「カネ恋」から考える、作品の在り方

ちょっと前にインスタで「読書アカウント」なるものを作って感想をつらつら書いてたんだけど、いちいち写真撮るのがめんどくさくて更新は止まったまま。しかも最近本読んでないからネタないし。でも文章は書きたい・・・何か自分の思う所を爆発させたい・・・でもTwitterは140までしか書けないし・・・などなどいろいろ思案していたところ、知り合った新聞記者さんから「noteやってみれば?」とおすすめされました。というわけで、早速文章書きたい欲をここで発散させたいと思います。

ちなみに私は文章書くのは好きですが、決して上手ではないです。見てもわかりにくい部分ばかりなので、あまり深く読まないことをおすすめします。まあ、言って見ればこのnoteは私の心のごみ箱みたいなもんです。


というわけで本題へ。

ここからはフォーマルな感じで書いていきます。


三浦春馬さん&松岡茉優さん主演の火曜ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」、通称「カネ恋」は、今何かと話題に上りがちなドラマだ。なぜかというと、やはりお察しのとおり三浦春馬さんの訃報の件があるからであろう。

彼が亡くなったというニュースを見た際はもちろん驚いたし、別に生前それほど好きだったわけでもないのになぜかショックだった。私が彼の出演したドラマで見たことがあるのは「14才の母」「僕のいた時間」の二つだけだが、実に繊細で素晴らしい演技だったことを覚えている。まず初めに、三浦さんに対し心よりご冥福をお祈り申し上げます。


恐らくこの「カネ恋」というドラマは、三浦さんの訃報から「彼の最後の演技を見たい」という思いで見ていらっしゃる方も多いのではないだろうか。実をいうと、私も半分その認識で見始めた(もう半分は、松岡茉優さんが好きだからという理由である)。しかも私の場合は大変失礼なことに、もうこの先絶対に見られないから見ておかないと損だな、という漠然とした気持ちでしかなかったのである。だから、観る前は「作品」そのものにはそれほど興味がなかった。


しかし実際に蓋を開けてみると、私はあまりの完成度の高さに度肝を抜かれた。これほど純粋な面白さを持つドラマはそうないと思う。かつて演劇部に所属し、様々なお芝居を見ては作品や表現について考えあぐねる高校生活を送り、最終的には文学部に落ち着くという経歴を持つ私だが、今まで見てきたどんないわゆる「作品」の中でも最高レベルの魅力を感じたと言っても過言ではない。

ここからは「カネ恋はすごい」ということを、自分の経験や論をもとにただつらつらと綴っていきたい。


まずこのドラマの好きな点として一つ目に挙げるのは、「役者が役者の仕事をしている」ということがしっかり伝わってくるという点である。

中でも特に松岡茉優さんの演技には、役者としての品がある。役に徹し入り込む一方で、そこに無理している感がない。また必要以上に「女優・松岡茉優」みたいな雰囲気を出したりせず、あくまでも松岡茉優としては「九鬼玲子をやっています」というふわっとした存在感のみを出している。しかし、作品の内容そのものを見つめると、ちゃんと彼女は「九鬼玲子」である。松岡さんのその絶妙な、境界線を持たない「役者と役」のはざまが、本当に上手だなと私は心底感心している。(なんでこんなに偉そうなんだ)

松岡さんの演技は作品ファーストという感じがする。私はドラマ内での彼女のこういった在りようこそが、作品そのものを大事にする姿勢であると思う。役者の存在を全面的に押し出したものよりも、作品にそって演じる俳優さんが出ているものが好きだ。だから、松岡さんの演技は本当にどストライク級に私の好みなのである。


二つ目は内容について。

内容はタイトルにもあるようにやはり登場人物の「おカネ」への認識を基に話がまわっている。その回しがとても自然で面白い。クスリと笑えるところをところどころに散りばめ、かつ視聴者へのサービスとして役者の言動表情にキュンとさせる瞬間も忘れない(三浦春馬さんの笑顔、最高に可愛かった)。しかし、大幅にそれが本編の核心をゆがめることもなく、スムーズに話は進んでいく。そのテンポや緩急のつけ方がなんとも言えず心地よいのである。また完全に設定などを作りこんでいくのではなく、現実的には無理がありそうな夢みたいな設定ももちろん多々ある(玲子のお母さんとか、いきなり同居とか)。あれ?これじゃあまるでただの夢物語みたいで面白くないじゃんとなりそうだが、実はこういった緩い設定を入れることで、受け取る側にファンタジーを見るときのような心の余裕が生まれ、気楽に楽しんで見れるようになっているのである。しかし一方で、やはり視聴者の心をつかむには「現実」への姿勢も忘れないことである。その点、「カネ恋」はお金を楽しみ、お金を悩む人々という見ている個人個人に最も身近なテーマであるため、現実にリンクしやすい。また三浦さん演じる「浪費家」と松岡さん演じる「清貧な人」、その他にもさまざまなお金認識を持つ人々がたくさん出てくるため、どんな人であってもきっと誰かしらの人物に共感することができるのではないだろうか。


このドラマを例えた新造語を作るとすれば、「夢的現実」である。

見る人が見れば、このドラマはありきたりで、斬新さがなくてつまらないと思うかもしれない。でも、あくまでも私自身は現実をベースにプラス夢、が大好物なのである。私にとってはこれは理想形に限りなく近い「作品」なのである。もっと言いたいことはたくさんあるが、とりあえずこのような形でまとめておきたい。


こんな素晴らしいドラマなので、ぜひいろいろな方に見ていただきたいと思うのだが、しかし、カネ恋に関する検索をすると、そのつぶやきは三浦春馬さんの訃報に関する話題であふれている。

しかし、三浦さんの死だけがこのドラマの注目ポイントではない。それは確かに断言できる。もちろん彼の死は衝撃的だけれども、その死のみにばかり着目して作品そのものを見ないのは非常にもったいないと私は思う。だから、敢えて私は「死から離れて、作品そのものを見る」ことを提案する。



はい、ラフに戻りました。

来週のカネ恋が待ち遠しいです。今日みたいに気が向いたらまたnote書くかもしれない。その可能性、1%だけど。

以上、カネ恋に関する記事はこれで終わりです。読んでくださってありがとうございます。







ここからはあくまでも私のお芝居に対する考えなので、嫌な方は飛ばしてください。

(以下の文章はかなり辛辣ですが、特定の誰かを傷つける意図は全くもってないということだけご理解いただければと思います。もしかしたら気分を悪くされるかもしれません。先に謝っておきます。ごめんなさい)


私は、表現に関する思考を重ねた末に出した結論として、「ドラマを『ドラマ』だと感じさせない、自然かつリアルなお芝居こそが至高だ」という自論(というよりかは嗜好)を持っている。もう少し詳しく言うと、限りなく現実とリンクしていて、我々が生きる世界と近くて、しかしそのうえで「夢」的要素をまるでスポイトで垂らすかのように少しずつにじませていくという絶妙なラインをしっかり攻めている作品が好きだということ。

もし演劇部時代の仲間がこのことを聞いたら「え、それ当たり前じゃない?」と思うかもしれないが、案外これは実践するのが難しい。もちろん私などはそんなこと達成できた例がない。そして、そのようなお芝居に未だかつて出会ったこともない。なぜかというと、あまりにも理想論に過ぎないからである。そんなお芝居を完璧に作ることができるのは、漫画「ガラスの仮面」の世界の中だけ。

やはりお芝居には「演出」がつきものである。高校時代に演技の勉強にと熱心に見ていたドラマや劇も、やはり現実空間から乖離した「特別な世界」が形成されているものばかりである。もちろんそれが悪いとは全く思わない。「演出」あってこそのお芝居だろう、というのももちろんそのとおりである。しかし、今まで見てきた中にはあまりにも過剰すぎる演出もあったし、視聴者あるいは観客ウケを狙いすぎて本筋から外れているなと感じるものも多くあった。あとはメッセージ性があまりにも強調されすぎて先走っていて、本来の芝居を見る上での楽しさだったり束の間の休息といった要素が全くもって排除されていて個人的に見るのがしんどいと思うものもあった。(私自身はしんどかろうが作品を見つめろ、という考えは好きではない。そもそもなぜ心理的に負担をかけてわざわざ作品を見なきゃいけないのかとすら思う)

中でも私が最も忌避するのは、「私、役者です演技頑張ってます」という自惚れ演技の見せつけである。簡単に言えば「演じてる自分に酔ってる」ってやつ。ちなみにこれは自分自身が高校演劇をやっていて、一番できなかったことである。この欠点がどうしても直せなくて、役者やることに疑問を覚えて、演出とか色々やってみたけど上手くいかなくて挫折した過去があります・・・って、私のことはどうでもいい。

アマチュアでやる分には全然許容範囲だが、意外にもこれは映画やドラマでもしばしば(特に主演の人に)見られがちな現象である。しかし仮にもプロという肩書のある俳優にやられるとどうにもしっくりこなくて、好きになれない。


その点、松岡さんの演技ってとってもナチュラルで本当にすごい。また制作チームの細やかな演出は、作品を実際に観て評価する視聴者の存在を第一に考えてくれているんだな~とちゃんと感じさせてくれる。その姿勢にとても心惹かれるんだよね。

カネ恋大好きだわ。松岡茉優さんは上述したとおり言葉じゃ言い表せないくらい大好き。三浦春馬さんは笑顔が可愛いし、役への求道心(?)が垣間見られるちょっとした仕草や動きがいいよね。来週が楽しみだな。あと3回しかないの本当に惜しいというか、寂しい。どんな結末なんだろう。とっても気になる。





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