大好きな人も大嫌いな人も縁があるからこそ出会う
「最後に皆さんに一言だけ言わせてもらって、お別れしますね。私のおばあがこんなことを言っていたんです。『大好きな人も大嫌いな人も縁があるからこそ出会うんだよ』と。皆さんとお別れすること、ゆきえ姐姐(ねえねえ)はとっても寂しいけど、人と人の出会いは好きな人も嫌いな人も縁があるからなんですよ。また、いつか沖縄に遊びにきてくださいね。」
そう、沖縄訛りで話すバスガイド、ゆきえ姐姐とはこの日限りだった。
今まで一人旅をしてきた僕にとって、バスガイドの話はいつも面白い。
〝いつも〟と言うのは、ここ数年、毎年沖縄に生徒の引率で見学旅行に来ているから。
「羨ましい」なんて言われることが多いけど、自分の旅とは違って、少しばかり気疲れする。いや、教員はもっと疲れている。
それに、毎年ともなれば、行くところも大体同じため、大きな高揚感や目新しさはそこまでなく、買い物もすることはない。
唯一楽しいことと言えば、毎年生徒がワクワクしているエネルギーを全開に解き放っている姿を見ることくらいだ。
人の縁
人間の悩みの9割以上は人間関係。
そんな話をよく聞くが、バスガイドのゆきえ姐姐も同じことを言った。
高校生の生徒たちにとってはまだ分からないかもしれないが、実際その通りだと思っている。
なぜ、ゆきえ姐姐がそんな話をして終わったのかと言えば、最後にバスの中で三線を弾きながら中島みゆきの「糸」を歌ったことがきっかけだった。
沖縄訛りの独特のイントネーションと、優しい語り口はバスガイドにもってこいの雰囲気ではあったが、おそらく訛りに関しては〝仕事用〟として使い分け、普段はそこまで訛ってはいないのだろう。
それであっても、高校生にとっては新鮮な耳障りで、沖縄という土地柄をより感じた車内だったと思う。
毎年のことだが、バスガイドの話は本当に面白い。
優しい口調と、移動の疲れやマリンスポーツの疲れもあり、睡魔に負ける生徒も多いが、僕は毎年楽しく聞いている。なぜならとても勉強になることが多いから。
1日だけの細い「縁」だったかもしれないが、それであっても出会いは出会い。
最後にゆきえ姐姐に一言だけ言葉をかけた。
「いつも良いバスガイドばかりだけど、ゆきえ姐姐のお話、本当に良かったよ。またいつか縁があれば会いましょう」と。
70億分の1
地球上にいる人間は約70億人。
その中で、あなたの前にいる人は70億分の1の確率で出会った人。
そう思うことができるか?
ではなく、現実としてそこにある事実。
毎日顔を合わせると、そう感じなくとも奇跡を超える確率の中で出会った人。
好きな人も嫌いな人も。
天文学的な数字から出会えた人に感謝と尊敬を持って接する。
毎日じゃなくても良い。
今日、このブログを読んで、そう感じたのなら一瞬だけでも、目の前にいるその人にその気持ちを。
毎日顔を合わせて慣れてしまっている間柄かもしれない。
嫌いで顔も見たくない人がいるかもしれない。
性格が合わなくて、離れたいと思う人かもしれない。
それであっても、今日この一瞬だけでも、奇跡を超える確率で出会った人に感謝を。
そんな気持ちを1日でも長く持ち続けれる人生を歩けるように。
自分自身へ、言い聞かせるために。
沖縄にて
2023年11月28日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?