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歩くあるく:みちのく潮風トレイル日記・ 第10日(2021年9月8日、鎮魂野蒜海岸。宮戸あおみな——陸前小野駅接点154km)

 10日目の9月8日は朝からあいにくの小雨模様。正午過ぎから本降りとなってきたので、予定を変更し、仙石線陸前小野駅から仙台に戻った。

 震災前に何度か訪れたことのある野蒜海岸付近が痛々しかった。写真は、松ヶ島橋の南西側の蕎麦畑。花がちょうど満開だ。

【本日歩いた距離】——宮戸のあおみなから野蒜駅を経て、鳴瀬大橋を渡り、陸前小野駅接点へ。コース上では、8.50km。万歩計上では、陸前小野駅から自宅までを含んで、13.94km、3時間55分、17406歩。1時間あたり3.56km。

大高森観光ホテル

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 ホテルは1964年開業。前回の東京オリンピックの年だ。女将さんがお嫁に来たぐらいの頃からか。今は息子さんが料理を作っている。家庭的な味だ。魚介類がおいしい。前夜はとくに、舌鮃の塩焼きが絶品だった。ホテルといっても民宿的で、1泊2食付き9900円(税込み)。女将さんも若旦那も人柄がよく、サービスもとても家庭的だ。

https://www.ootakamori.com/

 みちのく潮風トレイルの人達で泊まるのは南下コースの人ばかりで、北上コースの人で泊まった人は初めてだ、と言っていた。寒風沢島から渡船が15時半頃に着くので、北上コースの人は、野蒜駅まで歩いてしまうのだろう。私は大高森の夕日を堪能したかったので、ここに泊まった。

 現在はとくに釣り客が多いとのこと。前夜も3人の客が釣果のイシモチを若旦那に焼いてもらっていた。1匹余るからと気前よくくださって私も馳走になった。このイシモチの塩焼きもとても美味しかった。

 奥松島の津波被害の様子をまとめた写真のファイルが置いてあったので、朝食後見せてもらった。このホテルは少し高い岩盤の上にあるために助かったという。震災時の写真では、ホテル下の桟橋には壊れた漁船などが打ち上げられていた。現在も桟橋付近の工事が続いている。

 震災時、本土と宮戸島を結ぶ松ヶ島橋が流失し、宮戸島は一時孤立した。女将さんによると、当時ニュースで、宮戸島全滅かというような報道があり、避難所にいた自分たちは、「イヤ生きてるよ」とその報道に怒ったという。

 写真を繰っていると、宮戸島では南端の月浜の被害がとくにひどかった。震災から2ヶ月後の5月の連休の折、支援物資を運ぶために月浜を訪れた私の友人も、壊滅的な惨状に、足が震えて、体全体がすくんで動けなかったと語っていたのを思い出した。

奥松島オルレ

 大高森の出発点に、最近設置されたばかりというみちのく潮風トレイルの案内版があった。ここでも陸奥海岸越野山路と中国語が併記してある。

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 あおみなを出発点と終点として、奥松島オルレの10kmのコースもある。潮風トレイルの入門編としてオススメだ。オルレは宮城県内には計4コースがある。他の3つは気仙沼・唐桑、大崎・鳴子温泉、登米(とめ)。

https://www.miyagiolle.jp/course/okumatsushima/

野蒜海岸

 8時40分いよいよスタート。2日続けて歩くのは今日がはじめてだ。午後からは雨の予報。すぐにポツポツと雨滴が落ちてきたが、11時半頃までは、降ったりやんだりのままだった。県道27号線を北上。ルート上ではまず松ヶ島漁港に寄るべきだったが、見逃してしまった。その代わり、松ヶ島橋手前の蕎麦畑を見ることができた。蕎麦の花がちょうど満開。

 工事用車両が多い。野蒜海岸の砂浜がひろがっている。震災前に何度か来たことを思い出した。現在はまだ海水浴場としてはオープンしておらず、南側は立入禁止だ。

 高さ7mの防潮堤が海を遮っている。震災前は長くダイナミックな砂浜だったが、残念でならない。被災後の景観の変化をまのあたりにするのは正直、心が重い。

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 海岸の県道をはさんだ向かい側には大きな運動場があったが、面影も残っていない。震災後は大規模なソーラーパークができたはずだが、夏草のせいか気づけなかった。

 途中から正式コースをややはずれるが、海岸に沿った防潮堤を歩いてみた。トレイルを始めてから、防潮堤の上を歩くのは初めてだ。

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 ルートに従って、内陸に入り、野蒜駅をめざす。出発して85分頃、東名運河を渡った。旧野蒜駅跡には、東松島市震災復興伝承館が建っている。

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新野蒜駅

 新野蒜駅は、直線距離で500m北の高台に移設されている。このトレイルコースでは新地駅・坂元駅と内陸に移設した駅を通ってきた。これで3番目だ。

 駅の西側から、旧野蒜駅のホームや伝承館、野蒜の沖合を見下ろすことができる。

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 新野蒜駅と一つ東寄りで、やはり内陸に移設された東名駅付近は、丘陵が造成され、野蒜ヶ丘と呼ばれる住宅団地になっている。丘陵を降りて、鳴瀬大橋方向をめざす。

 新野蒜駅と鳴瀬大橋のほぼ中間ぐらいに、「アグリードなるせ」の、のびる村直売所がある。アグリードなるせは、震災前からあった有限会社の農業法人だが、震災後は、自家栽培・自家製粉の小麦にこだわったバームクーヘンづくりなどに力を入れている。直売所で、一口サイズにカットされた袋入り(500円)を買って食べた。ホッコリした気分になった。荷物になるから今日は買えないが、東松島地ビールも製造販売している。

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 11時40分頃から雨足がひどくなってきた。野蒜駅に戻るのもシャクなので、東隣の陸前小野駅まで何とか歩くことにする。

稔田へ

 鳴瀬川にかかる鳴瀬大橋を渡る。阿武隈川・名取川・七北田川・砂押川と渡ってきて、今度は鳴瀬川だ。橋を渡って、トレイルの標識にしたがって、田んぼの中を南下する。このトレイルをスタートした6月17日は青田だったが、既に稲穂が垂れた稔田だ。季節の推移を体感できるのも、このトレイルのいいところだ。

 仙石線の手前で、ルートを離れ、陸前小野駅へ。小野駅に駆け込むと雨足は一層激しくなった。何とか、ずぶ濡れ寸前で駅舎に飛び込むことができた。小野駅発12時49分の仙石線で仙台に戻った。


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