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音楽から出会う近代の作家たち:夏目漱石,芥川龍之介,堀辰雄らを話題にのせて / 庄司達也(徳田秋聲記念館「レコオドと私:秋聲の聴いた音楽Vol.2」記念講演,2024年6月15日)

日時:2024年6月15日(土)14:00~
場所:徳田秋聲記念館
講演者:庄司達也(横浜市立大学)

明治~昭和にかけて活躍した,夏目漱石,芥川龍之介,堀辰雄といった近代日本の作家たちが,どんな音楽を聴いてきたかを彼らが書いた具体的な文章の中から紹介する講演会。個人的にクラシック音楽を中心にSPレコードなどの古い音源を聴くのが好きなので,展示と合せて聞きにいってきました。

以下は備忘録+思いついたアイデアです。

  • 配付資料が大変に充実しており,近代の作家たちがどういう音楽を聴いてきたかについて,具体的な曲名や音盤名など細かい知識を得ることができた。

  • 庄司先生は芥川の研究者として著名な方。芥川を通して音楽を聴くと楽しいことがわかり,その美意識がどこから来ているかを探るヒントにしたいというのが,各作家と音楽の関係に注目するようになったきっかけとのこと。

  • 音楽は各時代において文化人にとっての教養で,漱石,芥川,堀はそれぞれの時代の教養としての音楽を聴いていた。それぞれの接した音楽は,日本における西洋音楽受容の典型とも言える。

  • 漱石の時代は邦楽がベースでしたが,令嬢がヴァイオリンを演奏するような記述が色々な小説の中に登場。

  • 芥川については,彼自身ベルリオーズの書いた本を読むなど,西洋音楽を積極的に勉強している。芥川家所蔵のSP盤がかなり特定できているのが面白かった。当時のSP盤については,個人の所有なのか,家族の所有なのかはっきりしない点について注意が必要とのこと。

  • 芥川が学生時代に原善一郎という友人に宛てた手紙の全文が興味深い内容。演奏会,演劇,展覧会の感想などを紹介しているが,最後に短歌としてまとめているのが面白い。個人的に一度やってみたいかも。

  • 堀の時代になるとさらに本格的にSP盤を収集。ただし「堀の好み」というよりは,当時の一流の演奏家たちの盤を収集していたよう。

  • 昭和前期に来日したヴァイオリニストのエルマンが大人気で,5日連続で演奏会を行ったとのこと。エルマンがきっかけで演奏者のギャラがアップしたと言われているそう。

思いついたアイデア

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