今だけのシャツは要らない
気温やら花粉やらで段々と春の輪郭が見えてきて、身に纏う洋服も軽さを求めるようになってきました。
私は自分の事を欲深い人間だと思っている節があるんですが、洋服で言えば今だけ着れる買い物は極力避けたい派です。
勿論その時でしか味わえない感覚がある事を理解している上で、「その後はどうなるんだ?」と疑う癖があって、その予想が出来ないのであれば、それは自分にとって今だけしか着こなせない物になるから勿体無いと判断してしまう。
そんな凝り固まった癖がいつものように発揮された上で、今から晩夏に掛けて当たり前のように着れるだろうと高揚するシャツがA.PRESSEから届きました。
生地は経糸に120/2 のエジプトギザコットン、緯糸にレーヨンを高密度で打ち込んだブロード地を使っています。ただ、シャリ感強めのイメージを払拭する程に肌当りはかなり柔らかくて肌離れが良い。
これはギザ特有の油分量とレーヨンの質感故だと思いますが、高密度に打ち込んでいる分しっかりとハリが残っていて、古着等で見かける同素材のシャツと比較すると、抽象的な表現で申し訳無いですが想像以上にちゃんと見えます。
夏場でも軽く羽織って日除に用いたり、シンプルに着こなしの幅を作れるといったメンズファッションの頼れる貴重なアイテムがシャツだと思っていますが、そこにはやはり印象感と素材感は求めてしまうわけで、そういう意味でこのバランスは非常に良いなと感じでしまいます。
印象感で言うと、" INDIGO " は経年で色落ちが生まれる手法で染められていて徐々に風合いが増していきます。" WHITE " は経糸と緯糸で色を微かに変えているそうで、純白では無いくすみ掛かったニュアンスが絶妙で良い色です。
" Regular collar " は前立てを省いてスッキリとしたフロント面と裾は若干のラウンドが見られる所謂ドレス。ただ、襟芯は極薄のフラシ仕様で固さを抑えてあったり、白蝶貝釦は艶を消していたりと細かい部分で抜きの引き算がされていて、素材の無垢感もあってなのか妙に柔らかい印象があります。
もう1型の " Open Collar " は、40sのスポーツシャツを背景に制作していて、特有の襟元やボックスの形がぱっと見で印象に残るカジュアル系に見えますが、襟型は尖りを抑え、身幅と裾幅はに差を付けて微かにラインを与えていたりと、どこか洗練された印象です。
179cm / 67kg
size 3着用
おそらく東北の気温感だと、シャツを一枚で出歩くには少し気が早くて、今だと羽織の中に仕舞いつつどう味付け出来るかを考えたいんですが、冒頭で話した通りで、夏が来たら次の出番は秋になるような春主体シャツは少し勿体無く感じてしまう。
そう考えると、身近に感じる素材感とシンプルに扱い易い側面がある中で、僅かに色出しやデザインの違和感を雰囲気として醸し出しているこの4型は、そういった考えに自然と馴染んだんですよね。
こんな欲深い私の考えに微かにでも頷きがあれば、是非試してみてください。
3月25日(土) 12:00 - store/web release
Write
nariwai - Yuto Hashiba
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