些細な事が大切だったりする。
これだけ物が溢れ、常にSNSで情報が流動している時代だから、何かに既視感を覚えることはよくある話で、もはや一周回って何も感じない事も当然のようにありそう。
それでも何か自分に引っ掛かる事はないかとアンテナを張っていたいし、選択する事には納得できる理由を持っていたい。
洋服で言えば、その判断理由こそが手に取るきっかけであり、日々の中で体感していく積み重ねを愛着と言えるんだと思う。
そして改めてそう感じさせてくれた洋服を、今季のblurhmsが製作していた。
その2つの洋服には、既視感を覚えさせながらも潔く裏切るリアリティーある仕掛けが隠されていて、その些細な事が実にblurhmsらしくて私は好きです。
1st. Buffalo Plaid Cruiser Jacket
クルーザージャケットをベースに、フロント半分はダブルマッキノーのデザインを取り入れて絶妙に違いを出しながら、異なるデザインを馴染ませるように、オーセンティンクな配色のバッファローチェックで上手くまとめられた1着。
ウールを通常以上にしっかりと縮絨させて柔らかく仕上げた後に、表面の起毛感を丁寧に処理することで、独特な膨らみと滑らかな質感、そしてヴィンテージのような風合いを出しながらも重さを感じさせない着心地を実現しています。
ヴィンテージで見られるウール素材のハンティング、ダブルマッキノーは特有のごわついた質感やずっしりした重さが大きな懸念点として挙げられますが、これはそれが全く無い。
そして、ポケットはフロントの両デザインで数箇所と内側にも2箇所を配し、機能性もオリジナル以上のクオリティ。
ただ極端に美化はさせず、米国ヴィンテージの「それら」に宿る確かな存在感を味わせてくれつつも、シルエットやテキスタイルを通していい意味で裏切っている現代的なバランスには、blurhmsの良さが十二分に詰まっていると言えるでしょう。
この程良くいなたいニュアンスを、冬のスタイルでどう楽しんでいくか。
お気に入りのスラックスや革靴のドレスなスタイルに、アウターの立ち位置で「外す」。そんな粋な着方も非常に素敵かと思います。
2nd. Wool Shaggy Shawl Cardigan Jacket
サッとカーディガンを羽織る感覚で着れるラフな感覚を邪魔しない軽い着心地と、ゆったりとしたサイズ感やショートシルエットの相性の良さ。そして単体でも十分な保温性を備えるショールカラージャケット。
ションヘル織り機にてゆっくりと時間を掛けながら織り上げた生地に縮絨加工を施し、仕上げにループ状の糸を処理しながら起毛させることで、通常のシャギーよりも長さが残り表現された豊かな表情感は、素朴ながらも全体のミニマルなデザイン感やシルエットと相乗することで、インパクトな印象も伴わせる素敵な生地です。
その魅力はシンプルな装いであればある程に体感でき、先述で話したラフさはファッション的な意味合いでも強く言える事。
単純にアウターの立ち位置で考えても十分に魅力的に感じてしまいますが、リラックス感に対して不思議とまとまりを見せる設計や、少しギミックを与えることで生まれるスタイルとしての魅せ方など、そこはしっかりとファッショナブルなアイテムに着地させているという、blurhmsらしい1着です。
全ては身に纏った時の印象や、その人にしか体感出来ない部分に繋がるようなデザイン設計や生地の扱い方。
それを大袈裟に見せるのではなく、上手く加減された些細な要素を散りばめ、新鮮に見せながらしっかりと実用的な洋服とさせる。
この足し引きが毎度ながら素晴らしいと思える洋服はblurhmsならではないでしょうか。
是非お手に取ってお確かめください。
WEB Store release
11月19日(日) 18:00
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