「月のない夜が明ける / Moonless Night Dawns」1167x1167mm, oil on canvas, 2020
青い朝顔を描いています。陽のある間に咲く朝顔、夜型の私はあんまりゆっくり眺められたことがありません。
本作は、朝顔の描かれた浮世絵をいくつか下敷きにしています。
私は古書店でアルバイトをさせてもらっていて、いろんな東西の古典籍に触れる機会を頂いているのですが、かつてはあまり興味のなかった分野にも興味が出てきました。浮世絵もその一つです。
一枚の浮世絵の中に二つの空間が描かれているもの、コマ状の名所絵が後面にあり、前面に美人が描かれているなどといった図柄を参考にしています。
別々の空間・時間を無理なく読ませる浮世絵の配置は興味深いです。
本作での扇型のコマには、夜の空間に、浮世絵から抜粋した和歌を配しています。
八重霜の沖の枝しま群れる鵆(ちどり)にしろく見ゆる明かた(明け方)
江戸時代後期の狂歌師 武隈庵双樹による、群れて咲く朝顔の模様を千鳥の群れに見立てた和歌です。
明日からは、二つ目の部屋の展示作品に移ります。
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