『予想』の照らし合わせ

2023年9月2日 21:46

もう何度も話している事ですが、基本的に仕入れは半年前に "半年後" を見越して進めていくものなので、この秋冬の事は殆どが半年前の2月から3月には決まっています。

冬が終わって間も無いタイミングに次の冬を考える。

「予想」と言えばそれまでの話で、この半年前の判断に不確定な要素は避けられず、絶対という事は無いんです。

ただ、私は現場に立って伝える人間でもあり、中途半端な感情で仕入れても何も響かずに終わるだろうなということは絶対的な事実として言えます。これは間違いありません。

半年後、コレがお店に納品して再び自分自身が対峙した時に、今と同じか近しいベクトルで奮い立つのかどうか。

そういった感情を照らし合わせていく意識が、バイイングと販売を兼任する今の立場において1番大切な事かもしれません(他にも大事な要素はあるけど)。

上司の山下さんが過去に言っていた「半年前の答え合わせ」という一文。この意味合いが、今はその当時よりもかなり濃く共感出来る。

そして半年が経ち、先日あるブランドからパッキンが届きました。

半年後の自分にはどう映るのか、少し緊張しながら恐る恐る開封したのですが、、、

半年前の自分、やっぱり間違いじゃなかった。

これ、最高だよ。

非常に柔らかくしなやかな革質を保有する反面、その個体の小ささから製品化に至る面積量が極めて少ない希少なシープスキンと、滑らかなウールカシミアナイロンのビーバー生地を単なる裏張りでは無く、メインフェイスとしても着れるようリバーシブル仕様で構成している贅沢なブルゾンが製作されていました。

両面がメインフェイスになるということは、印象として何も違和感を与えてはいけない高いハードルが求められる訳ですが、ここ近年、アパレル生産業が飛躍的に推進しているインドの縫製工場に依頼し、生産コストをかなり抑えながらも非常に高い完成度で仕立て上げられた1着です。

シープスキン自体はなるべく大きくカッティングしていて、その扱い方もまさに贅沢使い。

キメの細かい艶めいた表情と少しドレープが効いた生地感を活かすかのように、裾リブは左右のみ設けることで自然な丸みを演出しつつも、過度な締め付けが無い分、このブルゾンの立ち位置としては珍しくパンツのシルエットも問わない優れたバランス感と言えます。

ビーバー生地の面は、毛先を一定方向に流しながらプレスしている為にフェルトに近い滑らかな肌当たりと上質なウールカシミアによる鈍い光沢感が特徴で、この素材感と生地感の関係性ならではとも言える絶妙なカラーリングも堪りません。実物は写真以上に本当に良いですよ、、、。

ポケットにはシープスキンでさり気なくパイピングが施されているので、襟を立てた時や袖を捲った際にリンクする映り方というのは、好きな人には刺さるディティールですよね。私はこういうのにめっぽう弱い。

「どっちで着ても良い」というよりも「どっちでも着たくなる」。

シンプルにファッション的な旨味では無くて、アウターとして求める機能的な安心感をしっかりと詰め込んだ上で「着方の楽しさ」を確実に与えている素晴らしいブルゾンです。

大きな内容感としては先程のブルゾンと同様ですが、ベストではカウレザーを採用し製作されています。

シープよりも少し硬派な印象に寄るので、個人的には温い色目のニットや素朴なジャケットの上に印象の重さを載せるライトアウターのように着て頂きたい1着です。ハンドポケットもあり、機能的にも問題無しです。

首元は少し角度があるおかげで、ジャケット上であればラペルに自然と沿いますし、アウターのインナーに忍ばせた際は窮屈さが希薄する良いバランス感。

ましてやシープ以上にビーバー生地と見え方にギャップが生まれる分、その汎用性はかなり高いかと思います。

そしてインアウトどちらも迷わずに着やすいサイジングを考慮して、サイズはMのみ仕入れていますが、余程コンパクトなアウター類で無い限りは大体の体型の方が着回せる筈です。

秋、冬、春。

季節の移り変わりと並行して身に纏う洋服も自然と変わっていく中、常に何の隔たりも無く起用できるアイテムが「ベスト」だと思っていますが、ここまで信頼感に溢れたベストはそうそう見つからない。

共感できた方は、是非これを「１つの正解」だと思ってご体感ください。

包み隠さず言いますが、nariwaiで展開する今季のSEVEN BY SEVEN はこれが最初で最後。

この2型に全てを注力しました。

それくらい素直に心が踊ったし、何よりも他ではあり得ないパフォーマンスの高さを様々な角度で感じ取れたから。

着れる日はまだ先ですが、この2型にはそんな日を待ち遠しくさせる確かな理由が存在しています。

どうぞお確かめになってみてください。

WEB release

9月3日(日) 18:00頃

※ 店頭にて完売の場合は掲載はございませんので
予めご了承ください。

Write
nariwai - Yuto Hashiba

業 -nariwai-

〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町2-6-23
ビブレスタオフィスビル2F
022-796-2240
nfo@nariwai-online.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？

『予想』 の照らし合わせ