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住むことについて

突然だが、住む場所について考えてみたい。

最近、大都市ではなく、ローカルで暮らすことを選択する人が増えている。

地方への移住をテーマにした番組や雑誌は多いし、新卒で地元企業を選ぶことが、選択肢として当たり前になってきた。

一方で、住む場所を固定せず、会社の都合で転勤を繰り返す生き方もある。この場合は、ほぼ自分で住む土地を選択することはできない。

ただ、決まって、転勤熟練者は、「色んな場所に住むことで、自分を成長させてくれた」と口を揃えて仰るのである。

住む場所は、もちろん自分で決めることができる。でも、働く組織の都合上、時には選べないケースも出てくる。

一つの土地に住み続けるのも良いが、外の世界を知りたくなるのは、人間の性ではないか。知らない土地に住めば、自分を変えてくれる何かがあるかもしれない。

住む場所を考えるだけで、たらればの葛藤が出てくる。なぜなら、環境は思ったより、人に影響を与えるからだ。逆もしかりだが。

知らない土地に行けば、自分と異なる価値観・文化を持った人たちとの出会いがあるだろう。ディープな飲み屋の常連客になるかもしれない。色んな予期せぬ人やお店、文化、ハプニングとの出会いがあるはずだ。

それらの出会いを通して、自己をぐらぐらと揺れ動かすような、形を変えてくれるような影響が及ばされていく。それを人によっては「成長」 と呼ぶのかもしれない。

少し僕のお話を挟みたい。
僕は実家がある滋賀県から出るのに、時間がかかったほうである。何を言い出すのやら。

中高大とずっと滋賀県。大学生まで滋賀を出たことがあるのは、フィリピンに1ヶ月。韓国に3ヶ月。岩手に1ヶ月。
休学して韓国や岩手にいったが、地元で何かするのが良いなとおもった。いわゆるローカルシックになった。

そして、社会人になる。1年目は、京都で寮生活。これは9ヶ月間。人生で一番滋賀を出た時間が長かった。ただ、このときに家族のゴタゴタがあり、今振り返れば、大きな悩みではなかったが、滋賀に毎週帰るという状況が続いた。
今働いてる会社は、全国転勤。来年から関西に住めるとは限らない中で、家族から離れるのが、怖くなった。この状況で新しい土地に移動することが考えられなくなった。いわゆる、ホームシックである?
ということで、できるだけ転勤を避けてほしい旨を伝え、社会人2年目は、滋賀の実家で暮らすことになった。
今でも後悔することがある。もしあのとき、どこか違う土地に住んでいたら。知らない土地で生きる力をつけてたのかなと。

それはさておき、2年目の滋賀の暮らしも悪くはなかった。わけあって、祖父の家で在宅をすることが多かった。お昼は一緒に食べて、終わったら晩飯を食べてる祖父と他愛もない話をした。人生で最も祖父の暮らしをみた時間だった。滋賀にいたから、出会えた人たち、経験があった。ここに全て書かないが、もし滋賀ではない場所に住んでも、それに匹敵するくらいの学びがあった。

そして、3年目から、あるときぷつんと吹っ切れて、どこでも住みたいとなった。滋賀と実家を見捨てたわけではない。とりあえず出ようと思った。そして今は京都でシェアハウスをしている。住む環境を変えると、また生活や自分にも変化が生まれる。読む本も、思考することも、行く店も、休日の過ごし方も、見る番組も変わった。環境は人に影響を与えること間違いなしだ。

ここまで僕の3年間にわたるビッグストーリーを遡ってみたが、なんやかんやで、実家もしくは地元から出るのに、少々時間がかかったのである。

話をどこから戻そう。最初にいろんな土地に住むこと、知らない土地に住むことのメリットらしいものを挙げてみた。

でも、今自分の振り返りをすると、一つの土地に住むこと、見慣れた土地に住んでも、さほど変わらないと思えてくる。

実家をでなくても、地元をでなくても、スタンスは同じだ。

「その土地と能動的に関わることが、その土地で生きることに繋がる」

外に出たくても、何かの影響で出れないことがあれば、一つの場所に居座り続けたくても、外に出ろと言われることがある。

どこの土地に住むかは、最初は偶然性があると思う。たまたまそこにいる。親が住んでたから、その土地にいる。偶然、訪れた場所に惹かれて、住み続ける。
選んでるように思えて、選ばされてる感覚に近い。
でも、どこかの土地に住み始めたら、あとは同じであると思う。

自らその土地を知ること、人に出会うこと。そうすれば、自分の存在意義を確かめながら、日々の代謝が進んでいく気がしている

ほら、東京に住んで、淋しくなるのは、土地との繋がりが薄すぎるのだと思う。その逆をすれば、日常はもっと楽しくなるという仮説だ。

今はどこでも住んでも良いモード。
でも、いつかは滋賀に帰りたい。
だから、ちょっくら修行させてください。

















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