『生活の歌、佐佐木定綱さん』

切り落とし三百二円 もやし二十七円 なかなか安いおれ/佐佐木定綱

歌集『月を食う』佐佐木定綱著 角川書店収録作品

佐佐木定綱さんは1986年生まれ。私と同世代の歌人である。就職や仕事に苦労した世代でもある。本屋さんで働きながら作歌を続ける定綱さん。
仕事帰りにスーパーで切り落としの豚ともやしを買って帰ったのだろう。生姜焼きか野菜炒めを作ったのかもしれないし、もやしたっぷりのサッポロ一番を作ったのかもしれない。若い夫婦の幸せな食卓がうかんできました。忙しい時は一人でサッと作って食べる時もあるだろう。暮らしが滲むリアリティのある歌だ。 (2022・4.10 楠井花乃)

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