十六の縁
どこか遠い所から聴こえる音があったが、どこにいるのさえ分からない。
そもそも、その音は本当に〝聴こえて〟いたのさえも分からなかった。
耳から入る音ではなく、頭の中と意識に響く音。
地球上で聞いたことのない音が頭の中で響いていた。
遠い意識の中から響くように。
無意識の底で創られた音のように。
自分自身という存在が光そのものを感じた時、外側は暗闇を観る。
暗闇の中で無数に現れる幾何学が、私たちの感じていたものであり、生と共に忘れ、長い時間を経て再び思い出す。
倭國の人はそれを花と呼び、西の人は許しの世界と信じる。
パズルのように創られた世界は、鏡が割れる様に散ることがあり、全ては無から始まったことを知る。
強い想いは意識と共に残り去り、委ねることが正の道。
呼吸を知ること。
呼吸に意識を向けること。
呼吸が示すもの。
時間の消えた世界で身体から離れた意識が開く頃、七色の螺旋が上昇を描く。
気がつくと同時にあるのが始まり。
始まりは気づきと共に。
その時は決して遅くなく、一瞬で知る。
どこかで見たような、流れと共に時は戻される。
焦点の合わないレンズが、ゆっくりと合わさるように幻影が溶けてゆく。
声にならない声がある。
その声は出さなくてもいい。
あなたは知っている。
カタカタと音を立てて創られている世界を。
その空間と空間の中に創られる光と暗闇の幻影を。
横目で見なくても、その画面さえ見つめていればいいということを、あなたは知っている。
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