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群馬の果てにて。

北杜市で友人と別れて、一人となったボクははてはてどうしようかなぁと思うと

!!、、あった!行ってみたいとこ。

ギルドハウスに行ったときにオーナーからギルドの住み開きの形に共感して場を開いているトコが全国にいくつかあると言うのを聞きました。

その中で群馬県があったのを思い出したのです。ちなみにボクは生まれが群馬県前橋市なのです。祖母が前橋にいたので、よく行っていました。

ちなみに甘い味噌だれをつけた名物の焼きまんじゅうはとても美味しいですよ。子供の頃からの馴染みの味、、あっ、話逸れましたねっ、。


とは言え、連絡先を知らないので思い当たるキーワードを入れて検索してみると、それらしきブログの記事と連絡先を見つけたので、そのまま電話をしてみました。

カクカクシカジカと事情を説明すると昼間は無理だが、夜なら予定を空けてくれると言うので、今夜行くことに。

八ヶ岳へ上がり、その横を抜け、長野に入ります。さすがにこの辺りは景色が雄大で美しい。人気の移住スポットなだけあります。

お昼になり、お腹が空いてきたので地元の美味しいものでも食べよう!とも思ったりもしたのですが、拠点を探す為の旅。観光ではないのです。節約を考えて、お弁当屋さんでのり弁を。せめてもの贅沢で大盛りにしました。

その後、軽井沢を途中で通ったのですが、平日なのに森の中で大渋滞。

え?何だこれと思って走っていると星野リゾートがやっている観光スポットが。なるほどね。外国の人たちが来るんですかね。すごい集客力。

今朝、出発してから数時間。ここからそんなに目的地まで遠くないかなと携帯で距離と時間を確認するとさらに2~3時間。参ったなぁ、一日で行くにはちょっと遠かったかも。勢いに乗っかり過ぎてしまいました。とは言っても連絡した方が時間を空けて下さったのに途中で止める訳にもいかない。休憩を挟み運転を続けていきます。

群馬に入り、沼田から水上温泉、さらにさらに奥へと進み、夏前の動いていないスキー場へ。気づけば、日も暮れてきた頃。

何でスキー場かと言うと単純に待ち合わせの場所が
ココに指定されたのです。それにしてもひとっ子ひとりいないスキー場は寂しいものです。

来る途中に連絡があり、会って泊めてくれる方がダメになってしまい、近くのその方の友人が泊めてくれるので着いたら電話をしてくれと言われたので掛けたとこ繋がらない。

何度か電話をしたけど、やっぱり繋がらない。嫌な予感。そして、かれこれ小一時間が過ぎた頃、、

プルルルルル。着信が鳴って出ると「遅くなりました。どうもはじめまして。今ドコですか?ここから奥にダムがあるんですけど、来れます?虫捕りするんで」

ムシトリ?え?虫捕りするの?えー、運転で疲れたなぁ。もう一杯呑みながら語る気でいたので、正直に言うと夜に森を歩くイメージをしてガッカリモードに。

おまけにガソリンが少ない。ドコかで入れようと思っていたら、暗くなって入れ損なったのです。夜の山奥は灯りがなく本当に真っ暗。漆黒の闇です。向かう途中、エンストしないか冷や冷やでした。

何とか到着すると、目の前に巨大にそびえ立つダムは不気味そのもの。でも、そんな中、簡易式のキャンプ用の屋根を張り、音楽をスピーカーで流しながら飲み物を片手に、くつろぐ青年がいました。

「無事に着いて良かった。ここいらは本当に夜になると真っ暗でしてね。車一台、誰も通らないんですよ。音楽を大音量で流しても全く問題ない。ささ、どうぞ」

これまたキャンプ用のイスがあり、座るように促してくれたのでお言葉に甘えました。何でこんな山奥まで?と言う話になったので、事の経緯を話すことに。

遡り会社時代にうつ病で苦しんだことも話をしたら、彼も生きる死ぬくらいの壮絶な経験があり、都内で熱帯魚屋をやっていたそうなのですが、全て畳んで奥さんとこちらに来たのだそう。出会って、30分でものすごいディープな話に。

「僕は自然がとにかく好きで。ココには色々な動物がいるんですよ。鹿、熊、猿、猪、ハクビシン、狸、狐、etc。大変だったけど、これからは好きなことして生きていこうって。妻のお父さんにはこんな山奥に連れてきて、どうするんだと大激怒されましたけどね。」

好きな場所で好きなことをしている彼はとても清々しく、子供のような無邪気な笑顔。とても修羅場を乗り越えてきたようには見えませんでした。

虫捕りはと言うと、自家発電機を使い、照明を山に向けて、眩しいくらいに照らすのです。その数は何千、、いや、何万?とにかく目の前は虫だらけ。

そこへカブトムシやクワガタも飛んでくるのですが、これがネットで高く売れるらしいのです。世の中には面白い稼ぎ方もあるものです。

今朝、最初に連絡した方も合流してくれて、しばし談笑。その後、虫捕りの彼の家へ。

見るからに優しそうな奥さんが迎えてくれて、夕飯をご馳走になりました。

良いとこですねぇとボクが話出すと、何でも家賃はタダなんだそうですが、冬はとにかく寒いのだそう。一日中、ストーブなどを絶やさないようにしないと水槽が凍ってしまう程の寒さなんだそうです。そして雪掻きを毎日しないと家が潰れてしまうほど積もるとのこと。そしてココより奥へは家がない。そう、群馬の果てなのです。

でも、やっぱり厳しい自然の中でも好きなことが出来るこの場所がよいのだそうです。仕事は何してるのだろうと聞くと、インストラクター。冬はスキー、夏はアウトドアが盛んなのだそうです。仕事とは探せばあるものなのですね。

翌朝、彼が仕事があるので、一緒に家を出ることにしました。別れ際に裏の河原が綺麗と勧めてくれたので林を抜けて、降りてみると沖縄の海以来の衝撃を受ける素晴らしでした。驚くほどの透明な水と自然の中の静けさ。そのまましばらく時間を忘れて過ごしました。

色々な人生と色々な暮らしがあるんだなぁ。そんなことを考えてはまた次の目的地へ進むことになるのでした。

つづく。

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