見出し画像

経験や手の内をさらす理由

 本稿は毎月第一水曜と第三水曜に更新しようと考えているわけですが、今年の11月の第一水曜は11月1日なんですね。あわただしいですね(笑)。
 気が早いですが、2024年1月の第一水曜である1月3日はお休みをいただいて、2024年1月からは毎月第二・第四水曜日の更新としたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、順番でいくと今回は「ひとりの会社でどうやってボードゲームを作っていくのか」について語るはずだったのですが、そのテキストを書いていて、そういえばこのハーベストバレーのnoteだけ読んでいる方には、「この刈谷というやつは、なぜ無料で自分の経験や手の内をさらしているのか」「何か狙いがあるのか、自己顕示欲が強いアホなのか」とか思われることもあるかもなと考えまして。
 今回はそのへんのわたしの考え方を説明しておくことにしました。

 ご存じの方もおられるかもしれませんが、わたしは前職在職中に「刈谷メソッド」というnoteを書き連ねたことがありまして。ボードゲーム編集者という視点で、いろいろな技術を公開させていただきました。
 そういうことをした直接の理由は、後輩で友人だった作家の力造くんが、41歳という若さで亡くなられたからです。またその3か月後に、大変お世話になったゲームデザイナーの鈴木銀一郎さんも亡くなられまして。当然ながら、人の命には限りがあるんだなということを強く意識し。

 50歳を迎えて、自分もいつ死ぬか分からないなと。
 であれば、自分の知識や経験が、日本のボードゲーム業界の発展に少しでも寄与すればいいなと思って書かせていただいたと、そういうことになります。
 まあ、あれを書いたおかげで前職の経営陣からはそれなりに迫害を受けましたけどね(笑)。
 ただ、あそこに書いたことは本当の基礎で、会社のスタッフにはあの内容をベースに応用や実践的な技術を教えてるんだから、会社に対する裏切りにはならんだろというのがわたしの主張なんですけどね。まあ、納得できない人がいても別にそれでいいと思いますが。

 これも主義主張に関することなので、別段みなさんからの理解を得ようとかは思っていないのですが、個人的には自分の知識や経験は、自分自身でため込んで、誰にも教えず過ごすより、周囲にバンバン伝えていけばいいという考え方です。

 それで自分に何のメリットがあるの? という話ですが、まず他人に伝えようとする段階で、一度自分の中で思考の整理のプロセスが入ります。文字にすると、「ああ、自分が日ごろ気になっていたのはそういうことだったのか」という気付きが得られます。
 伝える対象が多ければ多いほど、発表する内容には慎重になります。ひとりよがりな内容だと、非難されやすいはずですので。
 また、自分の考えを正確に伝えようと努めることは、文章技術の向上にもつながるはずです。

 次にそれを他の方々に公開することで、さまざまなリアクションをいただくことができます。それによって、自分の考え方が補強されたり、修正されたりします。それは非常に貴重で、ありがたいことです。

 そして最後に、そういうわたしのテキストを読むことで、ボードゲーム編集のスキルを身に付ける方が出てきてくだされば、日本のボードゲーム業界全体の底上げができて、お客さんがより良いボードゲームを遊べる可能性が高まるかもしれません。
 もし本当にそんな循環が起こったとしたら、わたしが地球に存在したことにも意味があったというものです(笑)。

 さて、それを経てのこのハーベストバレーのnoteですが、根本の思想はほとんど同じです。
 今回はそれにプラスして、「ハーベストバレーの存在を知ってもらいたい」「ハーベストバレーの商品のPRがしたい」という思いがあるので、より俗っぽいですね(笑)。

 また「刈谷メソッド」では、ボードゲーム編集者としての技術や心構えを紹介しましたが、ここではボードゲームメーカーとして生きていく方法などを紹介していけたらと思っています。
 まあ、ハーベストバレーが生き残っていけるかは、まったく不透明なんですけどね(笑)。でもまあ、生き残れなかったら生き残れなかったで、その分析もnoteに公開させていただきます。

 いずれにせよ、後に続いてくださる方のお役に立てればという思いです。
 だってわたし自身、先達の皆様が切り開いてくださった道を進んでいるわけですからね。
 自分がそうして楽をさせていただいておいて、後進の方々に自分の知識や技術を伝えないというのは、片手落ちと言いますか、怠慢ですよね。

 それで自分が技術を伝えた若手に抜かれるとみっともない? そんなことはないでしょ(笑)。抜かれたら抜き返せばいいんですよ。抜き返せないくらい差をつけられたら? そんな素晴らしいタイトルを多くの方が遊べることを喜べばいいんですよ。そして自分が担当させていただくタイトルも、どうにかそうした輪に入れないかともがけばいいんですよ。
 それでいいじゃないですか。

 今回はやや短くなりましたが、この内容でこれ以上語ることもない気がしますので、ここで終わりたいと思います。
 次回は「ひとりの会社でどうやってボードゲームを作っていくのか」というテーマで書かせていただこうと思っております。
「刈谷メソッド」と重なる部分も多くなりそうですが、ご容赦ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?