【読書録】最低で最高の本屋(著・松浦弥太郎)

コロナウイルスの感染拡大防止のため、昨今色々な対策が取られている。首相にしろ都知事にしろ、批判もあるが大変な苦労であろう。

また、対策のために私たちのこれまでの日常が多かれ少なかれ犠牲になるのも、仕方のないことだと思う。

しかし、そうして犠牲になった友達との時間とか、楽しみにしていた旅行の計画とかを思っては残念な気持ちになるのも、これまた仕方のないこと。前向きに行きましょうよとか言われても、こっちは好きで残念がっているのだから、そっとしておいてほしい。

居酒屋での飲み会や旅行以上に残念なのは、大学にいけないことである。留学生の多い早稲田大学では早くから様々な対策が取られ、状況の変化とともに大学側の対応も順次変わってきたが、ついに春学期の授業はすべてオンライン授業での実施になってしまった。日本に帰ってこられない留学生も多いことを考慮してのことである。

オンラインでも教育が受けられるだけいいか、というのが当初の感想だったが、人間は欲深い。そして特に欲深い私は、本来の対面授業でなら得られたはずの、一見雑談とも思える教授の小話や、友達とのやりとりが失われてしまったように感じてとても悲しい。

そんなこんなでついにキャンパスが閉鎖されてしまった早稲田大学だが、滑り込むように図書館から借りてきた本が、この「最低で最高の本屋」である。

松浦弥太郎さんの本は家にも何冊かあるし、本屋さんでも良く手に取るが、これは初めて見た。

松浦さんのキャリアについて本に絡めて綴られた本だけれど、印象に残ったのはこの一節。

「アラ探しか、魅力探しか」

企画を見せると、みんなどこがダメなのか(=アラ探し)を考えて、そこさえ直せば良い企画でしょう、という考えかたをするけれど、誰も「ここがいいから(=魅力探し)もっと伸ばしていきましょう、どうやったらもっとよくなるか」という風には考えない。


特に制限や我慢の多いここ数ヶ月、実際に犠牲になったものが多いから悲観するのは致し方ないと思う。しかしそれと同じくらい魅力探しをして、この数ヶ月をのり超えたいものである。


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