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メモ帳#04

読書メモ「銃・病原菌・鉄」


なぜメソポタミアで最初に農耕が始まったのか

・地中海性気候

比較的乾燥しているため、狩猟生活から農耕生活に移行する動機が存在した。(もとから可食な動植物に恵まれた環境だとその状態を維持しようとするため、むしろそうした豊かな土地ほど農耕への移行は難しくなる)

・多くの優良かつ自家受粉する穀類が生育

年間の気候サイクルに適応したイネ科などの一年草が多く自生していた。そのため、初期の農耕に適した種を見つけることが他地域と比べ非常に容易だった。こうした種は、一年草であることから栽培後すぐに収穫ができたし、何よりそれを期待することを可能にした。個体は1年で循環するため葉や茎・幹に多くのエネルギーを割かず、種子に多くのエネルギーを使うことから可食部分の量が相対的に多くなる。また、一年草なので遺伝子を素早く改良できる。さらに、自家受粉が可能なため、優良な遺伝子を次世代に安全に保存できる。

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地中海性気候の地域は、例えば地中海地方・アメリカ東部・オーストラリア南西部・南アフリカ・チリなどに存在するが、上記の条件を満たした場所はメソポタミア文明が栄えた地域(肥沃三日月地帯)だけだった。


食用として優良か?

イネ科の植物が特に優秀だった点は、ほとんど手を加えずに主力食料源として栽培化できたことだ。そのため、例えば古代と現在の麦はほとんど形を変えていない。
一方で、南北アメリカ大陸で主食として育成されていたとうもろこしはその起源とされる種を特定するのが困難なほど現在とは似ても似つかない姿をしている。現在のような形で食用とするまでに何千年も品種改良を重ねなければいけなかった。
これはユーラシア(中国や地中海地域)と南北アメリカでの文明の発展に致命的な影響を与えたことは言うまでもない。食料が安定かつ低コストで手に入ることは人類を次のステップに進ませる上で大変に重要な要素だからだ。

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