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2013年春アニメ『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』を振り返る

◆株式会社アトラス

親の顔よりも見たロゴ

察しの通りぼくは根っからのアトラス信者である。

どれだけの信者係数なのかというと、今でも将来の夢はデビルサマナーと履歴書に書けるし、GUNPを探し求めていたらいつの間にか数十年経過してしまったし、れいとうビームやヒャダルコを氷結属性扱いしてしまうし、高校の地下には古代遺跡があると疑っているし、象=物理反射するやべーやつだと思い込んじゃうし、こんなふうに様々な概念を捻じ伏せられてしまったくらいにだ。

ここ数年のアトラス作品は「これマジ神ゲー!!」と絶賛したくなるほどの作品には出会えていないのだが、それでも積極的に新作は購入している。近作は『真・女神転生Ⅴ』『ソウルハッカーズ2』もプレイ済で、こちらも楽しませていただいた。最近発表されたアトラス新作三銃士もいずれも楽しみである。

好きなアトラス作品は当たり外れのない意見かもしれないが、やはり1位は『デビルサマナー ソウルハッカーズ』、そして2位は『女神異聞録デビルサバイバー』になる。
そんな後者は、(前作と物語は繋がっていないが)待望の続編となる『デビルサバイバー2』が2011年7月28日に発売された。

◆デビルサバイバー2

ニンテンドーDSのゲームだが、3DS本体が発売されてから4ヶ月にリリース。もちろん3DSでも遊べる。

2015年1月29日には完全版ともいえる『デビルサバイバー2 ブレイクレコード』が3DSで発売された。今から遊ぶなら断然こちらを推奨したい。………のだが、DL版は現在終了の上、パッケージ版は希少故に中古でも高い。よってニンスイでの発売が期待される。…いやマジで3共々やってください。世界樹もやったんだからさ。

そういうわけで、今回紹介するのは、その『デビルサバイバー2』を原作として制作されたアニメ『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』である。

◆DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION

(※公式HPはドメイン切れなのでInternet Archiveよりサルベージ)

2013年4月から1クール放送された。
同期は『進撃の巨人』『翠星のガルガンティア』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』あたりが有名か。いやそれらを記事にしろよという声が出てきそうだ。うん、それはぼくも自覚しているんだ。でも流石に全部は見ていないから無理なんだ。
でも『惡の華』のことはいつか書きたいなあ。

本作のメガホンをとるのは、2011年10月~2012年3月まで放送されていた『Persona4 the ANIMATION』を手掛けた岸誠二監督だ。
原作ゲーム『ペルソナ4』はフツーにプレイすると80時間はかかるほどクッソ長い尺なのにアニメ化はむつかしいと思いきや、アニメならではの表現法、岸監督特有のキレッキレなシュールギャグ、それでいて原作に忠実なストーリーで2クール+αで完走。原作未プレイの方にも好評を博し、ペルソナシリーズの人気を更に広げたほどだった。

そんな同じアトラス作品、同じ岸監督ということで、こればかりは期待せざるを得なかった。なお次クールの『ダンガンロンパ』でも同じく監督を務めていた。

その出来は――――!?

単刀直入に言ってしまうと、第1話がピークで、ところどころ良いところはあるんだけど基本的に右肩下がり、だが最終回は感慨深い出来となった、そんなアニメだった。嫌いではないんだけども、期待しすぎた感がある。

◆原作とは異なるifの物語

この記事を書くため、数年ぶりに第1話をニコニコで見たわけだが、やはり面白い。放送当時は「やはり岸監督は信用できる」とテンションしていたのだが、パニックものに相応しい好奇心、怖いもの見たさがある。
平和な日常が突如崩壊、列車事故、謎の悪魔が出現と、よくある流れではあるのだが、この「よくわかんねーけど今はなんとかするしかない!」という雰囲気掴みが好みだった。1も2も似たような導入だな。

アニメ版デビサバ2はハッキリ言って原作を使ったifルートだ。
同じ岸監督が手掛けた『ペルソナ4』のアニメがアニオリ要素や原作ネタ再構成をやりながらも本筋は原作に忠実だったのに対し、デビサバ2は大筋自体は原作と同じだが多くの細部がびっくりするほど異なっている。

その大筋とは7日間の中で侵略者・セプテントリオンを倒すこと。
なにせ、『ぼくらの』の鬼頭莫宏先生が手掛けたデザインが秀逸で、原作ゲーム発売前からウリのひとつとしていたので、こればかりは外さないわけにはいかない。原作ではドット絵や一枚絵として登場した侵略者が、アニメという媒体を活かして新たな魅力を引き出してくれた。クッソデカいメラクの迫力感には原作ファンからすると感動させられた。

侵略者はどいつもこいつも邂逅したくない不気味な存在なのに惹かれてしまうデザインが秀逸だ。一番好きなのはベネトナシュです。一見デカイダイコンのようだが、こいつが4つに分裂したときは「マジかよ…」ってなったな。しかも復活怪人担当でもあるし。

しかしながらこのアニメ版、コレジャナイ感がどうにも否めなかった。
原作プレイヤーが望んでいたものはこうではないという要素が少なくはない。人によっては黒歴史判定していても無理はないつくりになっている。侵略者はゲームではあんなに苦戦させられたのに、アニメでは呆気なく倒されたのもいたのは流石に違和感が拭えなかった。

◆主人公の解釈違い

主人公(※名前は任意入力)

ぼくが一番気になったのは、主人公が原作とはイメージが違っていた
プレイヤーの分身ともいえる主人公に個性を付けられるのはかなりの冒険だ。賛否両論かもしれない。しかし、原作ゲームでは主人公がおもしれー男なのを味付ける選択肢があった。
この子はなんだかやる気があるのかないのか、とぼけたツラをしているし、ときめき健康診断では女性キャラに「えっち!」とからかうおもしれー主人公だった。アトラスは時々アホラスになるが、その一例である。そんなわけでファンからは「モジャ」という愛称が与えられたほど愛されていた。髪の毛モジャモジャだからモジャ。

そんなアニメ版主人公・久世響希だが、どうも真面目路線で硬いというか、普通の少年というか………とても語りづらい、面白みのない子になってしまった。現在なら解釈違いと言うのだろうか。原作プレイヤーからすると違和感を感じた人は少なくない。
放送前はギャグが得意な岸監督のおかげでどんなおもしれー主人公になるのか楽しみにしていたのだが、まあでも、デビサバは1も2も基本的には初っ端からハードな世界観だしなあ。ギャグ要素はゲームでもアニメでもあるが、終始一貫してシリアスに徹する為にこの性格になったのかもしれない。

岩手出身ではない

そんな主人公が第1話からまさかのビャッコを召喚。
第1話で登場した悪魔はポルターガイスト、ピクシー、オーガ。いずれも一桁Lvである。その中にビャッコ。動物園に宮沢鬼龍を投入するくらい場違いである。

「すわこれは2周目なんじゃないか!?」という疑惑があった。メガテンシリーズでは悪魔の初期Lvが作品によってまちまちなのだが、少なくともビャッコは原作では初期Lv53である。悪魔使いのLvに応じて使役できる悪魔が制限される仕様なのだが、2周目では任意の仲魔を引き継ぐことができるので、ビャッコが召喚できたのだと考えられる。
因みにそんな2周目疑惑は翌年7月に1クール放送された『Persona4 the Golden ANIMATION』では明らかにハッキリソレを匂わせていた。今思うと面白い話だ。

何故ビャッコが相棒役になったのは分からない。
派手なアクションを描きやすいし、マスコット枠としてもイケるからなのだろうか。ぼくも本作を機にビャッコさんかわいいな~と思えたクチだし。本来のマスコット枠ならいちおう終盤でじゃあくフロストが登場するが。しかもやけにデカい。

なお「誰かがスザク、ゲンブ、セイリュウを使役して対立なのかな?」「そのうちコウリュウ作るのかな?」と思ったら、スザクも主人公が使役することになったし、そもそもゲンブやセイリュウ、コウリュウの出番自体なかったぜ!
そもコウリュウはDS版では未登場なのだが、3DS版(ブレイクレコード)では追加された。3DS版販促を兼ねてのサプライズ先行登場も面白そうだが(今のアニポケでも第1話で似たようなことをやっていた)、実際には縁システム(ペルソナのコミュ・コープのようなもの)のランクMAXで合体解禁だからきびしいか。

これがGUMPならカッコイイんだけどな~

因みにこのアニメ、戦闘時は仲魔だけ戦わせて、悪魔使いはケータイを掲げる謎設定に変更されている。原作だとその悪魔使いもアタック(通常攻撃)やスキルを使えるのだが、スキルはともかくアタックは映像化すると滑稽に見えてしまうかもしれない。具体的にどんなふうにアタックしているのかわからない。物理系スキルも含めて。…たぶんフツーに殴る蹴るなのかもしれないが、それ戦闘特化してるようには見えない女性キャラもなの?と疑問だ。

本作におけるCOMPはケータイ(ガラケー)で、それに悪魔召喚プログラムのアプリがインストールされてしまった設定なのだが、ケータイを掲げるのは放送当時ダサいとかマヌケみたいだとか散々なことを言われていた。ぼくはそこまで気にならなかったのだが、言われてみると確かに…と滑稽さは否めなかった。
もし1がアニメ化されたらニンテンドーDSをモデルにしたCOMPを掲げるのだろうか。

◆1クールアニメ故の再構成

秋江譲(通称ジョー)

原作ゲームでは4人目の仲間となるジョーさんの出番が少なくなったのが個人的に残念だった。

ジョーさんはどことなく軽いキャラを振る舞いながら重い事情を抱えている社会人なのだが、メイン三銃士学生組を支えてくれる頼もしい大人の存在感があった。あの軽いキャラは本当に頼もしい大人と言われると全く自信がないが、それでも一緒にいてくれるだけで大人ならではの安心感は確かにあったのだ。ユーモアなキャラも含めて。なにより世界ヤバイ状態なだけに清涼剤めいていた。

そもそも、プレイアブルキャラが13名は控えめに言って多すぎる。
一度にそんなに登場するわけではないし、それぞれに愛称があるとはいえ、原作未プレイの方が全員名前を覚えるのは無理難題だろう。キャラ多すぎ案件はソシャゲ系アニメでも孕んでいる問題である。
原作でも「こんなにいるのか??」とは気になったのだが(1も十分多いがいずれも欠かせないネームドだった)、これをアニメ作品、しかも1クールに落とし込むのはかなりむつかしい。ぼくは放送前は「ペルソナ4同様2クールでじっくりやるべきじゃね??」と疑問を抱いていたのだが、それはそれでダレそうだし、じゃあ1.5クールという変則構成…もむつかしいんだろうなあ。

中盤でケイタくんが死んだときは当時「おっ、そうくるか?」とびっくりしたのだが、原作未プレイ組には「特に思い入れないキャラが死んでもなあ…」となっていたのだろうか。流石に10年前のアニメなのであまり思い出せないくらい、アニメでは特に魅力的に描かれていた覚えがない。他のキャラも含めて。
…まあだからって「半分に減らすぽん!」は無慈悲なのでやめて差し上げろ。

◆最終回のサプライズ悪魔合体

アニメ版デビサバ2を見ていて気になったのは「悪魔合体の概念ってないの??」だった。主人公の相棒はビャッコでこいつがメイン。いちおう他の悪魔も使役してはいたのだが。
他のネームドもポケモン感覚で基本的に悪魔1体しか使役していない。なぜかはわからない。『葛葉ライドウ対超力兵団』の時代へ戻ったようにだ。別にデビサバにはマグネタイトの概念はないのだが。
ペルソナ4ではイザナギを最後まで保持しつつ、次々と新たなペルソナ(悪魔)を使役していたのだが…

そんな疑問はまさかの最後に向けての布石だった。

Lv38闘鬼ベルセルク×Lv57魔神ルーグ⇒Lv50鬼神ゾウチョウテン
Lv37妖精ローレライ×Lv80邪鬼じゃあくフロスト⇒Lv61幽鬼むらさきカガミ
Lv50鬼神ゾウチョウテン×Lv61幽鬼むらさきカガミ⇒Lv56邪神アリオク
Lv56邪神アリオク×Lv53神獣ビャッコ⇒Lv61魔王ロキ
Lv62霊鳥スザク×Lv69女神パラスアテナ⇒Lv74天使メタトロン
Lv74天使メタトロン×Lv61魔王ロキ⇒Lv99魔王ルシファー

ラストバトルではこのような流れで悪魔合体をやってみせたのだ。
いや戦闘中に悪魔合体だとかねーよとは思うが、それはゲームでの仕様だからできないわけで(無理矢理コマンドに実装するのも変だしな)、その気になればできなくはないの精神なのだろう。ポケモンだってアニメで戦闘中に進化していたし。(ex.ナツメのケーシィがユンゲラーに進化)

個人的にこの多重悪魔合体には感動した。
不満は少なくないアニメだが、これだけでもなんだかんだ言って最後まで見ていて良かったとは思えたのだ。ここまで逆算してまで悪魔合体をやりたいアニメスタッフの拘りが感じられた。
アトラス作品自体あまりアニメ化作品がないし、ペルソナのアニメでも合体描写はない(いつの間に新たなペルソナを用意していた)だけに、本作が唯一無二のアニメで描かれた悪魔合体描写である。

***

そういうわけで。
デビサバ3あくしろよの精神は千烈突きくらいぼくの中では定番になっているのだが、最近発表された『ペルソナ5タクティカ』はSRPGなのでもしかしたら…とニヤリしている。いやシステムは全然違うみたいなんだけども。でも、出せなくはないですよね?DS・3DSから一転してUIは大分変わってしまうのは確定と思われるが。

でも、最新作が8年前だしなあ…
流石に今となっては「知る人ぞ知る」の枠に埋もれてしまった。
『ソウルハッカーズ2』のように四半世紀経てば出ないこともないかもしれない。『ソウルハッカーズ2』は色々変わりすぎたけど、あれはあれで嫌いではない。

あ~、デビサバのランダム封印縛り動画作りてえ~!!

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