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東京

こう見えて、オフの時間はソファーで寝転んで動画を見たりネットサーフィンでダラダラ時間を潰していることも少なくない。

「忙しいとは思うんだけど、来月のここって空いてる?」

そう聞かれることが多くなってきたということは、他人からすると忙しく見えているのかもしれない。

確かにスケジュール帳を開くと、それなりに予定は入っているが、家やホテルに一人でいる時は寝転びながら、多くの人と同じようにダラダラとスマホやパソコンをいじっている。

最近は東京に滞在をしていても、出歩くことがあまりない。
会いたい人がいる時や事前に誰かとアポを取っていない限りは、ホテルの部屋で引きこもる。

お酒も飲まない僕にとっては繁華街もネオン街も、さほど惹かれない。

年々、都会に出ると、極端に外に出なくなっている気がする。
それよりも、静かにホテルの部屋でブログを書いている方が性に合っている。

遊ぶなら、田舎が良い。
都会の外は人が多すぎるのと、ビルの多さに少しばかり萎えてしまう。

自分の家にいると朝は鳥の声が聞こえ、夜になると静寂が町を包む。

そんな生活が好きな僕は田舎者。



書くという趣味

色々なことをやっているかもしれないが、それらは自分の中で趣味と言えるものではない。

元々ブログをやり始めたのも趣味ではなくて、web上で収益を作るため。
僕に取っては生活を成り立たせるための仕事の一つだった。

しかしながら、ブログで生活を成り立たせるほどの収益を上げることに疲れてしまい、収益を上げるためのブログは、ほとんどと言って良いほどエネルギーを注がなくなった。

今でもアクセスはあり、毎月僅かながらの売り上げはあるが、月々の売上すらチェックもしていない。
たまに通帳にまとまった金が入っているのを見ては、生活費に充てている程度で、ふと気がついた時の不労所得に過ぎない。


しかし、このブログは趣味で書いている。
こちらも収益化をしようと思えばできなくもないが、個人のブログに至っては趣味で良い。

収益を上げるブログを書き続けるのは、ストレスが溜まりやすく、スラスラと筆が走らない。

収益を上げるブログと、趣味で書くブログの違いは多くの人に分からないだろうし、ブログで収益を上げている人たちは、読み手にれらを分からないよう、自然にそのセールスライティングを散りばめている。

9割以上の人が、それを知らずにネットで何かを購入している。
これを読んでいるあなたも、例外なく知らず知らずのうちに、見えないどこかのブロガーの記事から何かしらの購入をしていると断言しても良いだろう。

ブログやSNSで金を稼いでいた僕が言うのだから間違いない。


物書きの気持ち

小説家や文豪が軽井沢のコテージや、尾道あたりの老舗旅館で部屋にこもって、小さな机に向かっては頭を掻きむしりながら、物書きをしているイメージはないだろうか。

部屋の隅にはゴミ箱が置いてあり、その周りにはぐしゃぐしゃに丸められた紙がいくつも転がっている。

今の時代、年老いた小説家でもパソコンを使って執筆をしているので、そんな時代は平成で終わりを告げたかもしれないが、未だ多くの人がイメージをする物書きは、きっとそんなところだろう。


僕は意外にも出張が多い。
出張の内容は様々だが、出張の回数は年々増えている。

ホテル暮らしも多々あるが、ホテルの部屋に一人でいると机に向かって何かを書きたくなる。ホテルの部屋と同様に、走るバスの窓から外を眺めている時や、空港で飛行機を待っている時なども何かを書きたくなる。

文豪を気取るつもりはないが、今では趣味で物書きをする一人だろう。
頭の中に駆け巡る言葉を吐き出さないと、すっきりしないこともある。

絵描きが鼻歌交じりに絵を書くように、歌うたいが目を瞑りながらギターを奏でるように、僕は言葉を書き並べる。

夜の酒場に出るよりも、僕はこっちの夜の方が過ごしやすい。


雨の東京

なぜだか、東京の夜は雨が良い。
明確な理由は分からないが、夜雨の東京を見る方がノスタルジーな気持ちになれる。

どこのホテルに泊まっても、東京の街を見渡すことはほとんどない。
窓の外から見えるのは大体、隣のビルのコンクリートで、遠くまで見渡せるようなホテルには東京であまり出会わない。

ホテルの窓から下を見ると傘を差した人が右へ左へと歩いている。
そんな人々を見て僕は思う。

〝今、通りすがったあの人は、なぜ僕の人生の一コマに一瞬だけ現れたのかな〟と。

人生で深く付き合う人や、長い付き合いのある人は何かしらの理由や意味があるだろう。でも、その時その瞬間にしか出会わない人や、ほんの一瞬だけしかすれ違わない人は、なぜ自分の人生に現れたのかと考えてしまう。


少しばかり変なところに疑問を抱いてしまう僕は変わり者なのか。

誰も他人の考えていることなど分かるはずもないし、分からない方が良い。だが僕は、日々そんなことを考えている。


降り止むことのない雨の東京で、僕はホテルの部屋に引きこもり、時間を浪費している。


都会の夜がこんなにも賑やかだというのに。


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