声の響きに注目してみよう

コンサートやライブに行って、歌っている人の声が大きくてびっくりした!という感想を耳にすることがよくありますが、この音の大きさは機械を通して耳に入る音ではなく、声量、地声としての音の大きさのことを言っていることが多いと思われます。

この時、地声が大きいと気付くのは、歌い手が身体全体を使って歌っていることを目の当たりにするからであって、耳だけではなく、視覚やその場の空気などからも音楽を感じていることに他なりません。(会場で演奏を聴く醍醐味だとも思います)

そして、せっかく声の大きさに注目できているなら、次は更にもう一歩踏み込んで、その歌い手の声の響きも感じられると楽しいです。
声が大きいと言うとジャイアンのような歌も入ってしまうわけで、でも一流の歌い手とジャイアンの違いは、どんなに大きな会場でも遠くの席まで響く声かどうかということです。それはボールを投げるような柔らかい軌跡の時もあれば、針に糸を通すように一本の細い音の道をスパーンと通すような鋭い軌跡のこともありますが、本当に歌の上手い方は、ステージの上でこれらの響きを使い分けています。

要するに、声量の豊かさは、歌に感動を与える1つの要素ではあるけれど、それだけではなく、響きを伴っているから心地良い歌に感じられるという視点を更に加えられれば、その技術や実際に発せられている歌声にもっと感動することができるのではないかという話です。
クラシックの声楽家とは異なる発声ながら(原理を同じくする点は多くあるとは思いますが)、その人の身体を中心としてしっかり声が広がっていること、またそれをベースに曲や場面によって様々に歌い方を変化させて色々な声を出していること。それらに注目してみると、もう、情報量が多すぎて自然と笑みがこぼれてしまうくらい楽しくなってしまいます。
自分の話をすると、最近の自分が足を運ぶのは、ファンである浅岡雄也さんのライブであることがほとんどですが、好きな曲が歌われて単にテンションが上がるだけでなく、素人風情では到達することのできない極めて高いレベルの歌唱力に、もう参りましたと笑うしかないことがたくさんあります。

ちなみに、これはヴォーカルだけでなく、他の楽器にも言えることで、分かりやすいのはドラムでしょうか。なんとなくこの人のドラムが好きだなと思うことがありますが、そういう人はリズム感に加え、楽器を叩くインパクトに緩急をつけて音の飛ばし方を逐一変えていることが多いと思います。決して押し込むような潰れた音は出していないと思います。同様に、ギターもベースもけん盤も同じような視点で注目してみると、プレーヤー毎の違いが見えてきて面白いと思います。

思うがままに書いているのでイメージ通り言葉を伝えられていない部分もありそうですが、とにかく、声が大きいという感想を持つ時に、これからは声の響きの素晴らしさはどうだ?という視点を持つことで、ぐっと音楽の楽しみ方が変わりそうですよという話でした。

では、また明日!

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