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歩くあるく:みちのく潮風トレイル日記・ 第5日(2021年8月1日、夏木立を歩く爽快感。山下駅接点ー四方山東屋57.88km)

夏木立を歩く

 8時20分、山下駅前をスタート。一日中暑く、湿度も高かった。
 5日目のコースは、深山(しんざん)頂上・四方山(しほうざん)展望台を経て、亘理駅に至る予定だったが、後述のように、昼食のために山下駅まで戻らざるをえず、17時6分、四方山東屋付近でこの日のルートを断念、一の坂林道を降りて、浜吉田駅に戻った。

 深山頂上までの登り、また頂上から明通峠までの尾根伝いの夏木立は気持ちよかった。

【本日歩いた距離】   

 ルート上では9.14kmしか進めなかった。万歩計上では1日で計7時間29分、23.64km、29,514歩もあるいたのだが。また、山下駅接点から四方山東屋までの歩いた距離は、万歩計上では14.39km、4時間54分、18055歩だった。低い山でも、アップダウンの多い山道はなかなか進まない。

深山へ

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 写真は、山下駅ホームからみた深山(標高287m)。阿武隈山地の北側だ。これからこの山に登るのだ。山下村と坂元村が1955年に合併して山元町となったが、山下村の「山下」は、深山の山下を意味するようだ。

 ロスが多かった1日だが、まず、山下駅方面接点へのアクセスが難しかった。山元町役場に至る新しい道(高架橋になっている)を通るべきだったが、山下駅を出て、県道121号線から旧6号線に入ったために、なかなか山元町役場に至れない。やはり橋梁は鬼門だ。最寄り駅からのアクセスを事前に入念にチェックしておく必要がある。

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 深山神社から深山山麓少年の森に入って、1時間40分で3km弱を登り、頂上に着いた。ハイカーが何組も登り降りしている。途中、仙台からという81歳の男性と言葉を交わす。深山にはもう1000回以上も登っているという。蚊取り線香や携帯用の扇風機など重装備だ。最近は腰痛と体調不良でなかなか登れないという。若々しい方で、71歳ぐらいにしか見えない。

 頂上には東日本大震災の被災者を慰霊する「鎮魂の鐘」がある(冒頭の写真)。南は相馬共同火力が、北には阿武隈川河口の「鳥の海」が見える(写真下・中央部)。牡鹿半島も遠望できる(写真下)。仮に再稼働後の女川原発で過酷事故が起こったら、風向きによっては、東日本大震災の津波被災地の山元町はじめ沿岸部全体が重大な放射能汚染に直面するだろうと戦慄した。

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 青田の中に、いちご団地が大規模に拡がっている(本稿末尾の写真も参照)。山元町と亘理町のほとんどのいちご農家が被災し、ハウスも流されたり潰れたり、地下水の塩害など、ダメージが大きかったという。下記の2つの記事のように、国の補助金なども活用し、大規模な水耕栽培のハウスが再建された。

https://www.fir.co.jp/fs_bk/201201/16-17.pdf 山元いちご農園について

https://www.pref.miyagi.jp/pdf/kiki/watari2503.pdf 亘理町の被災の記録

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 奥羽山脈側を見ると、角田市の青田が美しい。阿武隈川も光っている。この3年ほど、年に数回角田市を訪ねている。角田市から東側に見える山地は、深山や四方山だったのだ。自分の知っている場所の点と点がつながって、線になり、面になったような感覚がある。東北新幹線でおなじみの福島市の北側の半田山も見える。

 ゆるやかな下りが続く、尾根伝いの夏木立の中を歩くのは実に爽快だ。この20年、時間的な余裕も心の余裕もなくて、一緒にハイキングにも連れ出すこともないままに、息子を成人させてしまったことを反省した。こんなに爽快ならば、少年時代の息子に、山道を歩く楽しみを教えてあげるべきだった。みちのく潮風トレイルは、家族連れに手近なハイキングコースを提供するという意義も大きいだろう。

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 木立の中に、みちのく潮風トレイルのリボンが所々にある。一本道ではあるが、正しい道を進んでいますよ、下草を刈ったり、危険な箇所をチェックしてコースを点検していますよ、というメッセージになる。

【今日の反省点】

 今日の最大の反省点は、コンビ二で昼食を買えなかったことだ。自宅最寄り駅近くのコンビ二が改修のため一時閉店中だった。仙台駅構内のコンビ二で買うべきだったが、うっかり立ち蕎麦屋での朝食を優先してしまった。山下駅周辺にはコンビ二がなかった。ミニ羊羹やナッツのような行動食的なものを持ってきていないことも大いに反省した。パンの缶詰も試してみたい。

 明通峠でとおりがかりの車に頼むと、親切にも山下駅まで乗せて下さった。14時半過ぎ、山下駅隣のスーパーで昼食を買い、イートインで食べた。山下駅からタクシーで明通峠まで戻る。約1時間半のロスだ。15時半四方山展望台をめざして登り始めた。舗装道路でつまらない。約1時間で頂上へ。

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 頂上には、写真のように津波の浸水範囲が示してあった。山元町では、6号線の海側はほとんど浸水したことがわかる。

 四方山の東屋から亘理駅までは約10km、平坦なコースでも2時間半はかかる。下手をすると3時間もかかり、途中で暗くなってしまう危険性がある。

 幸い四方山の東屋には、亘理町まちづくり協議会作成の亘理の里山ルート図が置いてあり、下山ルートがしっかり示されている。約1時間で約4kmの一の坂林道を降りた。アップル街道沿いの林道の起点で、親切な車に浜吉田駅まで乗せてもらった。山登りの好きな愉快なおじさんだった。

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