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「不眠症の物語 / Tale of Insomnia」1300x1620mm, oil on canvas, 2020

今回の展示で、一番大きいサイズF100号の作品です。
モチーフはネムノキです。
ネムノキは夏に花が咲く木で、夜になると葉を閉じます。葉の形は、オジギソウをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
樹皮が抗うつ・不眠改善の漢方薬として使用されるとか。
薬草園が植物園の前身でもあったように、園芸の始まりには薬として植物を栽培してきた歴史があります。

発光するように描いた線画は、18世紀の星図「フラムスチード天球図譜」より。ネムの花の咲く頃、夏の空の星座です。
星をつなぎ合わせて、そこに物語を見ていた、星座というものが私は好きです。

また、太陽光に対し、ネオンというものを私は人工の象徴として捉えていて、今回の個展で発表している作品には多々登場します。

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さらに今回の作品群は、園芸の歴史を参照しながら描いたものがほとんどです。私はそれを、人が自然界のことを読み取ろうとしてきた歴史と解釈しています。そして、その営みの積み重ねと、紡がれてきた物語に敬意を持っています。

本作においては、東洋の読み取り方・西洋の読み取り方、両方の歴史における一部分同士を掛け合せわることを試みました。

自然界のことを読み取る、というのは途方もない時間をかけて築かれてきました。今もなお、わからないもの、新しいものが見つかります(ウイルスもそうですね...)。
それをどうやって人間は確認してきたのか、学んできたのか、わかっていることが当たり前になってしまってはいないのか。どこまでがフィクションで、史実はなんなのか。

過去をたどる楽しさの中には危うさもありますが、自分以外のものの来歴を知ることは大切だと思っています。

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明日は、一部屋目ラストの青い作品です。

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