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どこよりも詳しい『失敗しないキッチンカー開業』part1  ~飲食開業の現状~

こんなタイトルの記事を読みに来るとは、、、さてはあなたキッチンカーに興味がありますね!!


最近、世間でキッチンカーがバズってます。
駅前やショッピングモールで見かけない日は無いですし、道を走っていてもカラフルなキッチンカーによくすれ違います。

あなたはきっとこんな風に考えているんじゃないですか?
「キッチンカーは自由でお洒落で、なんだか人生まで明るくなりそう!」
「みんなでキッチンカー囲んでおしゃべりなんて絶対楽しいっしょ!」

私もこんな風に思ってます。
「いい天気の日にごはんを買って外で食べるのサイコ~」

でも「なんか自由に働いていて楽しそう!」って言われるのには「あれっ?」って感じてます。

キッチンカーも”仕事”だよ。

仕事なんだからシンドイ事も多いよって。

そして「私もやってみようかな~」って人には「おいおいおい、、、」です。そんな気持ちじゃ無理むりカタツムリ。

意外ですか?
こんなタイトルの記事だからキッチンカーを勧められると思ってましたか?
「さぁみんなで楽しくキッチンカー!!」なんて言われると思いましたか?

でも「キッチンカーの開業を考えてる」なんて相談されたら、私の答えは「おいおいおい、、、」なのは間違いないです。なぜ私がそう思うのか??答えはこの記事を読み終えた時にわかります。



ご注意

・・・と、ここまで柔らかい口調で書きましたが実はこの記事はガチガチな真面目系ビジネスnoteです。解説や分析の話が多く、表現も固くなっているかもしれません。
ただし内容が初心者向けなのは間違いないです。キッチンカーをゼロから始める方に読んでいただき、納得いただけるよう心掛けました。

あとこの記事はメチャクチャ長いです。
初心者向けにひとつひとつの話を詳しく書いています。大事なことを誤解して欲しくないので同じ内容のことを繰り返し説明している部分があります。わかりずらい業界用語や背景は詳細に説明しています。
そうしたら自然と文章が長くなってしまいました。


だから安心してください。
『どこよりも詳しい』というのは決して誇張ではありません。
そしてキッチンカー開業について、どこよりも長い文章だと思います。
たぶん。

本文は3つの記事に分かれています。
その分量はpart1 (今読んでいる分です)が2.8万字、part2 が5.6万字、part3 が13万字です。って言われてもピンとこないですよね。
参考までに一般的な文庫本の文字数が10万字(原稿用紙250枚)程度と言われています。本記事を全部読むにはきっと2~3時間かかるでしょう。

特にpart3 は具体的に「いつ何をどのようにするべきか」について書かれている実践的なパートです。記事のいくつかの部分は、あなたがキッチンカーを開業してからも何度か見返すことになるでしょう。
読んだ時点ではピンとこないことでもその場に直面したら役立つ知識ってありますよね。あなたにとってこの記事がそうです。キッチンカー開業の教科書だと思ってもらって構いません。


ここで初心者の方には特に注意点があります。

飲食業界未経験の方は必ず最初から最後まで読んでください。
(ここでいう未経験とは飲食はアルバイトだけの方も含みます)

本記事は”全て”今のあなたに必要なものです。部分的につまみ食いして何となくわかった気になって欲しくありません。あなたは初心者なんですから教科書はひと通り目を通すべきです。物事の全体像を把握することは何事においても肝要です。

飲食経験のある方は全て読む必要はないと思います。
大まかな内容で段落に分けていますので、目次を参考に興味のある部分だけ読んでください。part1 part2 はおそらくあなたが既に通ってきている道ですが、再確認のために時間があれば読んでみてもいいかもしれません。
(その部分は無料記事になっています)



この記事の立ち位置

あなたの味方

さて、自己紹介は後にして最初に私の立場をお伝えします。

私はあなたの味方です。

って言われても、、、って感じですよね。味方って何??

そう思うのは当然です。言葉は人によって捉え方や印象が異なることも多いです。だからこの記事は漠然とした言葉で誤解を生まないため、言葉の《定義》を明確にして進めていきます。そのために表現がくどくなっていたらすみません。

では《味方》の意味を定義します。
この記事でいう味方とは
「あなたが私の大切な人であっても記事と同じアドバイスをして同じように必要なお手伝いをする」ということです。

ご理解いただけたでしょうか?



では改めまして、私はあなたの味方です。その上で言います。

私はあなたに飲食業をお勧めしません。


冒頭でこんな言い方されたらショックかもしれません。
でもこれは偽らざる私の本心です。

だから記事では何度も
「止めた方がいいんじゃないか」
「向いてないんじゃないか」
「もっとよく考えた方がいい」 と書きます。

と、ここで誤解して欲しくないことがあります。
私があなたの開業を引き留めるのはネガティブだからではなく、あなたのことを心配しているからです。味方だから。

事実として、あなたが飲食開業を止めたところで私には1円も入ってきません。一切の得がありません。これはわかりますよね。
(その人がどんな背景で発言しているかを考えることは大事です)

私はあくまでフラットな目線で「飲食開業は止めた方が良い」と思うからそのように伝えているだけです。
理由はpart1 の記事を通じて説明していきます。




心折れてもいい

part1 では飲食開業の現状を実例やデータを基に解説していきます。
その中にはあなたにとって新しい情報や物事の見え方がきっとあるはずです。その新しい見え方はあなたにとって悪い方に想定外のことがきっと多いです。あなたは「あれれ?思っていた感じと違うぞ、、、。飲食業界ってそんなに厳しいの??」と心が折れるかもしれません。

そんな状況になったあなたに最初にハッキリとお伝えします。

心が折れるのは恥ずかしいことではありません。

私はむしろそうなって欲しいと思ってこの記事を書いています。

やめよう飲食開業

私はこれまで飲食業界に飛び込んでくる人達を数多く見てきました。
中途半端な気持ちで手を出した結果、悲惨な状態になった人は大勢います。
おそらくあなたが考えている以上の本当の大勢です。

「飲食業が厳しいなんて話は聞いたことないよ」という方もいるでしょう。当然です。なぜなら失敗して後悔している人は世間に向けて積極的に発信をしません。「飲食店を廃業して借金抱えてサラリーマンに戻りました」なんて話は喜んで他人にするものではないですからね。世間で飲食業の難しさがあまり認知されていない原因のひとつです。

今、やる気に満ち溢れているあなた方は理解する必要があります。
今あなたに見えている光景は
・成功した人
・成功に向けて日々動いている人
・あなたが飲食業に入ることよって得する人
によって発信されている、業界のキラキラした上澄みの部分だけです。

その下にあるドロドロの厳しい部分は決して喧伝されることはありません。
しかしあなたが飲食業界に飛び込んだ時に真っ先に直面するのはそんなドロドロの厳しい部分です。


あなたとの約束

私は「飲食業をして欲しくない」と書きました。
あなたはガッカリしてもう記事読むのやめようと考えているかもしれませんね。でも実は「飲食業をして欲しくない」には続きの言葉があります。


私はあなたに飲食業をお勧めしません。
ただし「どうしても飲食業をやるんだ!キッチンカーをやるんだ!」
と決意された方に対しては全力で応援します。


飲食業はとても厳しい。なるべくならやって欲しくない。
だからマイナスな情報も正直に書きます。

でも、それでも覚悟して道を進む方には是非上手くいって欲しいです。
これが私が望むことで、記事の目的です。


大事なことなのでもう一度言います。この記事の『目的』です。

私はあなたに飲食業をお勧めしません。
それでもあなたが前に進むと決意したのならば”全力”でサポートします。

私とあなたとの約束です。


ではどのようにあなたをサポートするのか?
《全力》というのは私が持っている知識や経験を惜しみなくあなたにお伝えするという意味ですが、その上であなたが求めているのは精神論ではなく具体的な行動のやり方のはずです。

いつ どこで 何を どのように したらいいのか。

そのために私はこの『失敗しないキッチンカー開業』の記事を書きました。ポイントを「厳しい業界を生き残っていくため」の一点に絞り「いつどこで何をどのようにしたらいいのか」をお伝えし、開業のお手伝いをします。


本記事は初心者向けの話であり、特にキッチンカーに絞った内容になっています。そのため一般的な飲食開業のためのマニュアル本とは雰囲気や書いてある内容が異なるかもしれません。ご了承ください。




想定している読者

ここで私がこの記事をどんな方に読んで欲しいのか明確にします。
(逆に言えば読んで欲しくない方もいるということです)


【キッチンカー開業を検討中の方】

本記事はこれから飲食店開業を検討中の方、中でもキッチンカー開業をお考えの方向けに書いています。

part1 (今読んでいる分です)では業界全体の一般的な話をします。
ひょっとしたら「知ってるよ!」という部分もあるかと思いますが、確認の意味でも飛ばさずに読んでください。何故私が飲食開業に反対しているのかの理由もこちらに書かれています。

part2(別記事)は『心構え』の話です。
「なんでキッチンカーじゃないといけないのか?」ってことを自問してもらうために書きました。心構えと経営がどうリンクしていくのかを解説しています。
気持ちの部分の話は開業にとって遠回りに感じるかもしれませんが、きちんと自分の哲学や戦略を定めることが失敗しない店につながるという内容の記事です。

part3(別記事)では『開業のやり方』を具体的に書いています。
きっとあなたが今一番気になっている部分ですね。「いつどこで何をどのようにすればいいのか」の話です。
なぜ最初に具体的な話をしないかというと、part1 part2 の話を理解していなければ表面的なノウハウだけになってしまうからです。付け焼き刃の知識や技術は開業の失敗につながります。
あくまでpart1 part2 を読んで内容を理解し、趣旨に賛同いただいた方にだけpart3 を読んで欲しいと思ってこの順番にしました。

part3 では
・販売場所の確保の方法
・イベント会社への営業方法
・銀行への融資の申し込み方法
・価格の決め方
・保健所へ届出の出し方
・市場調査のやり方
・事業計画書の書き方    etc.

ひと通り読んだらゼロからキッチンカーを始められるように必要と思われる項目を網羅しています。もちろん全ての項目を具体的かつ実践的に書くよう気を付けました。

※おことわり
part3 は後半を有料記事にしてます。
part1 part2 を読んで「この人の言う事なら聞いてもいいかなかな~」と思った方だけ購入してください。値段はちょっとしたビジネス書くらいに設定してます。もちろん内容には自信があります。

ちなみに「仲間とお洒落なお店を作ろう!」「SNSで映える!」「キラキラした人生!」みたいな情報は本記事を通じて一切ありません。
そういう内容を期待していた方には申し訳ないですが、私は雰囲気やセンスの話はしませんしできません。丁寧な暮らし系の記事はセンスある別の方が書いていますのでそちらを参考になさってください。

私が本記事を通じてお伝えするのは《数字の作り方》と、そのための具体的な《行動の仕方》です。

あなたがこれから挑戦するのは経営です。趣味の店ではありません。
経営者には数字が常についてまわります。数字を考えることは決して避けれられませんし、むしろ「経営は数字が全て」と言えます。
そのつもりで読んでください。

経営は数字が全て



【家族が開業を検討している方】

本記事はご家族がキッチンカー開業を検討している方にも読んでいただけるようになっています。というかそんな方こそ是非読んでください。

なぜなら、あなたが今不安に思っている気持ちは正しいからです。


家族から「キッチンカーしようかと思ってるんだ」と言われたあなたはきっと期待と不安の渦の中にいますよね。
できれば応援してあげたいけど、どんなものかよくわからないし、、、。そのような状況でとりあえずキッチンカー開業のことを調べようと検索したらこの記事にヒットしたんだと思います。

なのに初っ端から「キッチンカー開業はお勧めしない」なんて書かれていてあなたはますます不安になっていることでしょう。

あなたがそんな不安な気持ちを本人に伝えると
「大丈夫」「なんとかなる」「心配いらない」と言われるかもしれません。

ひょっとしたら
「足を引っ張らないで」「何がわかるの」とケンカになるかもしれません。

あなたは独立開業の経験があるわけではないのでそれ以上何も言い返せません、、、。


でも私は知っています。
開業に向けて浮かれている本人には見えない飲食業界の《落とし穴》は数多くあることを。(落とし穴はリスクとも呼ばれています)

落とし穴は
「マーケティングの緩さによる集客力の無さ」なのかもしれません。
「単価と客数のバランスを無視している価格設定」なのかもしれません。
「開業費用の見積もりの甘さからくる負担の重さ」なのかもしれません。

他にも様々な種類の落とし穴が飲食開業する人を飲み込んでいきました。

「なんとかなるよ!」
と言っている本人はそういうリスクについてどのように考えているのでしょう?事業の厳しさを突き詰めて想定していますか?

残念ながらきっと違います。
本人は今、開業に浮かれてウキウキで上を向いて歩いているのです。
上を向いて歩いていたら落とし穴に気づくわけありませんよね。だから本人が気づいていない落とし穴は周りの人が教えてあげるしかありません。

さぁ、あなたはどうしますか?
放っておく?教える?

大切な人が失敗していくのを傍で見るのは悲しいことです。きっと優しいあなたは本人から何と言われても教えてあげたいでしょう。かけがえのない家族であるならばなおさらです。気持ちはよくわかります。

さて、周りから落とし穴について教えてあげるためには、まずあなたが落とし穴について理解する必要があります。どこにどんな穴があるかわからないのに「落とし穴が多いから別の道にしよう!」とか「穴があるから避けて!」とは言えないですよね。
これがあなたが本記事で勉強する『目的』です。

「心配だけど本人がやる気だから見守ってあげよう」と安易に流されるのは決して優しさではありません。
本人のためにもあなたこそ勉強してください。


飲食開業について理解して、その上であなたの不安な気持ちを本人にしっかり伝えてください。納得するまで話し合ってください。
それでも本人が「どうしても。何が何でも。絶対に飲食店がしたいんだ!」
と言うかもしれません。本人の決意が固くて、あなたも「こうなったら家族として本人の決断を応援する!!」という気持ちになるかもしれません。
それも愛情の形です。

開業することに決めたならあなたも一緒に前に進むしかありません。


存分に話し合い納得した。そういう状況ならば私も応援します。
その先のステップのためにもこの記事はあります。
「開業する!」「応援する!」と決めたけど、あなた自身も素人でどのようにサポートしていいかわからないでしょう。その時は記事に書いてある様々な情報や考え方がきっと役に立ちます。あなたは仲間としてコーチとして事業をともに発展させていきましょう。

ここで確認します。

家族がキッチンカーを始めるのであればあなたも一蓮托生となります。
キッチンカーが成功すればあなたも成功、逆も然りです。
家族と関係なく始められる個人事業というものはありません。あなたも当事者です。そのつもりで。




【飲食店を経営中の方】

既に飲食業をされていて新しくキッチンカー導入をご検討の方は、業界の解説部分は飛ばして《キッチンカーの作り方》や《出店場所確保の方法》だけ読んでいただいても大丈夫です(part2 の後半から)。

飲食業での様々な出来事を経験しているあなたに精神論は不要ですよね。
いまさら私が心構えについてお伝えすることはないので、実践的なキッチンカーのノウハウだけ習得してもらえれば十分だと思います。

先に少しだけお知らせしておくと「キッチンカー」と一括りにされることが多い業界ですが、実はキッチンカーには様々な”種類”があり目的によってその設計思想が異なってきます。
ここでいう《設計》とは車両だけでなく事業全体の設計の話です
車の選び方、内装、出店場所、メニューの内容、など営業にまつわる全ての物事はキッチンカー導入の『目的』によって変わります。

あなたのお店がキッチンカーを導入するのには目的がありますよね。
たとえば
・自店の宣伝媒体として
・地域社会への貢献のために
・スポット売上の確保手段として 

ってところでしょうか。もちろん導入する目的は1つだけではなくて複合的な場合が多いでしょう。とはいえ大きく分類すると上のどれかに当てはまるのではないでしょうか。

えっ!?全部ですか?
そうですよね。全ての目的を達成したいと考えるのは経営者として普通のことかもしれません。

ここで改めて言います。
キッチンカーはその目的によって設計が異なります。


だからキッチンカーをする目的には優先順位をつけなくてはいけません。なんのために自店はキッチンカーを導入するのか?今一度確認してみてください。詳しくはpart2 でお話します。




【飲食企業社員の方】

多店舗展開されているような飲食企業の社員の方にとって記事の内容は当たり前すぎて今さら役立つことは書いていません。また、資本がある企業の商売のやり方についても書いていません。
この記事は『失敗しないキッチンカー開業』であり『もっと成功するためのキッチンカー開業』ではないからです。
読んでいただけるのは本当に嬉しいのですが貴重な時間を浪費させてしまう心苦しさもあります。

私が言うのもおこがましいですが大きな企業の戦略は点ではなく面で捉えるマクロ視点が必要です。本記事では日本経済や消費者動向みたいなものを論ずることしませんし、個人向けの開業記事でそのような分析は必要ないと考えています。

この記事の内容は今日の1万円を稼ぐための実践的なものです。〇〇億円なんて単位は一切出てきません。大きな商売をされているあなたたちはセミナーに行って経済アナリストや経営コンサルタントの言葉を参考にするのが有益な時間の使い方だと思います。
なのでこのページはそっと閉じてください。

貴社のますますのご発展をお祈りいたします。




【興味本位の方】

「将来的にお店とかやりたいなぁ。わからんけど」と考えている方や、そのつもりは全く無いけれど読み物として目に留まったという方。

ご覧いただきありがとうございます。
冒頭で書いた通りにメチャクチャ長い記事です。無理する必要は全くないのでヒマでヒマでどうしようもない時に読んでいただけると嬉しいです。

本記事は『キッチンカー開業の実践的な方法』というニッチな市場のニッチなノウハウなので今後の人生にお役に立つことは少ないでしょう。たとえるなら「森でヒグマに襲われた時にはどうするか?」くらいの教養にしかなりません。とはいえ袖振り合うも他生の縁です。この出会いがあなたに何らかのポジティブ刺激になれば嬉しいです。

ちなみに私はヒグマに襲われたら大声を出すつもりです。



【開業が決まっている方】

キッチンカーの開業が決まっていて既に資金を投入している、または製作業者と契約が済んでいる、という方はショックを受けるかもしれないので本記事を読まないほうが良いかもしれません。私は『失敗しないキッチンカー開業』にとって準備(事業計画)が9割だと考えています。

修正することを前提とした事業計画を立てていないのであれば変更はきっと難しいです。あなたも今さら止まったり戻ったりできないと思います。だから余計な知恵をつけて迷走するよりも、今進んでいる道を信じた方があなたにとって良いかもしれません。

それでも気になる、という方は記事を読んでみて「こんな考え方もあるんだな」ぐらいに軽く受け止めてください。部分的にでも参考になるものがあれば書いた甲斐もあります。

開業が決まっているあなたに一番お伝えしたいのは「この記事と違うやり方で成功している店は沢山ある」という事実です。
あなたもそちら側の人であると信じてエールを贈ります。




セミナーの結果

ところで私はこの記事と同じ内容で小規模なセミナーを開催しています。
回数はまだ30に満たないくらいですが、場を重ねるうちに受講者の傾向みたいなものが見えてきました。

皆さんが
・キッチンカーについて何を知りたいのか
・どんな不安を持っているのか
・そして、どんな勘違いをしているのか  という《傾向》です。


受講者の属性は様々です。
・飲食店勤務中で独立したい方
・他業界で働いていて飲食店経験はゼロの方
・主婦の方、退職後の方 etc. 
いろいろなバックグラウンドを持った方達とお話しましたが、出てくる質問は驚くほど似通っていました。

その質問の内容とは
「開業に必要な費用はいくらぐらいですか?」
「イベントに出るにはどうしたら良いですか?」
「補助金ってどうやって申請するんですか?」
「正直どれくらい売れますか?」  etc.
ひょっとしたらあなたもこんな疑問を持って本記事を読んでいるのかもしれません。(その疑問はpart3 で解決します)

私がpart1 part2 を書こうと思った理由がここにあります。
最初は「実践的な内容だけお伝えすれば大丈夫かな」と考えてセミナーを開催していたのですが、それ以前の『開業に対する考え方』が皆さん圧倒的に不足していることに気づいたのです。言うなれば皆さん”豆腐マインド”でした。考え方が固まっていなくてフワフワでフヤフヤだったのです。

「キッチンカーしたい!開業したい!」というヤル気はあるのですが、前提となる『商売の基本』『飲食業の立ち位置』について意識している方は本当に少なかったです。当然、業界の仕組みについてもよく理解していません。

突然ですがここでクイズです。
私がセミナーで「飲食店開業の実際のところ」をお話した結果どうなったでしょうか?


答え:参加者の約6割が開業をその場で取り止めました。

もちろん私はセミナーで事実しか言っていません。マイナスな部分を大げさに話して脅かしたわけでもありません。業界的にはごく当たり前なことを当たり前に話したに過ぎないのです。それでこの結果です。

「知らなかった、、、」「そんな厳しいんですね、、、」「ちょっと考えます、、、」という方が続出です。
飲食業界やキッチンカーのネガティブな話を聞いても開業に進む決意を見せた方はごく少数です。中には検討を続けることにした方も数人いますが、その後話が進んでいるとは聞いていません。


「6割が開業を諦めた」
あなたはこのセミナーの結果を聞いてどう思いますか?

私はとても良いセミナーだったと考えています。
事業に失敗してダメージを受ける前に開業を思いとどまらせることができたからです。参加者の人生に良い影響を与えられたと自負しています。

ここで強調しますが「始める前に止めること」は決してダメなことではありません。ましてや『失敗』では断じてありません。

「始める前に止めること」は新しい道に向かって方向転換するポジティブな行動です。だから開業を止めた人は決して責められるべきではありません。

生き方には無数の選択肢があります。
ひとりひとり幸せの形は違いますし、みんながみんな同じ仕事にむいているわけではありません。あなたはあなたにとって最適な道を選んだ方が幸せなのは当たり前です。飲食開業を選んで幸せになれる方は本当に少ないと私は考えています。

なぜそのように思うのか?
飲食でやっていくと決意した人にはどのようなサポートをしていくのか?
失敗しないためには何が必要なのか?

そういう話をセミナーでも丁寧にしていきました。
そんな経験を基に本記事は進んでいきます。



自己紹介とnoteの主旨

ここでようやく自己紹介させてください。

はじめまして!!HARUYAといいます。
瀬戸内の小さな島でキッチンカーを走らせピザを焼くオジサンです。
ビールを愛し、美術館が好きで、メタボに悩んでいます。
毎日こんな景色の中でのんびり仕事してます!

海と山と空と

飲食店の寿命

うちの店は2015年にオープンしてから9年。
今のところなんとか事業として成り立っています。
これだけで「すげー!」となっていただいた方、ありがとうございます。
あなたはなかなかの業界通ですね。

何の事かサッパリな方に説明すると、上の文章は飲食業界において結構大変なことを言っています。
「飲食業で9年続いている」

だから何??何を言いたいのかわからない、、、。
業界に縁のなかった方はそう感じると思います。セミナーでもそんな反応が多数でした。解説をすると、実は飲食店は平均寿命がとても短くて
開業2年で50%、5年で80%、10年で95%が廃業します。

びっくりですよね。
引用する調査機関によって多少の数値の上下はありますが、公的機関やリサーチ会社が出している信頼のおけるデータです。廃業率の高さは飲食業界に携わっている方にはおなじみの数字で「2年で50%」という数字は誰もが知るものです。
さらに言えば「キッチンカーは2年で50%も残らない」というのが何百台ものキッチンカーを見てきた私の実感です。

あなたがまず持たなくてはいけないのは
飲食店は簡単に始められて簡単につぶれるという”常識”です。

あなたがもし「この数字を初めて聞いた」としたら飲食業界の基本すら理解していなかったということになります。セミナーでもそういう方多かったのであなたが特別というわけではありません。業界の外の方にはあまり知られていないことですからね。



世間での認識

私はこの記事を書く前にnoteでキッチンカー関連の記事をけっこう読みました。みなさんお洒落に書いていて素直に感心です。内容もやっぱりキラキラしていて幸せオーラいっぱいでした。楽しい記事ばかりなのであなたも時間があれば参考に読んでみてください。

でも、よく見てみると記事の内容は2つしかありません。
・キッチンカー始めてみた!
・キッチンカーやってみたい!  この2種類なんです。

もちろん細かい内容は記事を書いている人によって違いますし、販売商品や家庭環境はバラエティに富んだものだったのも事実です。
ただし記事の主旨は2種類しか見つけられませんでした。「キッチンカー始めてみた!」「キッチンカーやってみたい!」これだけなんです。
言い方を変えれば「キッチンカーを5年10年と継続的に経営しています」という記事は全くありませんでした。もちろん私は批判をしているわけではなく現状を把握したいだけです。

その記事がない原因を推測するに、あるいは「キッチンカーが日常になったので記事を書くほどでもなくなった」ということかもしれませんが「何らかの事情によってキッチンカーを止めた」と見るのが自然です。
商売を止める人は記事を書きません。飲食店を始めるのは簡単だけど続けるのは難しいことがここにも現れています。


私がこうして「飲食店は潰れまくる」と言うと皆さんからは「飲食店なんて街中に溢れてるやろ~」と返ってきます。

そうです、溢れているんです。10年20年営業している店も珍しくありません。これって先ほどの「2年で50%潰れる」と矛盾しているように見えますよね。でも実はこれにはカラクリがあります。

あなたが見ている10年20年と営業しているお店は、何百店という新規開業の挑戦者をはねのけて勝ち続けている超優秀な店なんです。あなたが行く店が全然潰れないのは、あなたが通っているのが超優秀な店だからです。街中に飲食店が溢れているように見えるのは長年の戦いと生き残りの結果であり、新規参入となると前述のデータが実際のところです。

別の言い方をすると、あなたが通う超優秀な店は
・あなたが通ってお金を落とすからその店は営業できている
・あなたが通うだけの理由がその店にある
から営業を継続できています。


反面、誰にも知られずひっそりと閉店している店は本当に多いです。
2年前に一度だけ行った店なんて覚えてますか?タピオカ屋かもしれませんし、高級食パン屋かもしれません。白い鯛焼き屋なんてのもありました。
もし覚えていたら前を通ってみてください。予言しますがきっと別のお店になっているでしょう。

私の店は9年営業していると書きました。
これだけの期間キッチンカーに乗り続けていると業界では結構なベテランになります。ベテランは新規開業の方の相談に乗ったりイベント会場で話しかけられたりして他のキッチンカーの内情を知る機会が多くあります。

ベテランは当店より後に開業したキッチンカーが撤退していくのを数多く見てきました。「これからよろしくお願いします!!」なんて挨拶をしてくれた仲間が翌年には廃業、なんて事例を何十台と見てきました。
和食屋で長いこと修行した料理人が「自慢の味を食べてもらうんです!」と言っていた総菜キッチンカーは半年で閉店しました。「夫婦でおしゃれな店をやるのが夢だったんです」と言っていたクレープキッチンカーは1年で去っていきました。どちらも素敵なオーナーさんで美味しいお店でした。
が、どちらもあっさり潰れました。
料理のウデや人柄は、経営とは別の要素なんだと知りました。



大事なこと

私自身はもともと飲食業に興味があったわけではありません。
飲食店経験は学生時代にアルバイト先の居酒屋を3日で辞めた程度です。社会人になってからは広告代理店や印刷会社の営業マンになり、いわゆる普通のサラリーマンとして働いてきました。ピザのキッチンカーを走らせていると書きましたが、実はそれまでピザを焼いたことは無かったです。
そうです!「ピザ屋をやる」と決めてから初めてピザを焼いたんです。

ドヤ顔

そんな私がなぜキッチンカー開業したかを少しだけお話します。

会社を辞めて独立することにしたのは家庭環境や職場環境という周囲の状況を判断した結果でした。ピザ屋をすることに決めたのも、経営(収益)を考えてのことで特にピザが大好きという訳でもなかったです。長くなるので詳しい話はpart3 の終わりに書きますが、ここで言いたいのは

・勝手がわからず飛び込んだ業界で未経験者が何とか生き残っている
という『事実』と
・美味しい料理や丁寧な接客サービスは経営面での大きな要素ではない
という『経験則』です。

料理の美味しさや気持ちの良い接客はセールスポイントのひとつですが、それよりも大事なことがあります。私が飲食業界で生き残るためにした事はたった2つだけです。それは

・マーケティングをして根拠のある数字を出す
・状況に合わせて仮説を立て実行し、検証する
 

この2つだけです。
本記事を通じて上の文章の意味を具体的に説明していきますので現時点ではサッパリわからなくても心配いりません。


あれ?
「味はどうでもいいのかよっ!」ってツッコミが入りましたか!?
セミナーでも飲食業で働いている方からは厳しいお言葉をいただきました。
「おいしさは?」ってことですね。
ところが他業界の方からは「マーケティングとかPDCAとか普通でしょ」と言われました。そうです。ごく”普通”のことなのです。
不動産屋でも半導体メーカーでも学習塾でも、およそ商売をしている業者はみんな当たり前にやっていることなんです。飲食業を除いては。

そして飲食業の方の疑問にお答えします。
「味がどうでもいい」とは言っていません。でも最優先ではありません。
あなたもまずこの意識を改革してください。

美味しい料理を作るのは良いコックの条件です。
素敵な接客ができるのは良いサービスマンの条件です。
でも、あなたが挑戦しようとしているのは経営ですよね。
経営者には良い経営者の条件があります。少なくとも『失敗しないキッチンカー』の条件は上で触れた2点です。

もう一度書きます。
・マーケティングをして根拠のある数字を出す
・状況に合わせて仮説を立て実行し、検証する 

これが『失敗しないキッチンカー』の条件です。



ありがちな考え方

新規でキッチンカーを開業する方とお話しすると「難しいことはできませんし、そんなのやってみなきゃわからないですよね。僕はみんなに美味しい料理を作って喜んでもらうだけです」と言われることが多いです。
このやり取りは本当の本当に多いんです。

「やってみなきゃわからない」だから「とりあえずやってみる」

ひょっとして、あなたも同じように考えてたりしますか?もしそうならば少し待ってください。”とりあえず”で挑戦するあなたに聞きたい事がたくさんあります。たとえば
・事業計画はどういう風になっていますか?
・価格設定には根拠がありますか?
・顧客のマーケティングはできていますか? 

もちろん開業の相談に来た方にも同じことを聞きました。
答えはいつも「そんなのやってみなきゃわからない」です。
そして私は思います「大丈夫かなぁ。。。」

結果、私が心配したキッチンカーはもれなく2年以内に撤退していきました。決して大丈夫では無かったみたいです。


ここでお伝えします。
「やってみなきゃわからない」で始めた結果が2年で50%です。
「やってみなきゃわからない」ことは数多くあります。
でも「やってみる前にわかる」こともそれ以上に多くあります。

私はそんな後ろ姿を見届ける度に思いました。
「なんで開業前にきちんと情報収集しないのだろう?」
「なんできちんと収支計画を立てないんだろう?」
「なんでゆるい見積で見切り発車するんだろう?」



誰のせい?

そんな疑問を持った私が調べたところ、いわゆる飲食コンサルタント会社やフランチャイズ本部の存在がありました。
右も左もわからない飲食開業希望者は「こんな素敵なお店が作れますよ!」と言われて「そんならできそうだ。よ~しやるぞ~!」と彼らを信じて進んでしまうのです。

あなたもキッチンカー開業に向けて情報を集めていると思いますが無料セミナーに参加して気分をアゲたりしてませんか?もちろん気分をアゲるのは悪いことではありませんが、私が聞きたいのは

・フランチャイズ本部から提示された「これくらい儲かりますよ」という収支シミュレーションを”自分で”検証しましたか?
・「お客さんはこれくらい来ますよ」と言われた予想数字を”自分の足で”マーケティングしましたか?

自信を持って「YES」と答えられなかった方に警告しますが、業者に言われるまま開業すると間違いなく「2年で潰れる50%」の方に入ります。


ここで確認しますが、開業という決断はたくさんの時間とお金を費やす大事なものであるはずです。ノリと勢いで相手の言う事をそのまま信じてしまって良いのでしょうか?
コンサルタントやフランチャズ本部はマージンを取ることが商売です。「あなたの状況では開業しない方が良いです」「計画のこの部分が甘いですね」なんて決して教えてくれません。そして「シミュレーションの結果を保証します」とは口が裂けても言いません。
彼らにとってあなたは大事な《お客さん》です。
これの意味するところは「あなたには絶対に開業してもらわないと困る」ということです。あなたが開業して手数料を払うことで初めて彼らの給料が出ます。そのような状況であなたにとって不利な情報を教える義理やメリットがあるでしょうか?

だから私はハッキリ言います。問題発言かもしれませんが断言します。

フランチャイズ本部やキッチンカー製作会社がやっている開業セミナーに
行ってもしょうもないです。情報を鵜呑みにして行動すると後悔します。


彼らの開業セミナーではキッチンカー営業の基礎などいろいろと教えてくれます。(私も参加したことあるので内容はわかります)
開業の相談にも親切に乗ってくれてあなたにとっても有益な情報は多いです。そこは否定しませんし、一概に「そんなとこ絶対に行くな!」とは言いません。
ただし彼らのレールは開業に向けての一方通行です。
ふと立ち止まって考えたり、振り返って後戻りすることはできません。彼らがそれを許さないからです。彼らはあなたのことを考えているわけではなく自分の会社の利益を求めています。

誤解して欲しくないのは、これは飲食コンサルタントが悪い人だから起こるわけではありません。彼らにとっては正しい営業なのでこの行動自体は非難されるべきではないです。あくまで「どの立場から物事を考えているか」という違いだけです。私だって彼らの立場になったとしたらあなたに必死で開業を勧めるでしょう。

でもあなたはあなた自身のことを一番に考えます。
だから彼らのセミナーに行くなら話半分くらいの姿勢でいましょう。そして決して情報を鵜呑みにしないことです。
セミナーが無料で実施されている時点でどういう仕組みなのかを理解してください。タダより高いものは、梨なしナッシングです。

豊水が好き


私が”親切”な理由

世の中の全ての企業は儲けるために存在しています。
飲食コンサルタント会社やキッチンカー制作会社も同じで、企業が行う活動には必ず《キャッシュポイント》があります。キャッシュポイントとはその会社が儲かるための活動のことでキャッシュポイントがない企業は存在しません。

キッチンカー製作会社のキャッシュポイントはキッチンカー製作です。フランチャイズ本部のキャッシュポイントは加盟金とロイヤリティです。
つまりセミナーは無料でも、決してボランティアでやっているのではありません。彼らはあなたが払うお金で生活しています。

製作会社のキャッシュポイントはキッチンカーを製作してもらうことなので、キッチンカーを納品すればそこが彼らのゴールです。
その後あなたが商売で儲かろうが倒産しようが彼らには関係ありません。セミナーの場でどんなにいい事を言われたとしても、この構造は決して変わらないです。

ここまで読んで「じゃあお前の書いているこの記事はどうなんだよ(怒)」
と思わないようなら自分のセンスに疑問をもってください。
良い着眼点ですし、疑問は当然です。
もちろん私もキャッシュポイントを持っています。それは
・part3 を有料記事にしていること
・記事全体を読んでいた方から個別フォローを依頼されること
この2つです。

有料記事のpart3 は、part1 part2 を読んで納得していただいた方にしか購入されません。だから今あなたの満足度を上げるために一生懸命に書いています。個別フォローはpart3 の更にその先の話です。全体を読んでもなお、私のことを信頼していただいた方からご連絡をいただきたいと思っています。そこで別途料金をいただいて個別フォローをするのが私のキャッシュポイントです。

だからこの記事では嘘や大げさなことは決して書けません。物品を売るわけではない私は信用だけが商売のキモだからです。あなたに信用されることこそが私の利益になります。
そんな私にとって幸いなことがあります。
立場として、あなたがキッチンカーを作ろうが止めようが私の売り上げには関係ないということです。記事だけ読んでもらえたらその先に利害関係がないのです。無理して開業してもらう必要はありません。だから最初に言った通り、私はあなたの《味方》としてフラットな情報と判断を提供できます。再度書きます。

「あなたが満足すること」だけが私にとっての利益(売上)になります。
そこが彼らとの構造の違いです。


でも念のために言っておきます。
彼らの話を半分で聞くように、私の話も頭から全部信じることはやめた方がいいです。あなたはこれから経営者になります。経営者は孤独だとよく言われますがそれは本当で、心から信じていいのは自分自身と家族だけです。
事業の責任を取れるのはあなた自身だけなのですから。




セミナーからnoteへ

じゃあ誰のせい?
「やってみなきゃわからない」で失敗していくキッチンカーは誰のせい?

私は私の仕事をします。
あなたはあなたの仕事をします。
コンサルタントやフランチャイズ本部も彼らの仕事をします。
そこに大きな違いはないはずです。
だから結局は本人が責任を取るしかありません。

でも頑張っている当人に責任の全てを背負わせていいのでしょうか? 
本当にそうなのか?

そんな風にモヤモヤしていた私はセミナーを開催しました。キッチンカー開業のための小さなセミナーです。最初は会議室を借りて2名の参加者から始めましたが、回数を重ねる毎に人数も増えていき複数回の参加をする方もでてきました。セミナーの結果は前に書いた通りです。

私は思いました。
「みんなにもっと伝えたい。全国どこでも何時でも伝えられるようにしたい。それならやっぱりWEBだろう。流行っているからnoteかな」

そういう経緯でこの記事は書かれています。
素人で未経験からキッチンカーを始めた私だからわかること。
初心者が勉強したこと、飲食業界以外のやり方、成功体験や失敗体験など。
きちんと伝えたら開業で失敗してしまう人が減るんじゃないか。不幸にも直ぐに閉店してしまうキッチンカーが無くなるんじゃないか。だから声を大にして言います。

「いいから俺の話を聞けーーーーーー!!」

上から目線に感じたらすみません、、、。

そんな私が真っ先に伝えたいのは
失敗しないために「開業しない」ことは選択肢として悪くないです。
あなたの『目的』は幸せな人生を歩むことで、開業はその『手段』でしかありません。

たしかにやってみなきゃわからないことは沢山あるし、挑戦することにも価値があるのかもしれません。ですが確実に失敗する状況ならやらない方が良いはずです。
ハイヒールで富士山に登ろうとしている人を見かけたら「無謀だよ」と伝えてあげるのが親切ではないでしょうか。どんなに本人のやる気があってもできないものはできません。そして「こういう装備があるよ。こういう時期に登るといいよ。こういう準備をして、こういうルートを下調べしよう」と伴走してあげたいです。
ハイヒールで登っていく人に「やればできるよ!」と声をかけその気にさせ、挙句に何かを売りつけてその後は知らんぷり。そんなことは私はできません。

お気づきの通り、キッチンカーの開業のことを指しています。



あなたのやり方

さて、世間には開業のための本やセミナーが溢れています。
そこでは様々な人が様々な成功体験の話をしています。

あなたもキッチンカーで成功している方の話を見たり聞いたりしたことが
あるのではないでしょうか?お笑い芸人さんのキッチンカーがすごいとか(ラッスンゴレライ!!)音楽フェスでのお好み焼き屋さんがすごい!!とかの話です。
そういう体験談には「うちはこうやって成功しています!」という話がわんさか載っていて、真似してみようと考える人もいるはずです。

でも少し待ってください。
先ほど富士山の話をしました。
私も富士山には何回か登りましたが、実は短パンにサンダルで山頂まで登れてしまう人がいます。数少ないですがそんな猛者も確かにいます。
キッチンカーも同じです。
何の準備もしないで「とりあえず」で始めて成功してしまう人がいます。そういう人の話を聞くと自分もできるような気になりますよね。

でも残念ながらあなたがそちら側(猛者)の人である確率は低いです。
今この記事を読んでいる時点であなたは「誰に何を言われても確固たる自分の信念を突き通す」「自分のやり方で頂点を目指す」というタイプの人ではないからです。富士山に短パンでは登れないタイプです。
あなたは「商売や将来に不安がある」「できれば失敗したくない」と考えている普通の人です。私と同じです。


だからそんなあなたにお伝えします。
上手くいっている人の真似をすることは大事です。
とはいえ違う人生を歩むあなたにそのやり方がフィットするとは限りません。誰かの成功体験の真似をしても同じようにはできません。


メディアはいつも成功者の声で満ちています。「成功するためのやり方」がどんどん出てきてあなたを煽り立てます。そしてあなたは焦ります。
でもよく考えてみてください。成功するための本が毎年何冊も新しく出続けるのは何故ですか?逆説的に「その本を読むだけでは成功できない」ということの証明ではないでしょうか。
私は「成功するための本」を何冊か読み比べてみました。みんな自分がどうやって成功したのかを語りますが、ひとつとして同じ物語はありませんでした。みんながみんな違うやり方で成功しています。結局『成功』に法則なんてものはないのです。



成功の形・失敗の形

では、あなたは一体どうするべきなのか?


私のノウハウは『失敗しない』ことです。あなたはきっとこう聞きます。
「でも『成功する』と『失敗しない』は同じですよね?」

私はこう答えます。
いいえ。
『成功する』と『失敗しない』は本質的に全く違います。

本が毎年何百種類も出ていることからわかるように、人によって『成功』の形は様々で各人の価値観に基づくものです。あなたの成功と私の成功はきっと違います。もっと言えばあなたの成功の形は世界中の誰とも同じではありません。
ビジネスの世界だけで言っても、年収2000万円を目指す人もいればFIREを目標にしている人もいます。従業員が大勢いる大企業を作りたい人もいれば、こういう数字では測りきれないやりがいを求めている人もいます。

あなたの『成功』の中身はあなた自身にしかわかりません。
だから「成功するための方法」は誰からも教えてもらうことができません。

『成功』の形が各人によって異なるのであれば『失敗』の形はどうなのでしょうか?

実はあなたが挑戦しようとしている《事業における失敗》の定義は明確になっています。これは商売をする人全員に共通するもので、あなたの失敗と私の失敗の形は同じです。それどころか世間で失敗する人はみんな同じ形になって退場していっています。単純ですが事業における失敗の形はこれだけなので覚えてください。

事業の失敗 = 営業を継続できる利益を出せない

そうです。
失敗の形はこれしかありません。みんな事業を継続できる利益が出せなくて失敗しています。逆に言えば、利益さえ出ていればその商売は決して『失敗』ではないです。


人間関係や健康問題と違い、利益は数字で表すことができます。
「あの娘とは仲良し」とか「今日は調子が悪い」みたいな言葉は人によって尺度が違います。仲良しとは何なのか?調子が悪いとはどんな状態なのか?その言葉を発する人物や関係性によって全く異なる意味を持ちます。
でも「10万円不足している」は誰にとっても10万円不足という意味で誰からも同じ尺度で形が見えます。数字(利益)を見れば客観的かつ明確に失敗したことがわかるのです。それが成功との違いです。


もう少し深く考えてみます。
「数字で表せる」「客観的に判断できる」ということは、事前にきちんと《計画》《調査》《計算》をすれば失敗のリスクを減らせるということです。(リスクという言葉を不確定要因という本来の意味で使っています)

1+1=2はあなたにとっても私にとっても同じ意味を持ちます。同様に「どうなれば失敗なのか」「どうすれば失敗を避けられるのか」も共通です。先人がした失敗を避けることは、あなたにとっての失敗をさけることにもなります。つまりあなたの

失敗しそうな状態 = 計画の無謀さ は事前にわかります。

なぜならたくさんの人が通ってきた道だからです。
「甘い目論見で資金を投入してどうしようもなくなった」
「その場しのぎの路線変更をした」
「それでも上手くいかなくて泣く泣く閉店」
世間でよくある話ですが、こんなパターンはいい加減にやめませんか。
少なくともあなたには同じ轍は踏まないでいただきたいです。

だからもう一度、失敗しないために大事なことを言います。
・マーケティングをして根拠のある数字を出す
・状況に合わせて仮説を立て実行し検証する
これだけです。これをしっかりすれば 1+1=2 であるように事業における失敗を避けられます。客観的な数字の話です。



まとめます。
この記事は『失敗しない』ことを目指すもので『成功する』ことを約束するものではありません。成功の形はあなただけのものですが失敗の形はみんなに共通するもので、だからこそ失敗を避けることができます。

そして『失敗しない』から『成功する』のステージに移るには別のセンス・努力・運が必要です。あなたの成功のためのお手伝いは残念ながら私にはできませんし、成功への道はあなた自身が見つけるしかありません。
ただし、成功するための道は失敗しないことから続いているのは間違いないです。だからあなたはまず『失敗しない』経営から始めてみませんか?




飲食業界の現状

気持ちが高まってきたところでこれから冷や水を浴びせていきます。
意地悪に思えるかもしれませんが、自分が置かれている現状を把握することは全ての道の一歩目です。


ではここでクイズです。
先ほど「飲食店は簡単に始められて簡単に潰れる」と書きましたが、その理由はなぜでしょうか?

おそらくそんなこと考えたことないでしょう。飲食業に携わっている方も「簡単に潰れる」ことは理解していますが理由までは意識をしていません。上のクイズはセミナーでも出題しましたが、飲食業界が抱える《構造的問題》を理解していたのは他業界で活躍している一部の方だけでした。

クイズの答えはこの項目全体を通じて確認していきます。


まずあなたに理解して欲しいのは「物事には全て理由がある」ということです。パンダが白黒なのも子供が野菜を嫌いなのも全て理由があるのです。同様に、飲食店が簡単に潰れる理由を「《構造的問題》がある」と言います。

飲食店が簡単に潰れるのは店長がサボっているからとか、能力がないからということではありません。飲食業は本質的に潰れやすい《構造》をしているのです。これから開業するあなたはその構造に直面することを避けられません。だからあなたは『飲食業界の構造』について理解する必要があります。

はたして飲食業とはどんな商売なのでしょうか?



参入障壁の低さ

『構造的問題』のひとつとして「参入障壁の低さ」について触れます。

推測するにこの記事を読んでいる方はきっと特筆すべきスキルの無い方ではないでしょうか?当たりですか?ムカッときた方もいるかもしれませんね。
安心してください。私も同じくノースキル人材だと白状しておきます。

世間を見まわしてみると「医師免許を持っている」「フランス語をネイティブ並みに話せる」「AIのプログラムを組める」そんな立派なスキルを持っている方が沢山います。きっと学生時代から努力を積み重ねてきたのでしょう。そういう方たちは独立開業しても仕事が舞い込んで順調に経営を続けていけます。

飲食開業を考える我々は調理師免許くらいは持っているかもしれませんが開業に免許は不要です。「教員免許のない教師」は存在しませんが「調理師免許のない料理人」は山ほどいます。それでいて特に不都合はありませんし経営には全く関係ありません。

さてここでハッキリと言います。

飲食業は誰にでもできる仕事です

こういう風に書くと「業界で働く人を軽く見てる(ムキー‼)」と批判的な意見が出てきそうですが、誰にでもできるから価値の低い仕事と言っているわけではありません。もちろん。
伝えたいのは、誰にでもできるから参入者が多く競争が激しくなるということです。

やりたい人なら誰でもできる。あなたも簡単に飲食業界に参入するし、他の誰かも簡単に入ってきます。飲食業に挑戦したいのにスキルが無いから諦める人はいません。「できる人が少ない」業界と「誰でも挑戦できる」業界ではどちらの競争が厳しくなるかは一目瞭然ですよね。
あなたはそういう厳しい環境で勝負しようとしています。


新店舗の存在

参入障壁が低いということは、あなたのお店が開店した後も次から次へと
誰かの新しいお店がオープンしてくということです。

お客さんは新しい飲食店が大好きです。
このことはみんな知っているけれど、あまり意識していません。

雑誌やテレビでよく飲食店のオープン特集をやってますよね。あなたも「駅前に新しくOOができたから行ってみようよ!」なんて誘われた経験があるのではないでしょうか?私も商売柄、新しく飲食店ができたら偵察に行きます。どの飲食店もオープン直後は賑わっています。


「新しいお店が人気で賑わってるのなんて普通じゃない??」
と、あなたは考えるかもしれませんが、そんなあなたにお伝えします。
新しいお店が賑わうのは飲食業界特有の現象です。
「新しい高校ができたから子供を入学させたい」とか「近所に新しく会社ができたからそこに転職しよう」と考える人は少ないはずです。どちらかというと創業○○年の数字が大きい方に安心感を覚えるのではないでしょうか。
人は失敗できない選択の際に保守的になり実績を重視します。どういうものかわからない新しい学校よりも、卒業生が大勢いて進学や就職の実績が明確になっている学校の方に心惹かれます。結果として古い学校の方が人気があり偏差値も高くなりがちです。

飲食店の話に戻ります。
飲食店は店選びに失敗してもダメージが小さいです。このことはみんな当たり前に体感しています。「あんまおいしくなかったね、、、」「ちょっと高いわー、、、」で、次回は別のお店に行けばいいだけです。
だから失敗を恐れずにお客さんは新しいお店にどんどんチャレンジしていきます。この心理はあなたも共感できるのではないでしょうか。
飲食店選びの機会は外食の度にあり毎日でもやり直しができます。そこに選択の重さはまるでありません。結果としてお客さんは「失敗してもいい」と新しいお店にどんどん通うことになります。

その結果、飲食業界はオープン当初にスタートダッシュがあります
他の業界では少しずつ信頼を重ねてお客さんを増やしていきますが、飲食業は開業当初からいきなり賑わうのが普通です。どんな飲食店でも半年くらいはお客さんがやってきます。このことを「売上に下駄を履かされている」と表現します。

ではここで別の側面を見てみましょう。



新しく”なくなった”店の視点

新しいお店が賑わっているという事は、当然その裏にお客さんが来ない店の存在があります。

「お客さんは新しい店が大好き」と書きましたが、これを逆に見れば「新しくなくなった店のことはそんなに好きじゃない」ということです。あなたの店もいずれ《新しくない店》になります。抗いようのない事実であり、多くの飲食店が2年で閉店する大きな理由でもあります。
開店のスタートダッシュで履かされていた下駄が脱げて本来の実力で勝負しなくてはいけなくなった時に店の真価が問われます。ここで潰れる店は「開業すべきでなかった」わけです。



〔潰れるパターン〕
多くの飲食店の潰れるパターンを紹介します。失敗の形の項目で触れましたが、失敗には同じパターンがあります。


 ※中途半端な準備で開業して
⇒ スタートダッシュ(下駄)で大忙し
⇒ このまま客が入り続けると勘違い
⇒ 数か月後に客が激減(近所に新しい店ができた、飽きられた)
⇒ 赤字になってきたけどなんとなく続ける
⇒ 運転資金がもたなくなり閉店
 (ここまで約1~2年)
⇒ 跡地に新しい店を他の誰かが始める
⇒ ※から繰り返し

これが多くの飲食店が2年で潰れるパターンです。
「オープン当初が一番儲かった」なんて話はよく聞きます。新しもの好きのお客さんが下駄を履かせてくれるので、どんなにテキトーな考えで店を始めたとしても半年くらいはそれなりに賑わいます。
ですがスタートダッシュの客入りは店の実力ではありません。


超優秀な店の視点

さらに別の視点に移ります。長年営業を続けられている《超優秀な店》の話です。

長年営業を続けているということは、たくさんの新規オープン店のことを間近で見てきています。超優秀な店は新規オープンする店を余裕をもって待ち構えていると思いますか?実はそんなに一筋縄ではいきません。

お客さんの気持ちは移ろいやすいものです。
新しもの好きのお客さんたちが店選びの選択で、月に5回通っていた店を月4回にして1回は新しい店に行くことにしたら、、、。お客さんにしてみたら気まぐれな挑戦です。しかし店の立場からすると客足が20%も減ることになります。実際問題としてそんなに客足が遠のいたら店はまず潰れるでしょう。いくら超優秀な店でも心配のタネは尽きません。

では2年で新しい店が潰れる流れを超優秀な店として横から見てみます。

 〔潰れるパターンその2〕

 
※近所に新しい店ができた。
⇒ お客さんが流れる(ヤバいかも)
⇒ 新しい店は潰れてお客さんが戻ってきた(ホッとする)
⇒ やっぱりウチの店が一番だな
⇒ そしたら跡地にまた新しい店ができた(またかよ!)
⇒ 以下※繰り返し

超優秀な店の視点から上のパターンを見てみると、新しくできる店との激しい競争は何度も何度も繰り返します。そして、たった一度でも競争に負けたらあなたの店は潰れます。

何十年営業していようが関係ありません。一度たりとも新しい店には負けられないんです。「絶対に負けられない戦いがここにある」とはどこかで聞いたセリフかもしれませんが、あなたが飛び込もうとしているのはそんな世界です。

戦いは永遠に続く


スキル代替性の高さ

飲食は参入障壁が低く競合が多いと解説してきましたが、加えて飲食業にはさらなる弱点があります。飲食のスキルは代替できることです。
先ほど「飲食は誰でもできる」と書きました。一歩進んで考えると、「お客さんでもできる」という意味になります。


仮にあなたが北京ダック屋を開業するとします。

自宅で北京ダックを作ったことのある人は少ないでしょう。私も経験ないです。でも「どうしても北京ダックを作って欲しい!!」と頼まれたら?
ネットでレシピを調べて、通販で材料を購入して、1週間もあればそれなりの北京ダックが作れると思います。もちろん長年修行をした料理人の作るそれとは全然違うでしょう。しかし満足するかどうかを決めるのは注文したお客さんです。素人が作った間に合わせの北京ダックで構わないと思われたら職人の出番はなくなります。

味覚なんてものはどこまでも主観的です。「実家のカレーが1番うまい!」という人の多さがその事実を物語っています。料理人のウデには客観的な指標なんてものは無く、スキルがそのまま満足につながるとは限りません。


他の業界ではどうでしょうか?
もし「どうしても自動車を作って欲しい!!」と言われたら?自分で作るには1週間では無理でしょう。3年かかるかもしれませんし、ひょっとしたら一生かかっても無理かもしれません。トランスミッションの構造はよくわからないし、どうやってエンジンを組み立てればいいのか見当もつきません。結論として自動車が欲しければメーカーが作ったものを購入せざるを得ないのです。

飲食は基本的に全てのお客さんが調理のスキルを持っています。そこが他の業界との大きな違いです。お客さんには「外食せず自炊する」という選択肢が常にあります。カップラーメンにお湯を注ぐことだって調理と言えます。

私はコロナ禍でハッキリと理解したことがあります。
人間にとって『食』は欠かすことができませんが、お客さんにとって飲食『店』は不可欠なのものではありません。いざとなれば食事の支度は自分でできます。飲食店は社会にとって必須の存在とは言えません。

どんなに価格が高くても盲腸の手術は医者にやってもらわないといけません。サービスに満足できなくても外国に行くには飛行機に乗る必要があります。ところが飲食店は違います。あなたの商品に満足できなければお客さんは単純に行かなければいいだけです。

誰でもできる(お客さんでもできる)ことを「スキルの代替性が高い」と言います。スキルの代替性が高い業界は世間からの評価が低くなりがちです。だってその気になれば自分でもできることですから。必然的にそのスキルに対する報酬は低く設定されます。飲食業界に携わる人たちの収入が少なくなる原因のひとつです。




上限のあるマーケット

ところで、あなたは服を何着持っていますか?

10着の人もいれば300着の人もいるでしょう。
今は特に不自由してなくても、魅力的な服がセールになっていたらとりあえず買っておくという人も多いでしょう。季節の終わりに次のシーズンの服を買っておくこともあります。誰かに頼まれて代わりに買ってあげたり「今月は財布がピンチだから来月まとめて買お」なんて事もできます。

では、あなたは1日に何度食事をしますか?

1食の人もいれば5食の人もいるでしょう。それでも大体の人は3食で、まさか20食の人はいないはずです。
お腹いっぱいの時に美味しそうなレストランを見つけたら入りますか?場所やメニューを覚えておいて別の機会にしますよね。「お腹が減ったけど仕事で手が離せないから代わりに食べておいて」なんて事はできませんし「ボーナス入ったから1週間分食いだめしておこう!」とは考えもしません。

ここで話が別方向に行きます。

みなさん『windows95』って知っていますか?
若者にとっては教科書に書いてあった歴史かもしれません。私たちの世代にとっては”革命”で、あのソフトが発売された当時は猫も杓子もみんな電器店に並びました。それまで一般的でなかった汎用OSというものが登場して会社も家庭も大騒ぎです。みんな特別に予算を組んで購入しました。
新しくパソコン購入し、新しく専門の部署と人員を配置した会社は多かったです。新しいパソコンショップが街中に乱立し、新しくパソコン解説本のコーナーが書店にできました。秋葉原が電気街からパソコン街になったのもこの頃です。
新しい技術は新しい需要を創造し、新しい文化や行動様式を産み出します。これからも新しい技術が私たちの生活を変えていくでしょう。

「突然なんの話?」ってなりますよね。飲食開業と何の関係が??
本当に言いたい事はここからです。

Windows95は新しい需要を創造しましたが、はたして飲食業で”新しい”需要が創造されることはあるでしょうか?答えは「NO」です。
どんなに新しいコンセプトの商品が出来たとしても食べ物は「おなかいっぱい!」までしか求められることはありません

人類が生まれてから200万年経ちますが《食べる》という行為は外形も本質も全く進化していません。1万年前の人もお腹が減ったら「いただきます」で、5千年後の人もお腹いっぱいになったら「ごちそうさま」です。この部分は決して変わることはありません。
より身近な例で言えば、新発売の高級食パンを食べるためには他の何かを食べることを諦めます。お腹パンパンですから(パンだけに、、、)

つまり
飲食業のマーケットの上限は「その時その場所にある胃袋」の数と同じです。それ以上に売れることは絶対にありません。


実は上の言葉は大変恐ろしい事を言っています。
新規参入する飲食事業者はこの残酷な事実に考えが及んでいないことが多いです。解説を聞くとあなたもきっと複雑な気持ちになると思います。

「飲食店のマーケットには上限がある」という言葉を嚙み砕くと下のようになります。

あなたの店が生き残るためには誰かの店を潰さないといけない。

大事なのでもう一度言いますね。
《飲食店を始める》ということは《誰かの店を潰す》と同じ意味です。
それができなければ、潰れるのはあなたの店です。

これが嫌なら飲食開業は諦めてください。上限が決まっているマーケットで新規プレーヤーが生き残るためには誰かと入れ替わらないといけません。長く続けるためには入って来る新人をどんどん潰さないといけません。

あなたにできますか?




高額な設備投資

まだまだ飲食業界の厳しい話は続きます。次は資金の話です。

「会社は1円の資本金で作れる」なんて話を聞いたことありますか?税金等で実際にはもう少しお金が必要になりますが、自宅を事務所にしてWEBでサービスする会社ならトータル30万円以内の起業も可能です。個人輸入の会社とかデザインの会社とか作っている方いますよね。

では飲食店の場合ではどうでしょうか?
安い中古のキッチンカーでも設備を入れたら最低200万円~で、固定店舗だと1000万円クラスが普通です。そして初期費用はあなたが事前に想定したよりも多くかかります。いろいろな方のお話を聞くと、どんなに節約しても当初予算の10~15%はオーバーしています。私も余裕をもって予算組みしたつもりでしたが予算より10%くらいは余分にかかりました。

飲食業界の初期投資は大変です。
「厨房機器を揃えて、内装工事をして、ホームページも作らなきゃ」なんてやっていたらアッという間にお金は消えていきます。稼ぐのは大変だけど使うのは本当に一瞬。それなのに大金をかけ苦労してオープンした店が2年で50%潰れる現状があります。2年では元手の回収は当然できませんので赤字(借金)が残ります。さらに賃貸物件なら何も手元に残らないどころか原状復帰工事もしないといけません。「イザとなったら厨房機器とか設備とか売ればいいじゃない」なんて考えていますか?
あなたの甘い考えは査定価格の安さに吹き飛びます。業務用の機器なんて日常生活で使わないものばかりだから買い取り業者も足元見てきて驚くほどの安値にしかなりません。

結局、営業を諦めた後で手元に残るのは『借金』という名前になった思い出だけ。短期間で飲食業界から退場するとはそういうことです。


様々な支援

ここまで飲食業のネガティブなことばかり書いてきました。味方からの忠告だとしても心がだいぶトゲトゲしてきたんじゃないかと思います。

とはいえネガティブな情報ばかりだけだとフェアではありませんから飲食業に関するポジティブな側面も紹介します。
キーワードは
飲食業は最も身近な『娯楽』であり、重要な『観光資源』です。


あなたは飲食をしたいと考えるくらいなので、きっと飲食業に楽しいイメージがありますよね。私もお客さんとして行く飲食店はとっても楽しいです。家族や友人の笑い声、旅先での美味しい記憶、記念日に行ったレストラン。あなたと私だけでなく世間的に飲食店には良いイメージがあります。
今までの説明で心がイガイガしているあなたはこう思うかもしれません。「イメージだけでは飯は食えんでしょ、、、」

それはそうなんですが《良いイメージ》は実務でも役立ちます。
どういうことかというと国や自治体など行政の支援が手厚いです。

コロナの時の給付金を覚えていますか?あなたも家族の人数に応じて国からお金を貰いましたよね。実は飲食店も法人なら200万円、個人でも100万貰っています。それに加えて自粛期間には毎月ウン万円給付金が出ていました。(売り上げ規模によって金額は異なります)
脆弱な経営環境下にあることが多い飲食業は「放っておくとすぐ潰れる」と行政は考えてサポートしてくれています。(事実すぐ潰れます)

もしも飲食店の無い街になったとしたら住民の満足度はどうでしょうか?
観光客はどう感じるでしょうか?そんな潤いの無い社会にしたくないのはみんな同じです。
だから「誰かに飲食店をやって欲しい」とみんな考えています。あなたもきっと同じように考えたことがあるのではないでしょうか?このことからも飲食店は地域にとって《歓迎される存在》だと言えます。


行政にとっても考えは同じです。だから行政は飲食業を地域にとって不可欠な存在と規定し「生活衛生関連営業」と名前をつけて優遇してくれています。(ちなみに生活~は他にクリーニング屋、床屋、銭湯などがあります)

優遇の中身を具体的に言うと、飲食店は
・政策金融公庫の融資が通りやすい
・信用保証協会の保証が付けやすい
・補助金の種類が多い  など資金面でのサポートが多いです。

他にも行政の予算で
・飲食店案内を作製してくれる
・観光プロモーションで店を起用してくれる
・商工イベントを開催してくれる 
といった販売面でのサポートもあります。

行政は地域住民のためにも飲食業が盛り上がっている街を作りたい、と覚えておきましょう。
これを踏み込んで解釈すると「行政は飲食店を応援している」と言えます。
中立ではありません。飲食店を贔屓してくれているのです。
是非いろいろな場面で行政のサポートを活用してください。(詳しくはpart3 で解説します)


ただし、その豊富な支援が参入の容易さにつながり、ひいては廃業率の高さに表れている事も指摘しておきます。最後まで意地の悪い言い方になってしまいましたね。

まぁピザでもどーぞ。


つづく

これで『失敗しないキッチンカー開業part1 』は終わります。

最初にネガティブなことをガツン!!とやりました。
少しは『飲食業界の構造』をご理解いただけたのではないでしょうか?

読んでみてヤル気が萎えた方や、まだ自分の中で気持ちが固まっていない方はここで一度開業から離れて考えてみるのも良いと思います。セミナーの部分でも触れましたが立ち止まったり引き返したりすることは決して悪いことではないです。

まだまだ「心折れていないぜ!」という方はpart2 に進みましょう。
part2 は「なんでキッチンカーなのか?」という話を中心に進みます。ネガティブなトーンは抑えて自己の内面と向き合う構成です。
「飲食店の開業したいだけなのに自己の内面と向き合う??なんで??」と感じる方もいるかもしれません。
もちろん何故そんなことするかの理由も書いています。お楽しみに。


ではではでは。


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