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「Descendants of Flora」1455x1120mm, oil on canvas, 2020

昨日の投稿にあったタイトル「Descendants of Flora」はこちらの作品のタイトルになりました。
その経緯についてを記します。

本作に描いたのは、「バンダ」という東南アジア原産のランの品種です。
この品種は、着生ランといって、地面ではなく樹上に張り付いて育つランです。そのため鉢植えではなく吊るす形で成長します。この着生ラン系統の根っこは、ぞわぞわする奇妙さを持っています。

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私はSNSで東南アジアのラン業者のアカウントをいくつかフォローしているのですが、この業者さん達の温室が、圧巻です。
見渡す限り、列になって吊るされたバンダ。まるで工業製品の工場のように並ぶ花。でもそれは全部生き物なのです。

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身の回りの園芸植物は何度も交配などの品種改良で、大きく、華やかな、新しい模様の、花たちが作られてきました。
ランは、19世紀のヨーロッパで熱狂的に愛好されました。日本でも、特に年配層にランの愛好者が多いですね。
元になる原種(改良されていないもの)のような花ももちろんありますが、今日に至るまで、自分の想像以上に花同士は掛け合わされ、混じり合っていました。

「Descendant」には子孫、末裔などの意味があります。「末裔」と聞くと血統の印象が強いですが、「Descendant」の意味は先祖から遠く離れた者を指すそうです。
人間も、長い歴史の中で人種の血筋は混じり合い、今があります。みんな何かしらの混血です。

実は、元々のタイトルは「混血のフローラ」とするつもりでした。しかし、英訳の際に「混血」という語のもつ複雑な背景を知り、タイトルに掲げるのは適切ではないと判断したため、探した言葉が「Descendant」でした。
さらに「門下生」のような意味もあるそうです。ローマ神話の花の女神であるフローラの門下生と言ったら、植物の研究に取り組んできた植物学者たち・育成に励む園芸愛好者たちを想像しました。

フローラの子孫たちは、きっとこの先も混じり合って行くのではないでしょうか。そして、園芸の魅力に惹かれる者たちにも、もはや国境はないと思うのです。

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Room1展示風景2

明日はさらにこの左隣の一枚を、書いていきます。

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