Pabloのメンバー達と作り上げた妖艶で陶酔的なサウンドがとにかくクール。
ハウス〜トリップポップ〜R&B〜ポップがエロティックに絡み合ったような質感が素晴らしくハイセンス。
彼女が参加したEXIT SOMEONEは今でも良く聴く作品で、今作が気に入った方はぜひそちらもチェックして欲しいですね。

15. Becky and the Birds 「Trasslig」

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スウェーデン出身のThea Gustafssonによるプロジェクト、Becky and the Birdsの新作EP。
まるでThe Avalanchesが制作したかのようなレトロで甘い質感の、ヒップホップを経由したモダンソウル・ポップサウンド!
優雅で艶やかな歌声が妖しく絡みつく様はまさに極上…。
浮世離れしたような神秘的なロマンティシズムにウットリしてしまいます。

14. Sofia Kourtesis 「Sarita Coronia」

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ペルー出身で現在ベルリンベースのDJ・プロデューサー、Sofia Kourtesisの2作目となるEP。
Axel Bowmanが代表を務めるレーベル、Studio Barnhusからのリリースなんだけど、ここのレーベルのカラーでもある実験的かつ耳心地の良いトライバルハウスなサウンドが最高なんですよね。
そこら中に散りばめられたヴォーカルサンプルのレイヤーとループで心地良くトリップしていく感じがたまらないですね。

13. JPEGMAFIA 「EP!」

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NYベースのラッパー、JPEGMAFIAの新作EP。
彼がこの1年で定期的にリリースしていたシングルをまとめてパッケージングしたコレクション的な作品ではあるものの、改めてこの人のサウンドは他の誰とも違うなと再確認させられた秀作だと思いますね。
トランプ政権への強烈な皮肉や批判が込められていて、ある意味でそれが楽曲制作のモチベーションとなっていた彼が、これからどんな音楽を作っていくのかがとても気になるところです。

12. Kate Bollinger 「A word becomes a sound」

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聴いてるだけで身も心も解きほぐされ、とろけてしまいそうなKate Bollingerの新作EP。
ジャズやボサノヴァを程良い味付けで忍ばせた、極上の昼下がり脱力ベッドルームポップサウンド。
家でのまったりリラックスタイムに最適な、アンニュイなヴォーカルやチルアウトなムードがたまらなく心地良い…。
もう今日は何もしないと決めた時のような、圧倒的な幸福感と脱力感が味わえる1枚ですね。

11. Laura Groves 「A Private Road」

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サウスロンドンベースのアーティスト、Laura Grovesの新作EP。
元々彼女は2009年にBlue RosesとしてXL Recordingsからデビューしていて、その後本人名義で再デビューしたという経歴を持ってます。
スッキリとした歌声とクリアでドリーミーなシンセポップサウンドが絶妙にマッチしてなんとも言えない神秘的な仕上がりに。
かつてBullionとユニットを組んでいたこともある彼女。
同じくBullionプロデュースのWestermanとも通じるサウンドとも言えますね。

10. Loraine James 「Nothing」

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ノースロンドンベースのプロデューサー、Loraine Jamesの新作EP。
ずっしりと重いベースとキックを掻き回すようなドリル音、そこにヴォーカルサンプルや歌声がいびつに乗っかるという未体験のサウンド。
グライムやUKガラージ由来の不規則で高速のリズムと不穏な質感のエレクトロビートが一度聴くと耳から離れない。
Hyperdubからのリリースというのも納得の完成度の高さでしたね。

9. Isola 「Ep1」

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ラスベガスベースのIvana Carresciaによるプロジェクト、ISOLAのデビューEP。
YaejiやChannel Tresのプロデューサーで彼らを擁するレーベル、Godmodeの代表でもあるNick Sylvesterが手掛けたミニマルハウス〜ダブテクノなムードのサウンドがとにかくクール!
滑らかなシンセと洗練されたグルーヴ、アンニュイな歌声。
ひんやりとしたハウスサウンドとしてもメロディアスなヴォーカル作品としても楽しめる、今年の隠れた名作です。

8. Channel Tres 「i can’t go outside」

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コンプトン出身のプロデューサー、Channel Tresの新作EP。
登場以来数多くのアーティストの曲のリミックスを手がけたり、今年はDisclosureのアルバムに参加するなど活躍の場を広げている彼。
彼の持つ独特のグルーヴやリズムセンス、そして低音ヴォイスの圧倒的なオリジナリティは今作でも遺憾なく発揮されてましたね。
Tyler, the CreatorとTinasheも参加。

7. India Jordan 「For You」

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イーストロンドンベースのDJ/プロデューサー、India Jordanの新作EP。
Daft PunkとAphex TwinとBurialを掛け合わせたかのような、ディスコ・テクノ・ハウス・ダブステップを自由自在に行き来するかのような、新感覚で少しノスタルジックなダンスミュージック!
サンプリングとチョップを絶妙に使い分けダンスクラシックに新たな息吹を吹き込む感じが素晴らしいですね。
90sレイヴなアッパー感がたまらなく好きでした。

6. Park Hye Jin 「How Can I」

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韓国出身のDJ・プロデューサー、Park Hye Jinの新作EP。
スムースで浮遊感のあるハウス〜クラブミュージックが最高だった前作以上に洗練された内容!
90sっぽい混沌とした空気やUSやUKにはない独特の色使いやテイストがあってそれがたまらなくツボ。
今作からNinja Tuneに移籍してのリリースというのもポイントですね。
Blood OrangeやNosaj Thingともコラボしてましたが、今後の幅広い方向での活躍にも期待です。

5. Magdalena Bay 「A Little Rhythm and a Wicked Feeling」

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LAベースの男女ユニット、Magdalena BayのデビューEP。
Spice GirlsやBritneyあたりの90s・00sポップスと、Charli XCXやKero Kero Bonito、Grimesなどの10s以降のポップスを掛け合わせたようなレトロフューチャーな質感。
このコケティッシュなヴォーカルからしてポップそのものという感じなんですよね。
Jポップや日本のカルチャーから影響を受けたサウンドやビジュアルなのも面白いですね。
にやけてしまう程にキャッチー!

4. Bullion 「We Had a Good Time」

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ロンドンベースのプロデューサー、Bullionの新作EP。
この人はUKのエレクトロシーンの影のフィクサーだと個人的には思ってるんですが、今作もさすがのクオリティーでしたね。
80sのシンセポップやニューウェイヴをベースに、それをしっかり現代のサウンドとして落とし込む感じが本当にお見事!
WestermanやJovialeのプロデュースに加え、今年は2作目のEP「Heaven Is Over」もリリースするなど精力的でしたね。
今後も彼の名前がクレジットにあったら要注目ですよ。

3. Blue Hawaii 「Under 1 House」

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カナダの男女デュオ、Blue Hawaiiの新作EP。
去年のALも良かったけど、クールにダンスフロアを揺らす90sディープハウスな路線のサウンドが個人的にかなりツボ!
湿気の無い心地良いビートと洒落たセクシーなサックスの音色の絡ませ方のセンス…。
カップルでもある2人が別々の場所を拠点にして制作して生まれたというのが面白いですよね。
自分はこの作品のフィジカルはカセットテープを手に入れたんですが、その懐かしい音質も相まってとても気に入ってしまい何度も聴きました。

2. Tomberlin 「Projections」

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LAベースのSSW、Sarah Bethによるプロジェクト、Tomberlinの初となるEP作品。
デビュー作はOwen Pallettをプロデューサーに迎えたみずみずしい作品でしたが、今作は友人でもあるAlex Gがプロデューサーとして参加。
穏やかで落ち着いた彼女の声とサウンドの中にほのかに感じるサイケデリックでサッドコアな質感がAlex Gの色を感じましたね。
これからの寒い季節、本当にお世話になるであろう素晴らしい作品です。

1. Christine and the Queens 「La Vita Nuova」

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今年の個人的なベストEPはフランス出身のアーティスト、Christine and the Queensの「La Vita Nuova」をチョイスしました。
彼女の個性やアート感覚の素晴らしさは言わずもがなですが、今作のテーマでもある儚さと喪失を軸としたダークで切ないムードの中で弾ける彼女のクリエイティヴィティの高さは圧巻でしたね。
Charli XCXのアルバムへの参加や今作でのCaroline Polachekとのコラボなど、新しいポップミュージックの担い手として互いに切磋琢磨しながら高め合ってる感じも素晴らしいなと思いますね。


というわけでこのようなラインナップとなりましたがいかがでしたでしょうか?
4-8曲程の短いボリュームながら聴き応えのある作品ばかり。
まだあまり知られていない作品も結構あったかと思いますが、EPだからこそ手をつけやすいというか、気軽に触れてみやすいという部分もありますよね。
今回初めて知って聴いてみようかなと思ったり、気になる作品を見つけてもらえていたら嬉しいです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!

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