パーカッションパートの私が本番直前に思っていたこと

「打楽器だけで動いてて本番ステージ上で久しぶりに顔を見たみんなに安心するやつのこと」
このnoteを書こうと思って慌てて残したメモです。こういうことについて書きます。

私は中学高校と音楽系の部活に所属していて、6年間パーカッションをやっていました。ティンパニとかシンバルとかマリンバとかです。
中高吹奏楽にはコンクールがあります。たくさんの学校がひとつのホールに集まって同じステージで演奏をします。大変なのがステージの転換です。
ホールで演奏するとき、打楽器はたいてい舞台下手(客席から見て左側)にいます。ステージにはあらかじめ部員の数だけ椅子と譜面台が置いてあり、それをドグシャア!と押しのけながら楽器を並べるわけにはいかないので、打楽器を運び入れるのは下手側の舞台袖からです。打楽器を入れるとの同時に菅弦楽器のみんなが上手から入ってきて、椅子に座って、指揮者の先生が入ってきて、演奏が始まります。

菅弦楽器と逆の袖から入場するので、本番前の打楽器パートはほかのパートの面々と別働隊です。ほかのパートと同じ楽屋にクソデカ打楽器たちを運ぶわけには行きませんから、トラックで連れてきた楽器をステージ裏へ積み下ろし、ほかの部員が楽屋で音出しをしている間もずっとステージ裏や袖にいます。そして本番直前に楽器をステージに並べて、定位置について、影アナウンスが入るのを待ちます。まだ少し暗いステージにローファーで入場してから、照明がかあっと明るくなってその熱で一瞬のうちに顔が火照るまで。その短い時間、そこで初めて、みんなの顔を見るのです。

私はその瞬間が好きでした。楽器を並べながら、同時に向こう側から入ってきた部員の顔を見るあのとき。ああ、みんな久しぶり、みんなちゃんといる、嬉しい、と素直に思う瞬間。久しぶりに会ったみんなの顔は本番に臨むときの頼もしい表情になっていて、今から私はここでみんなと、音楽をするんだ、とひとり感動する瞬間。同じ時間を過ごしてきたみんながここにいるもんな、大丈夫だ、と安心する瞬間です。
正確に伝えられている自信がありませんが、とにかく安心する、としか言えません。久しぶりに顔を見たみんながすぐそこにいるのに、本番のステージ上だから話したりできなくて、でも無言のうちにもお互いへの信頼感が空気に漂っていて。言葉を交わさずともお互いを思い合えている感覚がちゃんと味わえる。打楽器パートの特権ですね。今度高校時代の部活仲間に会ったとき話してみようと思います。

これから全員でやる演奏が楽しみになってしまう、特権的でちいさな仕掛けの話でした。久しぶりに思い出したら懐かしくなって、部屋にあるドラムスティックで基礎練習のまねごとみたいなことをしました。腕めちゃめちゃ痛いです。ブランク重い。練習してまた叩きたいなあ。

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