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歯の神経の治療について(抜髄)

今回は歯の神経の治療について自分の考えをお伝えします。
治療で悩まれている方の参考になれば幸いです。

歯の神経を取らなくてはいけないような状況になっている場合はかなり大きな虫歯が出来てしまい、強い痛みが出ている状況で仕方なく処置を行う。ようなケースが多いかと思いますが、そもそも歯の急な痛みが出て、歯科医院にすぐに来院し、神経の処置をする。これが出来ない場合が多いのではないかと思います。歯科医院は予約制の所がほとんどで、繁盛している医院ですと、予約表がパズルのようになっています笑
Drに自由な時間がないくらいぎゅうぎゅうにアポイントが詰め込まれている事も多く、その中で急患にて来院された方の抜髄処置をしっかり行うのは厳しい事が考えられます。

ある程度ユニット台数が多く、アポイントに多少のゆとりがあれば対応可能だったり、ぎゅうぎゅうでも、患者さんの合間を見て処置を行なってくださる先生もいますから、まずは相談が必要ですが、抜髄の処置も丁寧に行うと麻酔をしてからの時間もある程度必要な治療内容ですので出来ればしっかりと予約の時間を長めに取り、丁寧な処置を行いたい所です。

そもそものアポイントを適切にバランス良く取れている医院であったり、複数の先生が常にいるような所であれば急な患者さんも診れる余力はあるでしょうが、患者さんが来すぎていると院内もピリピリして来ますから予定外の対応が難しくなってきます。その辺りは医院の経営の仕方でかなり変わってくる所です。

歯科医院が過剰に多い。とは言いますが、実際に丁寧に処置を行おうとすると一人ひとりに時間がかかりますから、多すぎるくらいでちょうど良いのかな〜とかも考えたりします。歯科医師も人間ですから、患者さんが来すぎてしまうと過労で倒れてしまいかねません笑

抜髄の処置について

歯の神経は前歯部、小臼歯部、大臼歯部によって形が違っており、ある程度の予想はつくのですが、歯の形や大きさも人それぞれ若干違いがあるように、歯の神経の太さや本数も若干の違いがあります。
歯の上側から神経部に穴を開けて神経を除去するのですが…そもそも細かい所を直接目で見る事が出来ません。
そうすると歯科医師の経験が重要になってくる処置となります。
歯の基本的な構造やよくある神経の形を記憶しておき、レントゲン画像を参考に予測を立てて神経の処置を行なっていきます。

前歯部の場合、神経の形が一本の場合が多く、ミラーで見れば確認しやすい所に神経の穴があるのでこちらとしても処置を行いやすいです。
小臼歯になると、1~2根くらいになるので、見やすいケースと、根が曲がっていて、神経部も曲がっていて難しいケースも入ってきます。
大臼歯部になると、3~4根くらいになる上、神経の分岐が増えて処置の難易度が格段に上がりますし、そもそも器具を届かせるのも大変な事が多いです。治療が難しくなる以上、治療をした後の経過であったり、再度根の治療を行う場合もより難易度が上がってくる為歯の寿命が短くなってしまうような場合が出てしまうのも仕方ありません。
なるべく見えるような処置にした方が歯科医師側も丁寧に治療が行える。という事がお分かり頂けたかと思います。

ラバーダムについて

歯の神経を取るという治療を行う際はなるべく余計な感染源は避けたい所です。不潔になりやすい部分を事前に避けておいたり、根管の中に唾液や歯肉からのプラークや血液が入らないように処置を行わなければなりません。
その際にラバーダム防湿と言って、処置をする歯の周りに伸びるゴムのシートで覆うようにするとその歯の部分だけがゴムの上に見えるようになり処置に集中する事が出来るようになります。
ただ、ラバーダムをかけると、歯の周りに固定するための金具をつけなくてはならず、手技に技術が必要なのと、歯の歯肉の上の部分がある程度しっかりとしていないとつけられません。その場合は事前に壁を作る作業が必要です。また、患者さんが口を閉じられなくなリますので、長時間の治療となると患者さんの顎が痛くなったりする場合もあります。

というように欠点もあるわけですが、よりわかりやすい状況に持っていけるので、処置時間に余裕がある場合はなるべくラバーダム防湿を行えた方が良いでしょう。

マイクロスコープについて

こちらに関しては神経処置全ての工程を常にマイクロスコープを覗きながら行える先生はかなりの達人だと思っています。そもそも、根管の中に器具を入れようとすると見ている画像に手が入り込んでしまったり、今どの辺りに器具があるのかを正確に判断出来るようになるにはかなり技術が必要です。
私自身も要所要所で覗く、覗かないを使い分けているのが現状です。
基本は根管の中を直接マイクロスコープでは覗けないので、ミラーで反射させた部分を拡大してみていますから、処置の事だけを考えると、マイクロスコープでなくても拡大鏡でも十分に確認は出来ると思いますので必ず必要ではないと考えています。

マイクロスコープの便利な所

なんといってもユニットの側に固定して置いてある訳ですから使いたい時に気軽に出す事が出来ます。しかも患者さんの顔の上の位置に固定しておけるので、使えるスペースが広くなった感覚すらあります。

常に覗く必要がなくても使用出来るのがある意味便利。

光も当てられるのでライトの代わりにも使用出来ますし、見ている画像が前のモニターに写っていますので、アシストについているスタッフも画像も見る事が出来るので情報の共有がしやすくなります。
これがかなり便利で、マイクロの画像が写っていないと、助手の方には先生が今何をしているのかがよくわかりません。どんな状況なのかが分かりにくいのでアシストの対応にも差が出てくると私は考えています。
ボタン一つで見ている画像の写真を撮影したり、動画を撮る事も可能です。
処置が終わった後ですぐにあの時のあれは〜と説明しても通じるってとても大切なんですよね。

アシストの方も人間ですからずっと立っているだけでは面白くありません。
やはり見ていて理解出来るようになると自然とモチベーションも上がって来やすいかなとも思います。

マイクロスコープの画像
実際のマイクロスコープの画像。低倍率

実際のマイクロスクープで覗いてみると、新札の10000円ではこんな感じに見えます。低倍率だと全体像が見えやすいので位置の把握をする時に便利。

新10000円札、拡大
高倍率にするとここまで見える…‼️

同じ画角から高倍率に変えるとここまで拡大してみる事が出来ます。流石にここまで細かい部分は肉眼だけの処置では見れません。
よくよく画像をみると何やら文字が見えますね…👀

実際の処置も細かく確認出来てしまうと、気になってしまいますよね。出来てない部分が見えてしまったら、丁寧にやりたくてなってしまう。
歯の治療って非常に細かいんです。

最後に

歯の神経の処置を行う際は今後の歯の寿命が変わってしまう場合も多いので、歯科医師も適切な判断をして処置を行わなければなりません。
虫歯がギリギリの場合は覆髄処置をして神経が残せそうかチャレンジしてみる事も出来るかもしれません。
患者さん側が出来る事とすると、歯科医師が適切に判断を下せるように、状況説明を丁寧に行えると良いでしょう。
・いつから痛いのか
・どのような時に痛みが出るのか
・自分の感覚でどの程度痛いのか
・薬は飲んでいるのか
・自分はこうじゃないかと思っている

など。まずは先生と相談をして処置を行えると良いですね。

それではまた次回。


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