クレオパトラ第十回単独公演「イシツナギ」公演台本

クレオパトラ第十回単独公演「イシツナギ」

会場:渋谷ユーロライブ

時間3部作 完結編

「イシが生まれて繋がって、一つのイシになる」

第1部のメルヘンパラソルから4年経った。

時間三部作とは、ルミネtheよしもとで公演した「メルヘンパラソル夕日論」銀座博品館劇場で公演した「ワンダーネバーワールド」そして「イシツナギ」の三本。時間をテーマに作った単独公演。

メルヘンパラソルは「終わらないでほしい時間/時間の流れ」

ワンダーネバーワールドは「止まった時間」

そしてイシツナギは「時間の連鎖」


ここに至るまではもう数十年経ったような感覚だ。
様々なことを経験し、色々な感情をだした。
そして、時間という概念は人によって違うことを実感した。

事務所を辞めたり、桑原が就職したりと色々な経験をした僕たちだから完結させられた物語。

身体が消えようが、意志という普遍的な存在は消えることがない。
受け継がれ繋がっていく。

見えないものに突き動かされている。
そんな感覚に陥ったことはないだろうか?
私たちはなにか見えないモノによって必然的に奇跡的に運命をたゆたう。

アナタのイシは過去からのイシ。
アナタのイシは未来へのイシ。

アナタの時間は動いていますか?

長谷川優貴(クレオパトラ/エンニュイ)
2017.8.19



■OPコント 「奇跡のはつめい」
場所はとある研究室

長谷川    あの…変なこと聞きますけど、人はなんで死ぬんですか?
桑原     それはもちろん、心臓が止まるからさ。人間の心臓は大体20億回打つと止まるようにできてるからね。
長谷川    じゃあ、ラポール博士はなんで死ぬんですか?
桑原     …それは、私も人間だからね。心臓動いてるからね。
長谷川    へぇ…。
桑原     …。

沈黙

長谷川    じゃあ、人は死んだらどうなるんですか?
桑原    自然の中なら動物と酵素の働きで腐敗しながら分解される。今はその前に1000度位の炎で燃やされて、融点1670度の骨の主成分リン酸カルシウムだけが残る。
長谷川    じゃあ、ラポール博士は死んだらどうなるんですか?
桑原     一緒だよ。私も人間だから。
長谷川    へぇ…。
桑原     …。

沈黙

長谷川   じゃあ、死んだら心はどうなるんですか?
桑原    心っていうのは脳細胞を繋ぐニューロンを流れる電気信号だよ。
長谷川   それだけなんですか?
桑原    それだけさ。
長谷川    じゃあラポール博士は…
桑原     一緒だよ! さっきから私のことなんだと思ってるの?
長谷川    喋るサルスベリ。
桑原     はあ? サルスベリ?
長谷川    はい。
桑原     あのすべすべした木でしょ?
長谷川    はい。
桑原     え? 私博士だよ。リエン君は助手だよね?
長谷川    はい。
桑原     え? バカにしてる?
長谷川    はい。
桑原     なにこいつ。
長谷川    あ~楽して稼ぎたい。
桑原     小突きたい。凄く小突きたい。
長谷川    あ~うるせーーー!!
桑原     怖い! 最近の若者は急に切れるから怖い!
長谷川    最近の若者はって、こんな僕みたいなキチガイの若者が生まれる未来を作り出したのはあなた達過去の人でしょうが!
桑原     自分がキチガイって自覚はあるんだ…。
長谷川    あ~殺してぇ…殺して解剖して研究して世界中の人が長生きして幸せに暮らせるような発明をしてぇ! 博士を殺してみんなを笑顔にしてぇ~よ~!
桑原     怖い! 良いやつなのかなんなのかわからん!
長谷川    あ…すみません。
桑原     このタイミングで謝るのはさらに怖い!
長谷川    いや謝る必要ねぇか! 全部大人のせいだし!
桑原     怖すぎる…情緒不安定! 大人のせいっていってももう君今年で32でしょ? やばすぎだよ?
長谷川    一生誰かのせいにしながら生きるって決めてるんで。
桑原     もはや清々しいね。
長谷川    世界が平和である為にとか大人たちは言ってたけど、今現在だって世界中で戦争が起きている。僕達は、物心ついた頃から、ボタン一つで人類破滅にできる時代に生きてきたんです。だから、僕は博士を殺すのはたやすいです。
桑原     なんの話―? 脈絡がない!
長谷川    人間は愚かで不完全、僕も。
桑原     だからこそ私はそんな人間たちがみんなで笑顔になれる発明をしようとしているんだよ。

長谷川    博士って夕日みたいですよね。
桑原     え? なにそれ?
長谷川    沈みゆく瞬間なのに真っ赤に燃えようとしてる感じ。
桑原     確実にバカにしてるな。
長谷川    でも明日に光を繋ぐんですよね。
桑原     急に良いこと言った! こえ~。
長谷川    でも、冗談抜きにして博士の考えは好きですよ。でも現実的じゃないですよね。だって、世界中の人を笑顔にするなんて奇跡でも起きない限り無理ですよ。
桑原     奇跡か…。人間は、偶然のチャンスを手に入れて人間になってきた。何億年もかけた中で、人間だけがこうやって勝ちぬいてきて。放っておくだけじゃ何も始まらない。なあ、君の目には、顕微鏡を通して何が見える? 
長谷川    (覗き込み)なんだこの黒いウネリ…
桑原     ああ、それは私の陰毛だ!
長谷川    なぜ、あれだけ部屋を綺麗にしても陰毛が落ちてるんでしょうか…
桑原     同じ真面目なトーンで陰毛の話をするな! そうじゃなくて、人を顕微鏡で覗いたらなにがあると思う?
長谷川    愛…ですかね…。
桑原     いや…そういんじゃないから…今科学的な話してんじゃん。わてら科学者やん。
長谷川    細胞とか?
桑原     そう、私たち人間は約60兆個の細胞が繋がってできている。
長谷川    きっもちわりー!
桑原     …(自分の掌を見詰めて)人の中にあるのは、宇宙。小さくて広大な、完璧なまでにプログラムされた秩序ある世界。この完璧さは、決して偶然なんかじゃない。
長谷川    偶然でなければ、必然、ですか?
桑原     ああ必然的な奇跡。奇跡は起きるものじゃない。起こすものなんだ。無から一つの星ができ上がって、小さな生命がナニかからチャンスを手に入れて、どんどん進化していく。必ずなにかとなにかが繋がって。

OPへ
演奏にあわせ照明変わり
クレオパトラの二人お辞儀
コントの定位置についたら照明変わる

■コント1「イシのおくりもの」
場所は河川敷の高架下。

桑原     次はいつ会えるのかな。
長谷川    さあな。
桑原     たまには帰って来いよ。

長谷川石を投げる。

桑原     お前この高架下好きだったな。
長谷川    ああ。この河原を見られるのも最後になるのかな。

長谷川石を投げる。

桑原    (少し間を置きながら)よくこの河原で遊んだよな。
長谷川    そうだな。
桑原    (ぽつりぽつりと思い出を語る)
長谷川   (桑原に呼応)
桑原     ……いつ出発するんだ。
長谷川    明日の朝。
桑原     そうか。絶対有名になれよ。
長谷川    分かってる。……斉藤。
桑原     ん?
長谷川    ありがとな。
桑原     ……ああ。

  しばし間を置いて。

桑原     北川。
長谷川    ん?
桑原     お前に渡したいものがある。
長谷川    なんだよ急に。
桑原     この先いろんなことがあるだろう。辛いこともあるかもしれない。俺には何もできないが、せめてこれを、俺だと思って持って行ってくれ。(石を渡す)
長谷川    ありがと……これは?
桑原      石だ。
長谷川     ……石だな。
桑原      ああ、石だ。
長谷川     そうか、石か……。石?
桑原      石だ。
長谷川     石……。石……。石?
桑原      石だ。
長谷川     石?
桑原      くどいぞ。石だ。
長谷川     えっと、何か凄い石なのか?
桑原      特にない。何の変哲もない。ただの石だ。
長谷川     ただの石……。
桑原      その、ただの石を、俺だと思って大事にしてくれ。
長谷川     え、何? 哲学的な意味? 凄い意味が隠されてる?
桑原      そんなに深く考えるなよ。石ころだよ。
長谷川     ……じゃあ、いらねえよ。
桑原      強がんなよ。
長谷川     強がってねえよ。ホントにいらねえんだよ。ただの石ころなんだろ?
桑原      それはお前の考え方次第だよ。
長谷川     お前がただの石だって言ったんだろうが。
桑原      投げたらカラスは逃げるし、クルミだって割れるし、頑張れば火だって起こせるぞ。
長谷川     全然ひきがねぇよ。
桑原      だから、その石を俺だと思って……。
長谷川     いや、ちょっと待ってくれ斉藤。俺バカだからお前の本心が分かんねえんだ。この石になんの意味があるんだ? お前の本心を聞かせてくれよ。
桑原      北川……。

青春っぽいBGM。

桑原      お前を応援したいと思う気持ちは本物だ。俺は誰よりもお前の成功を願ってる。だから、お前が街を出ると聞いて何か餞別の品を渡したいと思った。そんな時、部屋の片隅にあった、俺の宝物であるギターが目についた。このギターを渡したら北川は絶対喜ぶ。そう考えてギターを手にした時。俺思ったんだ。これあげるのもったいねえなって。
長谷川     はあ?
桑原     もしお前にあげて、お前に会えなくなったらもう返してもらえないもんな。
長谷川    餞別って返さないよ?
桑原     一度もったいねえって思ったら、何を手にとってもダメだった。家にあるものは全部、渡すのがもったいないスイッチが入っちまった。渡すのがもったいないモードになっちまったんだ。
長谷川    どっちだよ。
桑原     もしかしたら俺、ケチなのかもな。
長谷川    いや、頭がおかしいんだよ。
桑原     でもさ…もう会わないかもしれないやつにあげるのも微妙だろ。だったら甥っ子にあげるよ。
長谷川    くそが。
桑原     で、どんどんハードルを下げていって、ギリギリこれなら渡せるなって思ったのが、庭に落ちてた石だった。これなら渡せる。これなら北川に渡しても惜しくない! その石は、おまえに渡すのにちょうどいい! わかってくれ! もう会わねぇ奴に金使いたくねぇんだよ! (泣きくずれる)
長谷川    いらねぇ! なんもいらねぇから失せろ!
桑原    (泣きながら)俺、おまえに渡せるものがあってよかったよ。
長谷川    渡せばいいってもんじゃねえからな。
桑原     お前は、どんなことがあっても親友だ!
長谷川    俺はたった今そうじゃなくなったよ。
桑原     北川! 早く行け! 
長谷川    え、なんでそのテンションで言えんの?
桑原     じゃないと離れられなくなっちまう。その石すらも渡すのがもったいねえって思っちまう! 俺の理性があるうちに早く行け! ああ! この町の空気をお前に吸われていることさえも勿体なく感じてきた!
長谷川    病気だよ。病気。じゃあな。もう行くから。(少しずつはけていく)
桑原     向こうに行っても元気でな。
長谷川    ああ、絶対連絡しねえけどな。バーカ。
桑原     応援してるぞ!
長谷川    うるせえ!
桑原     負けんなよ!
長谷川    話しかけんな!
桑原     北川ー!
長谷川    なんだよ!
桑原     俺達友達だったよな?
長谷川    はあ?
桑原     友達だった代金として千円くれ。


長谷川困惑し言い合いになる。
長谷川千円あげる。

長谷川    もういい俺行くから。話しかけんなよ。
桑原     北川!
長谷川    だからなんだよ!
桑原     これ餞別の千円。とっておいてくれ。
長谷川    …とりあえず今から怒るわ。


■コント3「イシき高い系」
舞台中央に座っている長谷川。電話をしている桑原。
場所はオフィス。

桑原     本当にすいませんでした。はい、はい、後はうちでなんとかしておきますんで。はい、はい。失礼します。(電話を切る)
長谷川    どうでしたか?
桑原     先方カンカンだったけど謝り倒してなんとかなったよ。すげー大変だったわ!
長谷川    謝るのうまいですね!
桑原     うまいですねじゃねーよ! まず俺に謝れよ! まったく頼むよマジで! 聞いたことねえよ! マスカラと聞き間違えてマラカス納品するなんてよ!
長谷川    随分ご陽気な会社だなーっと思って。
桑原     一回自分の耳を疑えよ! 相手化粧品店だぞ! なんだマラカス500個納品って! フェスでもあんのか! ったくよー!
長谷川    フェスではないですよ(笑う)
桑原     ああもういいや。今日はもう徹底的に行くわ。普段からお前は注意力が散漫なんだよ。だからミスするんだよ。自覚あるか? そこから直さなきゃ社会人失格だぞ。
長谷川  そうですね。確定申告は一人で出来たんですけど。
桑原   お? おお。あとメモするときの字が汚いんだよ。俺一回見たことあるけどさ、全然読めなかったもん。象形文字かと思ったよ。だから仕事も間違えるんじゃねえの?
長谷川  そうかもしれないですね。10代で初体験は済ませてるんですけど。
桑原   おお。知らねえけど。それから、電話取ったときの対応な。もしもしー、ってのやめろ。「はい、お世話になっております石本商事です」だろ普通。家じゃねえんだからさ。そいうところがたるんでんだよ。
長谷川  そうですね。円周率下100ケタまで言えるんですけど。
桑原   なんだよさっきからお前の反論はよ!
長谷川  いえ、反論なんかしてないです。
桑原   確定申告とか円周率とかちょいちょい変な口答えしてんじゃねえか。まあいいや。今回の件もそうだよ。間違えたのはしょうがねえ。ただ、その後いくらでも確認するタイミングあっただろ! 基本抜けてんだよ!
長谷川  すいません。アメリカに一人旅をしたことはあるんですけど。
桑原   だから反論やめろ!
長谷川    してないです!
桑原     してんだよ変な反論! なんか正論じゃ言い返せないからそんな自分にも良いところありますみたいなアイデンティティアピールしてんだよ!
長谷川    そうですか?
桑原     そうだよ! んでそのアイデンティティが全般しょぼいわ! アメリカに一人旅とか知らねえんだよ!
長谷川    大学の春休みを利用してですよ?
桑原     加えてくんな! いいか、反論すんなよ!? で、これもあんま言いたくねえけど休憩が長えんだわお前。いや別に疲れてるのはしょうがねえよ。でもそういうときは事前に言うとか相談するとかあるだろ。自分勝手なことしてたらそれだけ信頼感の低下につながるんだよ。
長谷川    すいません。凄い綺麗な三角倒立は出来るんですけど。
桑原      ブレねえなテメエ! そういうところだよ! お前は基本人の話を聞かない。そういうところが決定的にダメだわ!
長谷川    すいません。渇き耳なんですけど。
桑原     だからアイデンティティ入れてくんな! え、渇き耳!?
長谷川    はい、渇き耳です。
桑原     ここにきて渇き耳! よくそんな武器で勝負しようとしてきたな。
長谷川    渇き耳は耳垢が取りやすいし、濡れ耳よりも体臭が薄いと言われています。
桑原     補足をやめろ。もう渇き耳出してくるってアイデンティティなくなってきてるじゃん。まだ今までの方がマシだったわ。ちょっとなんて言ってくるか楽しみになってきた自分もいたのにがっかりだわ!
長谷川    すいません。妹が双子なんですけど。
桑原      それも珍しいだけだろ。お前の価値じゃねえから。俺はそういうことを言ってるんじゃねえんだよ。
長谷川    すいません。同窓会の幹事はやったことあるんですけど。
桑原     うーん、まあまだマシかな。同窓会の幹事は連絡大変だし、基本信頼されてる証拠だし。うん。それぐらいのクオリティのやつを言って来いよ。
長谷川    はい。ありがとうございます。
桑原     ……なんの説教だこれは! いつの間にかお前のアイデンティティに場が支配されてきてたよ。とんでもねえなお前のアイデンティティは。ある種尊敬できるわ。
長谷川    そうですか?
桑原     うん。なんか毒気抜かれたわー。まあいろいろ言っちまったけど、そのポジティブさっていうか、前向きさ? そこはお前の良いところだな。
長谷川    いえいえ、やめてくださいよー! 僕にはなんの個性もないですよ。なーんの、なーんの個性もないです。全然ですよ。全然ですよもう。全然です。良いところなんてないですよー! もうー!
桑原    褒めたら褒めたでムカつくな。
長谷川    で、あの課長
桑原     なんだよ?
長谷川    来週の金曜なんですけど・・・ちょっと私用でお休みを頂きます。
桑原     今度は急になんだよ! 金曜? 大事な戦略会議の日だよな?
長谷川    ええ、そうなんですけど・・・どうしても・・・
桑原     ダメだよ!
長谷川    いや、そこをなんとか・・・
桑原     今が会社にとって大事な時期だとわかっていないようだな。先日の組織改革で各セクションの地盤は緩んでる。当然うちのセクションだってそうだ。2014年末から有力な人材が年々去り、今年はこれまでエース級の活躍をしていた者が去ることになっている。来週の戦略会議は、今後の会社の方針が決定づけられる大事なMTGなんだよ。
長谷川    MTGっていうのは・・・
桑原     ミーティングのことに決まってるだろう。常識だぞ
長谷川    すみません。
桑原     そう、大事な時期なんだ。しかし改革の流れのおかげで、新人が2人も入ったばかりだというのに、経験豊富でスキルのある人材も入社することになった。お前は、ちっちゃいんだよ。この先は全く予測がつかない。我々も顧客も、全員が不安を抱えている。そんな中、休ませてください、だ? このタイミングだから言わせてもらうけどな、お前、仕事なめてるんじゃないのか?
長谷川    はあ・・・
桑原     例えば得意先に行くのに、ギリギリの時間に出てもしょうがないんだよ。
営業が手ぶらで他社に行ってどうするんだよ。菓子折りなどの手土産とな
るものを確保するために早めに向かう。常識だ。数量限定の菓子折りなどは
すぐに売り切れる。だがそれを持っていけば好感触間違いなしだ。それだけ
で契約の1本が取れたら儲けもんだろ?営業マンってのは真面目に商材の
説明するだけが脳じゃない。切り替えるんだよ。ココを。(頭トントン)

長谷川    すみません。
桑原     服装にも気をつかえ。なんだそのシワだらけのシャツは。
わたしは素人です、って言ってるようなもんだぞ。情けない。
本当の営業マンなら、シワ一つないシャツをパリッと着こなせ
もっと高い意識を持て! お前みたいなやつが半年もすれば窓際に追いや
られて肩をたたかれるんだ!
長谷川    えっと、どういう意味ですか・・・?
桑原     クビになるってことだよ! わかったら今すぐ営業に行ってこい! 働け働け!!
長谷川    すみませんでした!(はける)
桑原     まったくどうして若いやつは平気で大事な仕事を休めるんだ・・・
長谷川    (戻ってくる)あの課長、ちょっと考えたんですけど・・・午後早退でも大丈夫です。17時くらいに会社を出られれば・・・
桑原     ・・・はあ。私用私用って、どんな用事なんだ
長谷川    それが、その・・・アイドルのライブを見に行きたくて・・・
桑原     は?
長谷川    いや、あの最近YouTubeみてたらハマっちゃったアイドルがいて、それで来週の金曜日初めて行くんです。いや、そりゃ仕事なんでチケット取れて良い席だったら行こう、くらいの軽い気持ちだったんですけど、なんかすごくいい席が当たったみたいで・・・
長谷川    ダメ、ですよね。すみません。ぼくがどうかしてました。
桑原     なんてアイドルだ?
長谷川    モーニング娘です
桑原     ・・・お前、早退でもいい、とか言ってたな
長谷川    はあ
桑原     今がモーニング娘。にとって大事な時期だとわかってないようだな先日のハロプロ大改革で各グループの地盤は緩んでいる。当然モーニング娘。だってそうだ。2014年末から有力な人材が年々去り、今年はこれまでエース級の活躍をしていた工藤遥が去ることになっている。来週の武道館ライブは、今後のグループの方針が決定づけられる大事な現場なんだよ。
長谷川    現場っていうのは・・・?
桑原あ    ライブのことに決まってるだろう。常識だぞ
長谷川    すみません
桑原     そう、大事な時期なんだ。しかし改革の流れのおかげで、新人が2人も入ったばかりだというのに、経験豊富でスキルのある子も加入することになった。森戸ちぃちゃんだよ。この先は全く予測がつかない。我々もメンバーも、全員が不安を抱えている。そんな中、早退させてください、だ? このタイミングだから言わせてもらうけどな、お前、現場なめてるんじゃないのか?
長谷川    はあ・・・
桑原     例えば現場に行くのに、ギリギリの時間に出てもしょうがないんだよ。
ヲタが手ぶらで会場に入ってどうするんだよ。
日替わりピンスポなどの思い出となるものを確保するために早めに向かう。
常識だ。数量限定のサイリウムなどはすぐ売り切れる。だがそれを持ってい
けば盛り上がること間違いなしだ。13色もの色が1本で出せるんだから儲
けもんだろ? サイリウムってのは真面目に一色だけを振ればいいもんじ
ゃない。切り替えるんだよ。ココを。(切り替えボタンを押すマイム)
長谷川    すみません
桑原     服装にも気をつかえ。なんだそのシワだらけのシャツは。わたしはニワカです、って言ってるようなもんだぞ。情けない。本当のヲタならメンバーカラー一色のTシャツをパリッと着こなせ。
長谷川     ・・・
桑原     もっと高い意識を持て! お前みたいなやつが半年もすればマサイになって隣の客の肩にガツガツぶつかるんだ!
長谷川     えっと、どういう意味ですか・・・?
桑原     ライブ中に周りの迷惑も考えずに常にピョンピョン飛ぶようになるってことだよ! わかったらとっとと休暇届を出せ! 休め休め!! 何故ハロプロは平日ライブが多いんだ! いつか平日でもみ世界中のみんながモー娘。みれる世の中になったらいいのにな。
長谷川    課長…
桑原     なんだ?
長谷川    でも僕、前武道館の最前のチケット取れたことありますよ。
桑原     だからお前のアイデンティティ知らねぇから!
長谷川    すみません。
桑原     …
長谷川    どうしました?
桑原     うらやましい…


■コント3「イシ拾い」
場所は山道。
長谷川桑原の前でうろうろとしている。しゃがんだりしながらなにかを探している。

桑原     なんて思ったことは一度もない。他人の人生と私の人生は全く違うのだから。
長谷川    そうですか。
桑原     そろそろどいてくれませんか?
長谷川    まあまあ、そんなに急がなくとも1日は長いのだから。
桑原     いや、この道細くて1人通るのがやっとなんですよ。なのにあなたがずっとそうしているから前に進めないんです。しかももうかれこれ2時間くらい経ちますよ。勘弁してくださいよ。
長谷川    どうしてそんなに急いでるんですか?
桑原     急いでなくても2時間はきついですよ…。
長谷川    見たところ、芸能レポーターの方ですね。
桑原     違います。郵便配達員です。
長谷川    だと思った。だから急いでるのですか。
桑原     祖父の代から100年間、時間を守り手紙を守ってきた。このジェリコ村とバリン村の気持ちを手紙で繋いできた…なのに行く手を阻む変な男のせいで初めて時間が守れなそうな状況に陥っております!
長谷川    あなたお名前は?
桑原     え? 今話聞いてた? 100年の苦労をあんたが崩そうとしてんだよ? よく名前きいたな!
長谷川    私の名前は、モルト…あなたは?
桑原     あんたやべーな! …私はペーター。ペーター・ユルゲン。はい、もういいだろ。どいてくれ。
長谷川    (なにかを拾う)あ! あったぞ!
桑原     …ダイヤ? こんな人気のない山道に?
長谷川    今日はついてそうだ。
桑原     え? 本物なのか?
長谷川    さあね? どうでしょうかね?
桑原     どうして石だけ?
長谷川    きっと、何かのはずみに指輪の台から滑り落ちたんでしょうね。
桑原     …高価なものだ。交番に届けた方が良い。
長谷川    あなたはいちいち落とし物を交番に届けるのですか?
桑原     そりゃそうだろ。落とした人が困っているかもしれない。
長谷川    ほんと届けるのが好きですね。そういう性癖ですか?
桑原     どんな性癖だよ。
長谷川    私は届けませんよ。
桑原     それじゃあ、横領罪でしょ。
長谷川    横領罪って…(凄く笑う)
桑原     笑いすぎでしょ! なにがそんなに面白いんですか!
長谷川    私は、しかるべくしてお預かりしているだけです。万物は流転しますから。本人が探していればいつか自分の元へ帰ってきます。
桑原     そんなもんかね…?
長谷川    私ね、世界中を物を拾いながら旅してるんです。
桑原     趣味悪いな…。
長谷川    世界中には色々なモノが落ちてますよ。ダイヤモンドなんて日常茶飯事です。
桑原     それは嘘でしょ!
長谷川    いやいや、石ってその辺に落ちてるでしょ?
桑原     いや、石とは違うでしょ!
長谷川    石が落ちてるならダイヤも落ちてますよ。結局はどちらも石ですから。
桑原     どんな理論だよ。
長谷川    この前なんて水晶落ちてましたよ。
桑原     いや、落ちてるとか言う大きさじゃねーだろ! それは誰かがおいてただけなんじゃねーか?
長谷川    いや、占いと書かれたテーブルの上に落ちてました。
桑原     こいつただの泥棒じゃねーか!
長谷川    ここからがポイントです。それから数十年後私が何気なく入ったBARで意気投合した男性と話していると、昔占い師をしていたら水晶を盗まれた。とエピソードトークしてきたんです。で、これですか? と、私が水晶を出すと男性は飛び上がり驚き、私を警察に突き出しました。
桑原     捕まってんじゃねーか! 良い話になるのかと思ったわ!
長谷川    捕まったという事実はどうでもいいのです。物が持ち主のところに帰ったというところがポイントです。やはり万物は流転している。全ては繋がっているのです。
桑原     カッコつけてるけど要はただの物拾って生きてるホームレスでしょ?
長谷川    (笑う)そうです。
桑原     そうなんかい。
長谷川    しかし、そこまで拾いものをしようとは考えてはいません。私が興奮するのは、偶然奇妙なものを拾った時。そして拾ったものに前の持ち主の意志や生活感が見えた時です。
桑原     ただの変態じゃん。もうマジでどいて。
長谷川    いろいろと面白いことがあるんですよ。たとえば、そうそう、私が16年前にボリビアで落とした財布を最近日本の蒲田で拾いました。
桑原     ええ? 嘘でしょ?
長谷川    本当です。カード類はそのままで現金が数十倍に増えていました。
桑原     奇跡すぎでしょ!
長谷川    いや、きっと定められた運命のレールの上で動いてるだけなんですよ。
桑原     ……知らねぇ―よ! 興味ねーんだよ! どいてくれよー!
長谷川    最近は、なんだか石づいてますね。よく石拾うんですよ。
桑原     聞いてないから! もう気持ち悪いの! やめて!
長谷川    この間は、水晶、トルコ石、石田純一の靴下、石田衣良の小説、そして今日はダイヤモンドです。
桑原     途中変なの混ざってたけどね。
長谷川    こういうことはね、奇妙に繋がって連鎖していくんですよ。
桑原     …。
長谷川    どうしましたか?
桑原     なんか、私と一緒だなと思って。
長谷川    え?
桑原     手紙もね、差出人から相手に届き、相手からまた返信が返ってくる。当たり前のように思えるかもだけど、相手が返信をくれるのも、手紙を無事私が届けるのも奇跡なんですよね。
長谷川    いや、全然違うでしょ。そっちは人間がやってることで、こっちは自然界の奇跡なんで。一緒にしてほしくないなぁ。
桑原     んだよ! てめーの話にのってやったのに! 突き放し方えげつねぇな!
長谷川    最後にあなたにモノ拾いのコツを教えてあげましょう。
桑原     いいよ! どけよ!
長谷川    まずはこの世界にはあらゆるものがあるということを大前提においてください。お金だって核だってプルトニュウムだってなんだって世界には落ちています。そして拾うべくして拾う。広い物とは地球と遊ぶ遊戯なんですよ。
桑原     全然あんたの話入ってこないんだよ! もうやめて!
長谷川    あ、(財布ひろう)また落とし物。
桑原     あ! それ私の財布!
長谷川    私のところに来るべくしてきたんです。
桑原     返せよ!
長谷川    いや、私のですから。
桑原     はあ? いや俺のだから。
長谷川    え? 私のですよ?

やりとりありまして
長谷川桑原をボコボコにする。
長谷川はける

桑原     なんだよあいつ…あ、真っ赤なルビーだ。すごいこんなとこに落ちてるなんて…これを売れば…
長谷川    (にやり)
桑原     どういうこと!?


■コント4 「イシの空回り」
場所は居酒屋

桑原     笑ってる場合じゃねーんだよ。すみませーん。緑茶ハイください。
長谷川    わかった。わかった。真剣に聞いてるって。
桑原     色々な団体がひしめく中独自の世界観をどう客に伝えて集客を増やすか。真剣に考えた方が良いと思うんだよ。
長谷川    いや、それはお前が考えることじゃないから。
桑原     制作が稼働してないから言ってるんだよ。だったら俺がやるから。
長谷川    でも、お前には舞監の代りもしてもらっちゃってるしさ。申し訳ないよ。
桑原     小さい劇団なんだから補い合うのは当たり前だろ。だからこそ全員で一丸となってやるべきなんだよ。
長谷川    まあな、でもさ、お前には演技に集中してほしいんだよ。舞監と美術、制作、受付、買い出し、全部やりながら出演するのはさすがに難しいと思うんだ。
桑原     俺の演技はそれくらいじゃぶれねぇよ。安心しろ!
長谷川    …。
桑原     すみませーん。緑茶ハイください。おまえは?
長谷川    俺はまだ大丈夫。
桑原     ウチの劇団ももう三年。そろそろ会場大きくしていきたいよな。
長谷川    まあな…。
桑原     すみませーん。緑茶ハイください。おまえは?
長谷川    俺はまだ大丈夫。
桑原     今回の芝居のダメ出しとかも気兼ねなく言ってくれよな。なるべくお前の世界観を再現できるように頑張りたいから。
長谷川    ああ…。
桑原     次は楽園だろ? 俺達にしては広い会場だからな。やっとオフオフシアター卒業か。早く本多でやりたいなー。すみませーん。緑茶ハイください。おまえは?
長谷川    ちょっと飲むペース早すぎない?
桑原     いやー、楽しくてさ!
長谷川    …。
桑原     今回の公演ホントに成功させようぜ!
長谷川    …お前さ
桑原     なんだよ?
長谷川    この芝居ちゃんと理解してる?
桑原     はあ? 理解してるよ!
長谷川    まあならいいんだけどさ。
桑原     なんだよ? 言えよ。
長谷川    いやさ、自殺サイトを見て集まった心の傷を抱えた若者5人が、励ましあったりぶつかり合い、それを通じて現代社会の闇を浮き彫りにし、生きることの意味を問うっていうシリアスな芝居なのはわかってるよな。
桑原     わかってるよ。
長谷川    お前は、その若者の一人で、壮絶ないじめを受けて引きこもりになった堀川役だよな?
桑原     そうだよ。
長谷川    まあ、わかってればいいんだよ。大丈夫。
桑原     なんだよ。なんでも言えよ。
長谷川    いじめを告白するシーンのセリフがなんか微妙なんだよな。
桑原     は? どこが?
長谷川    なんか軽いって言うか…。
桑原     いや、あれは俺なりの演技だから。お前に指摘されたくないし。
長谷川    いや、俺演出家だしさ…さっきなにかあるなら言ってくれって…
桑原     俺、演技指摘されるのが一番嫌いだから!
長谷川    でも、俳優ってそういうもんじゃ…
桑原     自分なりの譲れないとこがあっから!
長谷川    でも、それじゃ売れないでしょ?
桑原     最悪、誰に見せなくてもいいの。俺が満足すれば!
長谷川    じゃあ、劇団に入ってる意味が…
桑原     もう、だったら石をずっと積み続けるわ!
長谷川    はあ?
桑原     人に指図されるくらいなら石をずっと積み続けるって言ってんだよ!
長谷川    全然意味わかんねーよ!
桑原     うるせーな! 演出家がそんなに偉いのかよ!
長谷川    急にどうした?
桑原     人の言うこと聞いて自分変えるくらいなら死んだ方がましだから!
長谷川    そんなにきついこと言った?
桑原     あー! 俺を縛り付けんなよ!
長谷川    結構優しくしてたよ!?
桑原     こんなに頑張ってるのによ! 少しぐらい褒めろよ!
長谷川    いや、有難いって話してたよ?
桑原     俺、何でも屋じゃねーから! 舞監とかそういうのやりたくねーんだよ!
長谷川    さっきは、気にすんなっていってたじゃん!
桑原     言ってないから。もいい。これ以上話してもしかたないから。
長谷川    はあ? 言ってることおかしいじゃん。
桑原     そうだよ! 結局俺が全部悪いんだよ! これまでもずっとそうだったし! 俺が変なんだろ? それでいいよ。
長谷川    はあ? 俺は釈然としないよ。今後のことも考えたらちゃんとはなしあったほうがいいよ。
桑原     もういいから(泣く)俺が悪いから。
長谷川    泣くのは違うじゃん…。
桑原     (めちゃくちゃなく)
長谷川    大人の泣き方じゃない…。
桑原     結局また俺は一人になっちまったよ…。
長谷川    勝手にその方向に向かってるだけでしょ…。
桑原     そうだよ! 全部俺がわるいんだよ!
長谷川    まあ…今の状況はお前が変だよ…
桑原     なんだよその言い方! 俺舞監してやったよな? 受付したよな? なんでそんな言い方できるんだよ!
長谷川    だから少し多くギャラあげてたじゃん…
桑原     ギャラとかじゃねーだろ! 俺は役者なんだよ! 演技に集中したいんだよ!
長谷川    わかった! じゃあ、今度からなんとか予算増やして舞監さんとか雇うから! それでいいだろ?
桑原     それはちがうじゃん!
長谷川    え?
桑原     舞監代とかがギャラに上乗せされてるから生活できてるし! それ減らされたら生活できないじゃん! 舞監雇うとか寂しいこと言うなよ!
長谷川    …どうしたいんだよ。もうわかんないよ。
桑原     もうわかってもらえなくていいし。
長谷川    俺達は仲間だろ? そんな寂しいこというなよ。これからどんどんおまえのことわかっていくよ。
桑原     …ごめん…恥ずかしい。
長谷川    え?
桑原     恥ずかしいよ…良い大人が居酒屋で泣いて、金の話して…恥ずかしい…
長谷川    …もういいよ。(ほっけくる)ほらほっけ来たぞ。食おうぜ。
桑原     (綺麗に骨取って食いだす)うめっ。この時間のほっけ最高だな!
長谷川    …。
桑原     どうした? くえよ!
長谷川    この状況で綺麗に骨取って、しっかり大根おろしつけて食べるのすげえムカつく…。
桑原     (笑いながら)確かに!
長谷川    …あ、そうだ。さっきの怒ってるテンションで今回の決めのセリフ言ってみ。
桑原    「僕は〜、ずっと壮絶ないじめを受けていた!」
長谷川    おお! 凄く良いじゃん!
桑原     俺、演技指摘されるのが一番嫌いだから!
長谷川    …なんか憎めないんだよな。


■コント5 「プロイシき」
場所は廃寺
台詞全部片言

桑原     うぇー、周りくらっ! 風なまぬるっ! マジ夜中の廃寺怖えー。
長谷川    オニ雰囲気悪いー。もう帰りたいんですけど。
桑原     いやいやそれはノリ悪いっしょ。もうちょっと、この状況を、楽しもう的な?
長谷川    楽しむなし。空気読めし。なんなの一体。
桑原     いやいやなんか遊ぶのも飽きたしちょっとスリリングなことしたいねって言ったのお前じゃね?
長谷川    だからって廃寺に連れてくんなし。オニ頭悪いんですけど。
桑原     ちょっと待って!
長谷川    え、何!?
桑原     一回インスタにアップすっから
長谷川    オニびびったし! ふざけんなし! マジSNS依存!
桑原     いいね欲しくね!? こんな時間に廃寺にいる俺、ぜってえいいね押してくれん
じゃね!?
長谷川    黙れし。
桑原     にしてもこんな時間にこんなところにいたら本当に何か出てくるんじゃね?
長谷川    やめてよ。
桑原     お化けとか、幽霊とか、妖怪とか出てきたりな!

  BGM演出。何か現れたような。

長谷川    今の音なんだし!? あそこでなんか揺れたし!
桑原     ビビってんじゃねーよ。猫かなんか……。

  恐怖のBGM?

長谷川    あれ、お、鬼じゃね?
桑原     金棒、角生えてる、シマシマのパンツ、パーフェクト鬼っしょ!
長谷川    ありえないんだけど。オニありえないんだけど。鬼オニありえないんだけど。マジどうすんの?
桑原     ちょっと待って! 一回インスタアップすっから。
長谷川    オニ空気読めないんだけど! 鬼の前で鬼よりオニ空気読めないんだけど!
桑原     オニオニうるさくね?
長谷川    しかも鬼何匹もいるんですけど! オニ走ってきたんだけど! 完全に襲ってき
たんですけどー!
桑原     マジやべえー! もう終わりだ―!

  BGM、煽って止む。

桑原     …って、お前ら、鬼がな。
長谷川    はあっ!!!!

  BGM、バトルのような熱い曲に。

長谷川    (印を結んで)烈! 滅! 漸!
桑原      ナイス陰陽師。
長谷川     あんたも戦えし。
桑原      はいはい。
長谷川     ほら右から金棒!
桑原      (片手で受け止めて)楽勝っしょ。(そのまま鬼とインファイト)なにびっく
りしてんの。お楽しみはこれからっしょ! (右腕掲げる)この右腕はな、あ
の日お前らにやられて鬼殺しの血を飲んでからこうなっちまった。

  次々と殲滅していく二人。しばらく戦った後。

鬼が長谷川の腹を貫く

桑原     大丈夫か!!
長谷川    …なーんてね。
桑原     こいつにそんなんはきかねーよ。
長谷川    私は不死見姫だかんね。そ、あの伝説の。
桑原     苦労するな。人に非ざる力を持つというのも。
長谷川    慣れっこだら。
桑原     そろそろおしゃべりは終わりだ。……300年ぶりに歯ごたえのある奴と刀を合わせてみるとするか!

  激しい打ち合い。

桑原     これでおわりっしょ! あ!

     猫出てくる。桑原助けて刺される。

     桑原、刺さった太刀を握ったまま振り返り斬りかかる。しかし必死にかわすも肩
口を斬られてしまう。

桑原     ぐわぁぁぁ!!!
長谷川    鬼次郎! 

桑原の思考の中

桑原     ん? 俺を呼ぶ声。お前は? もしかして。頼む。俺に……その意思を……俺に
……その力を貸してくれ。

長谷川    よくも鬼次郎を!

切りかかる長谷川

長谷川    え? (振り返る)
桑原     ……人の創りし英知。鬼を討つ白き太刀。
長谷川    鬼次郎の後ろに…酒呑童子が…。
桑原     ……人を制する為の、鬼の操りし黒き太刀。
長谷川    二本の太刀を同時に!?
桑原     俺は! 鬼を討つ鬼殺しの鬼。……だが今は……鬼でも人間でもなんでもない
……鬼ハンター神条!
長谷川    よ! 日本一!
桑原     さだめを縛りし者、その呪縛……二本の太刀を以ってして……今ここで斬
り捨てる!! すべて……終わりだぁぁぁ!!

 桑原は白と黒の太刀を鬼に突き刺す。

桑原     今だ!
長谷川    ガッテン! 滅!
桑原     え? 俺の親父がなんだって? おい! おい!
長谷川    今の鬼…もしかして…。
桑原     なあ。
長谷川    何。
桑原     こいつらでもなかったな。
長谷川    あたしたちの旅は、まだ続くし。
桑原     俺はいつになった人間に…。
長谷川    ん?
桑原     今の気配…
長谷川    うん…おそらく。

音楽 ミュータントタートルズの予告の音

長谷川    なあボブ、最近鬼退治ばかりでつまらないよ
桑原     そんな時は恋でもすればいいのさ。ほら、あそこの美女なんてどうだい?
長谷川    おいおい、あれは鬼だよ!
桑原     オーマイガー!
長谷川    次回魔界転生ブラザーズ、フランツのシャウエッセンビンビン物語!
桑原     次回も観てくれよな!
二人     カーワーバンガー!

場所は漫画家の部屋へ

長谷川    みたいな感じでアニメ化されたらいいですな。
桑原     (電話)はいはい…わかりました。
長谷川    どうしました?
桑原     来週号で打ち切りだって。
長谷川    え? まだ1巻が出たばかりですよ?
桑原     漫画じゃ片言伝わらないって…。
長谷川    くそ!
桑原     なにしてるんですか?
長谷川    全部真っ黒のページにしてやる。最後の抵抗です。何としてでもこの作品を誰かの記憶に残してほしい。
桑原     いいですね!
長谷川    で、最後のページに見開きで大きな花火を打ち上げるってのはどうでしょう?
桑原     最高です!(拍手)


■コント6 「イシの彼方」
場所は謎の惑星

長谷川    (手を二度叩く)女子同士の悪口トーク。
桑原     (同じく)週刊連載の人気漫画。
長谷川    (同じく)校長先生の話。
桑原     (同じく)メビウスの輪
長谷川    え? それだす? それはずるくない? なんかさめるわ。
桑原     じゃ、じゃあ、トイレットペーパー!
長谷川    すぐおわるよ! 4人家族なら1週間で終わるよ!
桑原     …難しいよ。ていうかこの永遠に続きそうなものを言うゲームもう飽きたよ。
長谷川    だって、もうすることないしさ。
桑原     僕たち以外誰もいないしね。
長谷川    お、大分植物も育って来たね。
桑原     とりあえず、成功だね。
長谷川    まあ、とにかく人が来るのを待つしかないんだよ。
桑原     ええ~、あとどれくらい?
長谷川    ん~トイレっペーパーがなくなるくらいかな。
桑原     じゃあすぐだね!
長谷川    二人とも便秘気味だとした時のトイレットペーパーね。
桑原     …いまいちピンとこないけど長そう…。
長谷川    あ、メッセージボトルだ!
桑原     え? だれから? だれから?
長谷川    「お元気ですか? これを手に取る人がいるということは、ここには僕たちの他にも生存するものがいるということですね。僕はここにすごく長くいます。仲間はみんな死にました。よかったら友達になりませんか?」だってさ!
桑原     やった! ほかにも生存してるんだ! 仲間が増えた!
長谷川    よかったな! 希望が見えてきたぞ!
桑原     ん? まだ続き書いてないか?
長谷川    ほんとだ。
桑原     なになに…「会えた時の為に僕と友達の特徴を教えておきます」
長谷川    友達ってことは、二人いるのか!
桑原     「僕の友達は手足が長くてひょろひょろしていて顔がカニのうらがわみたいで気持ち悪いです。僕は中肉中背で凄く綺麗な整った顔立ちをしています」
桑原     おい! おい! 
長谷川    え? え? なに?
桑原     これおまえだろ! 出したの!
長谷川    たしかに! これ俺がまえに海にながした綺麗な顔立ちって俺のことだもんな!
桑原     いや、お前はただのアゴ曲がりだろ!
長谷川    なんだよその言い方! 酷いぞ!
桑原     お前のほうが酷かったろ! 顔がカニの裏側ってどういうことだ!
長谷川    まあまあ、そんなに泡吹くなって。
桑原     ふいてねーわ! あー、イライラするわ! なんか腹も減ってきたし…
長谷川    そこに生えてるきのこなら食べられるよ。こうやってね(喰う)
桑原     え? それ食べられたの?! じゃあおれも…
長谷川    あははははは!
桑原     なんだよ急に笑い出して
長谷川    わははは(指差す)
桑原     あ! きのこ食べて笑いが止まらない…まさかこれ!
長谷川    カニの裏側~!
桑原     普通に笑ってただけかよ! 紛らわしいな! 完全にワライダケだと思ったわ!
長谷川    君の顔見てると常に笑っていられるよ。
桑原     俺の顔がツボっておかしいだろ!
長谷川    お前の顔はカニだよ(叩く)
桑原     なんで突っ込まれたんだよ!
長谷川    だってお前の顔はツボじゃなくてカニでしょうが
桑原     カニではねーよ! カニの裏側な!
長谷川    そっか…。
桑原     これからは間違えるなよ。
長谷川    ごめん…
桑原     って、カニの裏でもねーから! もう腹たった! ここからはおれ一人で行動する! おまえはあっちに行け。シッシ
長谷川    そっちこそあっちに行け、シッシ(静かにしろのマイム)
桑原     ジェスチャー違うだろ! 静かにしろ。みたいになってんじゃねぇか!
長谷川    静かにしてください。みんなの迷惑です。
桑原     ここには誰もいねぇんだよ! 僕はね、君と二人で力を合わせてなんとか生き延びようと思っていたのに!
長谷川    (息を長くする)
桑原     なにしてんだよ!
長谷川    よう!
桑原     はあ?
長谷川    (繰り返す)息伸ばしてようっていってんだよ。
桑原     息伸ばしてようって言おうってことじゃねーよ! 生き延びようっていったんだよ!
長谷川    じゃあ、あやまればいいんだろ! (頭下げる。桑原の背後)
桑原     ケンタウルス! 普通に謝れ!
長谷川    …もうやめようよ。僕はただ少しでも明るくできたらなって思っただけなんだよ。

沈黙

桑原     …そうだよね。お互い不安なのに…ごめん(頭下げる)
長谷川    もういいって。いいから…上げろよ。ほら、上げろって。テンション上げてくれ!
桑原     ひゃっほう! おかしいだろ! 上げるのは頭だろうが!

沈黙

長谷川    動物たちも育ってる。植物も海もできた。
桑原     ああ。テラフォーミングはもう完成しただろうな。(上を見る)しかし、あの首の長い犬みたいなやつなんなんだろうね…。
長谷川    もう独自の生態系を作り上げているからね。そんなこといったら、あの二足歩行の犬みたいなやつも気になるよ。
桑原     なにか運びながら自分たちの生活スペースを作り出してるな。
長谷川    なあ。
桑原     え?
長谷川    僕たちはもう存在する意味はないんじゃないか?
桑原     …でもそれは悲しいよ。
長谷川    そんな感情僕たちロボットにはないだろ。空腹も悲しみも人間に似せてプログラミングされただけ。
桑原     じゃあ、今僕の目から出てるのはなんなんだい?
長谷川    …それは…オイルだ…きっもちわり! くっせ! こいつくっせ!
桑原     やめろよ! はずいよ!

沈黙

長谷川    …終わりにしよう。
桑原     え? どこいくんだよ?
長谷川    宇宙船に乗る。地球に帰るのが無理でも、宇宙に出ることはできるだろ?
桑原     で、どうするんだよ? まさか?
長谷川    ああ、自爆装置を起動する。
桑原     …僕も行くよ。
長谷川    …ああ。

手を繋ぐ

長谷川    僕たちの生きた意思は誰かに覚えていてもらえるのかな?
桑原     どうだろうね。
長谷川    じゃあ、いくよ。
桑原     うん。
長谷川    …ちょっと、まって怖い怖い!
桑原     ビビらせないでよ!


■エンドコント 「イシツナギ」
長谷川    ビビらせてはいないよ。
桑原     いや、ビビらせたでしょ!
長谷川    いや、今この地球が爆発するって言ってるわけじゃないよ。星の爆発によって全ては生まれたんだよって話。
桑原     最初からそう言えよ! いきなり地球爆発って言うから!
長谷川    ごめんごめん。そうじゃなくて、俺が言いたかったのは、俺たちの体の材料って、みんな星が燃える時にできたんだって。ビッグバンね。
桑原     へえ。じゃあ、俺とお前も、もともと同じ星だったってこと?
長谷川    そうだな。なんなら、俺たちだけじゃなくて、多分地球にいる人みんな、何十億年も前に宇宙のどこかで燃えてた星からできてるんじゃない。
桑原     じゃあ、俺達兄弟なのか…。
長谷川    いや、広く見たらの話だからな。でも、宇宙全体は繋がってるってことなんだよ。
桑原     お前ってそういう科学的なこと妙に詳しいよな。
長谷川    なんか祖先が元々科学者だったらしいんだよ。
桑原     今は花火職人なのに?
長谷川    俺もよくわかんねーよ。途中から代々花火職人だからな。
桑原     変なの。
長谷川    代々石の塔を作り続けてる家計の方が変だろ!
桑原     素敵だろ! なにも目的ないんだぞ! 只々石を積み上げて塔を高くしてるだけだ。俺の代になってもうそろそろ宇宙に届くかもって感じなんだよ。
長谷川    まあ、俺はお前に出会えてラッキーだったけどな。
桑原     俺も、おまえのおかげで目的ができたよ。
長谷川    で、さっきの話なんだけどさ。
桑原     ん?
長谷川    宇宙は繋がってるって話だよ。
桑原     ああ。
長谷川    だからこそ、今開発している地球全体を覆う花火を完成させたいんだよ。その花火を見る一瞬だけでも地球にいるすべての人に繋がってほしい。笑顔になってほしいんだ。
桑原     そうだな。一度は滅びかけて他の星に移住まで考えたこの地球だ。今こそ一丸となってみんなで復興をしなきゃいけない時だ。もう戦争をおこさないためにもみんなを笑顔にしよう!
長谷川    おう!
桑原     で、どうすんだ?
長谷川    俺の作った特製花火をこの塔の上から打ち上げる。
桑原     宇宙にまで届くのか?
長谷川    ああ、特製だからな!
桑原     どういう仕組みかは教えてくれないんだな。
長谷川    細かい仕組みは秘密だ。何故なら特製だからな。
桑原     わかったよ!
長谷川    ただ、打ち上げるのに火薬は使わない。
桑原     はあ? じゃあ、どうやって打ち上げるんだよ?
長谷川    人の意志を火薬代わりにする。
桑原     はあ?
長谷川    これを見ろ。(光る電球取ってくる)
桑原     これは?
長谷川    意志を吸い取る石だ!
桑原     ややこしいな!
長谷川    これを持つと人の意志がここにたまっていく。そしてたまった時にその力で打ち上げるんだ。
桑原     こんなものただの花火職人がよく作れたな。
長谷川    じいちゃんが持っていた本に作り方が書いてあった。先祖が書いたものらしい。
桑原     ホントに意志なんて吸い取れるのかよ。
長谷川(桑原のところで電球つける)ほら!
桑原     すごい!
長谷川    でもこれじゃ足りない! みなさん!(客に)意志をくださいお願いします!

客席におりてお客の意志を吸い取る。
良きところで舞台にもどる
舞台上でVR
映像が消えて暗転。

センターで時系列コント始まる

【リエンの思想】
桑原     リエン君? なにいってるんだい?
長谷川    政府の依頼があったので力を貸そうと思っています。
桑原     考え直せ! 利用されて終わりだ! 私たちは私たちで平和の為の研究を
しよう。
長谷川    ラポール博士。大丈夫です。私はあなたの意志を継いでうま
くやりますよ。
桑原     リエンくーん!

【北川上京】
長谷川    大きな声出さないでくださいよ。
桑原     うるせー! どうせ俺が変なんだよ!
長谷川    …バイトが一緒だからって変な人と飲みに来るんじゃなかった。
桑原     北川! おまえはなにしに東京出てきたんだよ!
長谷川    科学者になりたくて…
桑原     科学者?
長谷川    この本の作者ラポール博士に憧れて。
桑原     なんだよそいつ。
長谷川    世界中の人を笑顔にするために日夜研究している人です。先輩は役者さん
でしたっけ?
桑原     ちげーよ! 俺の夢はひたすら石を積むことだよ!

【リエン雨降らす】
長谷川    リエンさんなにいってるんですか!
桑原     もう仕方いんだ…ミスター北川。
長谷川    あなたが作ったのは戦争の為の兵器ですよ。
桑原     ああ、これから世界中に毒の雨が降るだろう…。
長谷川    ラポール博士の考えに憧れて日本を飛び出して、弟子であるあなたのとこ
ろで働いてきました。でも、そんなことに科学を使うのなら手は貸せません。

【モー娘。】
桑原     ペンライトはこう使うんだよ! モーニング娘○○のライブが見たいんだ
よ! 世界中の人が好きなアイドルのライブみたいはずだ! 平日は16
時で仕事を終われるようにしろ! 世界中でだぞ!

【テラフォーミング】
長谷川    世界中の人を見捨てるってことか?
桑原     ミスター北川…このままでは世界は滅びる。それは私の父リエンの作った
兵器のせいだ。だから息子の私が始末をつける。他の星に移り住むんだ。も
う、ロボットを打ち上げ、テラフォーミングを進めている。一緒に行こう。
長谷川    私はこの地球を見捨てることはできない。
桑原     そうか。ならこれを。
長谷川    これは?
桑原     父が持っていたラポール博士の研究レポートだ。きっとこれはアナタが持
っていた方がいい。

【漫画】
長谷川    大きなお世話なんだよ! まったく将来が心配だ心配だって。俺の将来は
俺で決めるんだよ。なんで研究者になんてならなくちゃいけないんだよ。
(漫画読む)おい! え? いきなり最終回? ふざけんなよ! 外人が
鬼倒す設定面白かったのに! ん? 真っ黒…ここも、ここも…うわ…最
後のページ…唐突な花火…でも綺麗だな。花火職人になるのもわるくねー
な。

映像で花火上がる。

桑原    うまくいったぞ! すげー!
長谷川   やった! 花火でか! これは世界中笑顔になったろ!
桑原    絶対になったよ! すげーきれいだもの!
長谷川   テレビつけてみろよ!
桑原    あ、
長谷川   え? みんな怯えてるじゃねーか!
桑原    隕石かミサイルかみたいな感じになってるな…
長谷川   顔引きつりまくってる!

花火終わる

桑原    …(手を出す)
長谷川   え?
桑原    とりあえずは成功だろ? また改良していつかみんなを笑顔にできればいいじゃん。結果はどうあれ、今日は成功だ。な。
長谷川   …そうだな。

握手する

長谷川石を出す。
桑原     なんだよその石?
長谷川    なんか知らないおっさんに渡された。「あんたの先祖の落とし物だ」って。
桑原     なにそれ。きも。
長谷川    でも、この石には成功を祈った気持ちがこもってる気がするんだよ。
桑原     そんなこといって、ただ拾っただけの石だったらどうする?
長谷川    それはないだろ。
桑原     そうかな。

二つの光が見える。

長谷川    ん? なんか光ってない?
桑原     花火か?
長谷川    いや、違うよ。なんだろ。

暗転

エンディング

エンドⅤ流れる

アンコール

■漫才

【内容】
キノコ狩りに行ったら、長谷川が紫のキノコを食べて死んでしまう。
桑原は長谷川を死なせないように時間をループする。

◯フリ
桑原:時間を何度も繰り返すSFあるだろ?あれ俺好きなんだよ。
   「時をかける少女」「まどかマギカ」とか。
長谷川:確かに面白いよな。
桑原:だから今から「時間を戻って、友人の死を阻止する」みたいなのをやってみたい。
   お前、キノコ狩りで、毒キノコ食って死んでくれ。俺が時間をループして阻止するから。
長谷川:なんかスケール小せえな。

→コント入る

①普通に死ぬ
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:たまには都会から離れて山に来るのもいいよな。
長谷川:あ、キノコあった!紫って珍しい色だな(食べる)うっ・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

②普通に死ぬ
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:たまには都会から離れて山に来るのもいいよな。
長谷川:あ、キノコあった!紫って珍しい色だな(食べる)うっ・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

③ループに気づく
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:たまには都会から離れて山に来るのもいいよな。
長谷川:あ、キノコあった!紫って珍しい色だな。
桑原:長谷川ダメだ!
長谷川:(食べる)うっ・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

④フリかと思った
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜
桑原:俺だけが同じ時間を繰り返してる。長谷川を救ってループを回避しないと・・・。
長谷川:あ、キノコあった!紫って珍しい色だな。
桑原:その紫のキノコは毒キノコだ!食べたらダメだ!絶対食うな!
長谷川:(食べる)うっ・・・
桑原:なんで〜?
長谷川:フリかと思った・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

⑤横の青いキノコを食べる
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:その紫のキノコは毒キノコだ!言っとくけどこれ、フリじゃないからな!
長谷川:わかったよ。じゃあ、こっちの青色の食お(食べる)うっ・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

⑥茶色い普通のキノコ食べる
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:紫のキノコは食うな!その横の青いキノコも食うな!フリじゃない!
長谷川:なんだよ!じゃあ、こっちのピンクのやつは?
桑原:ピンク?それもダメだ!
長谷川:じゃあ、この黄色と緑の水玉の・・・
桑原:ダメ!
長谷川:じゃあ、この水色と赤のギンガムチェックの・・・
桑原:ギンガムチェック?なんでそんなキノコあるんだよ!ダメだ!
長谷川:じゃあ、このレインボー柄でスケルトンの・・・
桑原:全部ダメだ!なんだこの一帯!やばいキノコだらけじゃねーか!
   怪しい色のやつは食うな!
長谷川:じゃあ、この茶色のは?
桑原:茶色だったらいいよ。
長谷川:(食べる)うっ・・・
    (苦しみながら)これは、一見普通に見えるがアフリカゾウも一舐めしただけで即死する
     という「瞬間絶命破滅猛毒キノコ」か・・・(死ぬ)
桑原:長谷川〜!

⑥フリかと思った2
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:この辺りのキノコはもう一切食べるな!そして一見普通に見える茶色いキノコも食べるな!
長谷川:(食べる)うっ・・・フリかと思った(死ぬ)
桑原:忘れてた〜!こいつの変な芸人魂〜!

⑦持参のキノコ
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:この辺りのキノコは一切食べるな!一見普通に見える茶色いキノコも食べるな!
   そしてフリこれはじゃない!よし!
長谷川:なんだよそれ?キノコ狩りに来た意味ねーじゃねーか。
桑原:それでいいんだ!
長谷川:しょうがねーな。じゃあ、家から持ってきたキノコ食お。
    (ポケットから出して食べる)うっ・・・
桑原:なんで〜?家から毒キノコ持参してんの!?
長谷川:これはアフリカゾウが一舐めしただけで・・・(死ぬ)
桑原:しかも「瞬間絶命破滅猛毒キノコ」〜!

⑧空から毒キノコ
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:キノコ狩りは中止して、もう山を降りよう!
長谷川:またまた〜!(食べようとする)
桑原:(食べようとするのを止めて)フリじゃない!
長谷川:しょうがねーな。(ポケットに手を入れる)
桑原:(投げ捨てる)これも捨てまーす!
長谷川:なんなんだよ!
桑原:なんでも好きなもん食わせてやるから!なんでもいいぞ!一貫5万円の寿司食うか?
   松坂牛1頭食うか?
長谷川:いいよ。なんかわかんねーけど、お前必死だから山降りるよ。
桑原:おお!よかった!
長谷川:せっかく山奥まで来たのにな〜(空見上げる)あれなんか落ちてくる・・・
    (食べる)うっ・・・(死ぬ)
桑原:空から毒キノコ!ワオッ!

⑨逆に食べたくなくなった
長谷川:キノコ狩りずっと来たかったんだよな〜。
桑原:はい!もうあきらめました〜!無理です〜!空から毒キノコはダメ〜!回避無理!
   こいつ死にます〜!
長谷川:は?何言ってんの?
桑原:ほら!食えよ!キノコ!いっぱいあるから!それでどうせお前死ぬんだから!早く食えよ!
長谷川:なんかそんな言い方されたら、嫌だな。
桑原:え?
長谷川:なんか逆にキノコ食いたくなくなってきたな。
桑原:・・・そういうことか。おい!食えよ!キノコ!美味しいぞ〜!食え〜!キノコ食え
〜!
   紫とか青とかギンガムチェックとか〜!(歌う)
長谷川:怖っ。お前、キノコ教の教祖か?
    俺、キノコ狩りやめるわ。もう山降りようぜ。
桑原:よっしゃ〜!ついにループ回避だ〜!
長谷川:うっ・・・(苦しむ)
桑原:え?嘘?キノコ食ってないじゃん?えー?なんでー?
長谷川:さっき食べたフグの毒が・・・

長谷川    結局僕の股間のキノコが一番安全ですね。わ、最後下ネタですべったー!
桑原     助けないと。

タイムリープの下りあって。
途中から前前前世流れる。

ボケ成功し、、二人とも記憶なくしすれ違う

桑原     君の名は?
長谷川    よう、桑原!
桑原     いいかげんにしろ!

おわり

原案・構成・演出 長谷川優貴

■OPコント 「奇跡のはつめい」
脚本 長谷川優貴

■コント1「イシのおくりもの」
脚本 大桶純一
脚色 クレオパトラ

■コント2「イシき高い系」
前半脚本 大桶純一
後半脚本 桑原尚希
脚色 クレオパトラ

■コント3「イシ拾い」
脚本 長谷川優貴

■コント4 「イシの空回り」
脚本 長谷川優貴

■コント5 「プロイシき」
原案 クレオパトラ
脚本 大桶純一
超脚色 クレオパトラ(ギャルとギャル男のコントだったのに片言のコントにしました…)

■コント6 「イシの彼方」
脚本 長谷川優貴

■エンドコント 「イシツナギ」
脚本 長谷川優貴

■漫才 「イシの繰り返し」
脚本 中村元樹
脚色 クレオパトラ

DVD発売中!

クレオパトラネットショップ「色彩マーケット」で購入できます。


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